フライトシムと言えば、普通はパイロットとして機体を操縦するシミュレーションを楽しむもの。しかしHosni Auji氏による『Flight Simulator』は違う。本作、客側の体験をシミュレートする逆転の発想のタイトルなのだ。
空の旅がそれだけで夢でいっぱいだった頃は過去の話。自分でバリバリ準備した玄人でもない限り、フライト中はなかなか暇なものだ。機内エンターテインメントサービスでちょっと古めの映画でも観るかと妥協すれば、忘れた頃に「ポーン」とアナウンスが入って中断される……。
本作がシミュレートするのは、そんなダルくて暇な空の旅。ニューヨークのJFK空港からアイスランドのケプラヴィーク空港までの約6時間を、ひたすらダラダラすごすことになる。
現在ロサンゼルスで開催中のインディーゲームイベント“IndieCade”で遊んできたのだが、シートのディスプレイに表示したフライトマップの進行度は本当にびっくりするぐらいパーセンテージが進まない。
必然的に機内雑誌をめくったり(ちゃんとラグジュアリーな広告まで作ってある)、映画を再生してみたり、カバンから取り出したスマートフォンを充電しながらテキトーな曲を聴いたりして暇潰しをすることになる。
自分はなぜこれを遊んでいるのか、そしてゲームとは何なのか……段々とビデオゲーム禅の境地に達せそうだったのは、さすがゲームという表現の可能性を探る作品の多いIndieCadeのノミネート作といった所だろうか。
プラットフォームはPC/Macで、2019年第3四半期の配信を予定。Auji氏いわく「乱気流がすごくたまに発生するようなランダムイベントも入れてみたい」とのこと。