ジェームズ・スティーヴンソン氏
インソムニアック・ゲームズコミュニティ・ディレクター。文中はジェームズ。
石立大介氏(いしだてだいすけ)
ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンスタジオ ローカライズプロデューサー。インタビュー時はジェームズ氏の通訳を担当。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントから2018年9月7日にプレイステーション4で発売予定の『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』。マーベル世界のマンハッタン島をオープンワールド化し、プレイヤーがスパイダーマンになりきりニューヨークを探索できるのが大きな魅力だ。インソムニアック・ゲームズのジェームズ・スティーヴンソン氏とSIEジャパンスタジオの石立大介氏にお話をうかがってきた。
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本作のスパイダーマンは熟練ヒーロー
――本作のコンセプトをお聞かせください。
ジェームズ本作は、これまでの映画やコミックに準拠していない、まったく新しい物語です。主人公は23歳のピーター・パーカーで、スパイダーマンとして8年の経験があります。スパイダーマンらしさを残しつつも、これまで語れなかったことを作品にしたかったんです。
――ピーターが20代というのも新しいですね。
ジェームズプレイヤーには、熟練したスパイダーマンを動かしてもらいたかったのが理由のひとつです。ピーターの高校生活はいろいろな作品で何度も描かれているので、大学を卒業して社会人になったピーターを描きたかったというのもあります。人生において大きな変化が訪れる時期を選びました。
――本作を開発するにあたって、苦労されたり、とくに注力した部分はどこでしょう?
ジェームズ世界中の人々が愛しているスパイダーマンを作る自由を与えられたことに、プレッシャーは感じました。これまで、誰も体験したことのないスパイダーマンの物語を届けなければならない。アクションでも、ウェブ・スイングの気持ちよさもそうですし、スパイダーマンの即興的でアクロバテックな戦闘に関しても、これまでにないレベルに仕上げるため、何度も試行錯誤を重ねました。
――そして、理想通りのものに近づいたと。
ジェームズ弊社は楽しさを大切にし、かつ『スパイダーマン』ファンのことも考えています。ファンが要望するレベルは把握していたので、目標を高く設定しました。皆さんにガッカリされないように仕上げたつもりです。
――マーベルやSIEとは、どのように連携を取っていたのでしょうか。
ジェームズ本作の開発には、これまで手掛けてきたどのタイトルよりも多くの人数が関わっています。SIEの各スタジオには、ストーリーの作りかたについてたくさんの助力をいただきました。マーベルも、これまでのスパイダーマン作品の中で最高のものとして語れるよう、力を貸してくださっています。じつはマーベルのオフィスは、インソムニアック・ゲームズの開発スタジオから徒歩10分なんです。まさに“親愛なる隣人”として、週に3、4回は訪問しました。とくにキャラクターの掘り下げに関して、助力をいただきました。
――原作ありきのキャラクターなので、きびしい制約も多そうですが……?
ジェームズいえ、逆にたくさんの『スパイダーマン』作品が世に出ているので、ゲームに活かせる要素は多いと感じています。とはいえ、“スパイダーマンは人を殺してはいけない”といったNG要素ももちろんあります。ただ、わたしたちが新しいユニバースを作ることに関して、マーベルには非常に大きな自由を与えていただけて、数々の新たな試みも許してくれました。
自由度を楽しんでほしい
――ご近所どうしだと、連携も取りやすそうですね。話は変わりますが、本作ではスパイダーマンだけでなく、ピーターやMJ(メリー・ジェーン)を操作するパートもあるのですね。
ジェームズスパイダーマン以外にピーターやMJをプレイすることで、いろいろな角度から物語を体験していただきたかったんです。
――ピーターを動かしているときも、飾られている写真など、彼がどう生きてきたのかをうかがえるものをいろいろ発見できました。
ジェームズそれ以外にも、スパイダーマンになってからの8年間、ピーターがニューヨークのいろいろな場所にバックパックを貼りつけています。それを発見すると、貼りつけた当時の思い出が蘇ってきたり、ゲーム内のイベントでピーターが過去の事件に触れることがあるんです。それを見ていただければ、これまでのピーターがわかると思います。
――街を移動していると犯罪が発生することがひんぱんにありますが、すぐ解決せず後回しにしてもペナルティーはないのですか?
ジェームズプレイヤーには自由に遊んでほしかったので、ペナルティーは設けていません。基本的にはプレイヤーの自由ですが、新たなスーツやガジェットを作るにはトークンが必要となるので、それを集めたいのであれば、小さな犯罪も解決したほうがいいでしょうね。ただ、ストーリーが進むと治安が悪化して犯罪の内容もひどくなっていきます。そうなるとプレイヤーとしても、「犯罪を解決しないと」という気持ちになると思いますよ。
――早く製品版を遊びたいです!
ジェームズ日本のファンの方には、SNSなどで熱狂的なご意見や応援をいただき、勇気づけられています。『ラチェット&クランク』などで培った技術、そしてマーベル、SIEと協力して最高の『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』が完成しました。ぜひ楽しんでください!
(おまけ)試遊インプレッション マンハッタンを満喫してきました!
最後に、『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』の体験会に参加してきた本誌ライターのゴジラ太田が、ひと足早くプレイ。そこから感じた本作の魅力をお伝えしよう。
スパイダーマンは大好きなマーベルキャラのひとり! もちろん映画も観まくりです。そんな俺が、ひと足早く本作をプレイしてきました。まず驚いたのが、さまざまな場面で活躍するウェブ・シューターの爽快感! ニューヨークの街をウェブ・スイングで移動するだけなのに、ずっと移動していたくなるような中毒性(1)があります。
アクションは、格闘技以外にウェブ・シューターを絡めた攻撃も可能で、連携のパターンが多い! “吹っ飛ばした敵をウェブ・シューターで引き戻し、追撃する”といった操作はそれほど複雑ではないので、スパイダーマンらしい戦いかたがすぐに楽しめます。このおかげか、「つぎはこんな連携を試してみようかな」と、やりたいことがどんどん増える(2)。
移動やアクションだけでなく、育成要素についても判明しました。まず、ミッションをこなして経験値を手に入れ、レベルアップするごとに入手できる「スキル・ポイント」を使って、新たなスキルを開放していけます。また、ピーターがニューヨークの各所に貼りつけたバックパックを探したり、犯罪を解決すると手に入る“トークン”を使うことで、新たなスーツやガジェットを獲得できるんです。スキルの開放と、スーツ・ガジェットの開発によって、アクションや攻撃手段が増えていくので、より変化に富んだ戦いを楽しめるというわけ(3)。試遊中もトークンを集めまくろうと思ったけど、プレイ時間には限りがあるので、収集はそこそこにストーリーを進めていくと、ヒロインのMJ(メリー・ジェーン)が登場! 本作では彼女を操作するパートもあるとのことなので楽しみしていたら、試遊時間が終了。
うーん、ちょっと寄り道を堪能しすぎちゃったか……。時間を忘れるほど楽しい本作。発売したら、じっくり楽しみたいと思います。