往年の名作アクション『フラッシュバック』が、25年の時を経てNintendo Switch版で復活。同作の大ファンだという、グラスホッパー・マニファクチュア代表取締役・須田剛一氏に、その魅力を大いに語ってもらった。

伝説的名作アクションが25年ぶりに復活!

 PC版が人気を博し、1992年にはスーパーファミコン用ソフトとしても発売された名作アクション『フラッシュバック』は、のちに多くのクリエイターに影響を与えたとも言われている作品だ。
 その名作がなんと約25年の時を経て、2018年8月9日に3gooより、Nintendo Switch専用のダウンロードソフトとしてリリースされた。今回はそのタイミングで、オリジナル版の大ファンだという、グラスホッパー・マニファクチュア代表取締役・須田剛一氏のインタビュー取材が実現。初めてプレイした当時の思い出から、リメイク版についての感想なども含めて、『フラッシュバック』の魅力を大いに語ってもらった。

前作からの大ファンだし疑いなく熱中しそう!

――今回『フラッシュバック』が、25年ぶりに復活します。須田さんはたいへんなファンだとお聞きしまして、まずはファンとして率直なご感想をお聞ききできればと思います。

須田 エリック・シャイさんのゲームが好きで、『フラッシュバック』の前身にあたる『アウターワールド』にとにかく魅了されたんですよね。クリアーしたあとにしばらくして、続編が出るということを知り、それが『フラッシュバック』でした。だけど、続編ではなく、エリック・シャイさんが関わっていないことは今回初めて知りましたね。当時は大興奮して、発売日に買って速攻クリアーした記憶がありますね。

――ちなみに当時、須田さんは何をなさっていたのでしょうか?

須田 そのころはもう、ヒューマンに入っていたと思います。

――ではゲーム制作に関わりながら、『フラッシュバック』を遊んでいたという感じでしょうか。

須田 そうですね。

――その作品が、25年の時を経て復活ということですが、どんな感慨をお持ちでしょうか?

須田 『フラッシュバック』はなかなか世に出なかったんですよ。ですので、「ようやくあの名作がまた遊べるんだな」という感じです。『アウターワールド』に比べると『フラッシュバック』はよりストーリー性が濃かった印象があって、前作とはちょっと違った手触りのゲームだったなという記憶があります。『アウターワールド』は、いわゆるノンテキスト系のゲームだったんですよね。ストーリーはあるのですが、テキスト表現がいっさいなくて。でも『フラッシュバック』はテキストも使っていて、ストーリー表現が豊かなゲームになっていたことに驚きました。

――具体的に、『フラッシュバック』のどういったところが好きになって、ファンになったのでしょうか?

須田 プレイしてとくに好きなシーンが、のちにすごく影響を受けたんですけど、主人公が途中で職業安定所(職安)に行く場面があるんですよ。職安に行ってそこで仕事をこなして、それで報酬を得てつぎに進むというミッションがあって。ゲームの中で町に着くも先立つものがないので、職安に行って仕事を受けて、その仕事をこなして報酬をもらい生きながらえると、僕らが現実で生き抜いていくのと同じように、ゲームの主人公がわざわざそういう過程を経て、ストーリーを進めるということに驚いたんですね。「革命的なゲームだ!」と、生々しさも感じました。まあ、そういったワンシチュエーションではあるんですが、そこにすごく驚きを感じた記憶があるので、職安ミッションがすごく僕の中では記憶に残っています。

お楽しみ機能の数々についての印象は?

――では続いて、今回のリマスター版のアレンジモードについてお聞きします。ミスの巻き戻し機能があり、難易度設定も可能になるみたいです。

須田 まあ、この時代だからこそ、必要なのかもしれないですね。もともと『フラッシュバック』自体、そんなに難しくはなかったんですよ。ストーリードリブンなゲームなので、物語を楽しんでもらいたいという感覚もたぶん当時はあったのでしょう。難易度が若干低めなので、なんなくクリアーできたという記憶がありますね。ただ、アクションが苦手な方がこのゲームを、突然いまの時代にポーンと渡されたら、何もできないかもしれないですよね。

――あとは、サウンド面、音楽面もリマスターされているみたいですね。そして大きな特徴として、オリジナルの作者が監修した当時そのままのクラシックモードと、現代風にグラフィックをリメイクしたアレンジモードと、ふたつのモードを遊べるみたいです。

須田 グラフィックが違うんですか? それはスゴイ!

――オリジナルそのままを再現しているみたいです。これから入る人も、昔の人も遊べるような作りですね。

須田 これは楽しみですね。たぶん僕は、オリジナル版を遊ぶでしょうけど。

自分も影響を受けた、遊んで損のないゲーム!

――25年ぶりのリメイクです。「なぜいま?」と感じる部分もあるかと思いますが、いかがでしょうか?

須田 それを言ってしまうと、僕らも『シルバー事件』シリーズをリマスター、リメイクしたりとか、『キラー7』もいま移植の作業をしていたりとかで、それこそ、どのタイミングで移植や復活が起こるかは、わからない時代になってきていますので。当時のファンにとっては嬉しいことですし、チャンスがあればやるべきだとは思っています。

――本作については、とくに若い人に関しては「知らない、見たこともない」という人がほとんだと思います。これからまっさらの状態で遊ぶ人に向けて、なにかひと言メッセージがありましたら、ぜひお願いします。

須田 いやもう、遊んで損のないゲームだと思います。自分のクリエイティブにすごく影響を与えたゲームですからね。細かい部分は忘れているので、もう1回遊んでみたいなとは思います。記憶がないからこそ、新しいゲームとして遊べたらおもしろいでしょうし……、楽しみがひとつ増えました。

――具体的に、自分のゲーム作りに、ここを参考にしたといったところはありますか?

須田 やっぱり、職安のくだりですね。『ノーモア★ヒーローズ』というゲームで、バイトミッションというのがあるのですが、その設定や、実際にバイトをして対価を得てつぎのミッションに行くというような仕組み、流れみたいなものは、『フラッシュバック』から影響を受けました。

――ちなみに須田さんが、たとえば20何年前ですとか、大昔のゲームで「コレをリメイクしてほしい!」という作品とかはありますか? 

須田 あえてやりたいとしたら、『凄ノ王伝説』ですかね。PCエンジンで出ていた作品です。

――これはやはり、そうとう印象に残っていたのですか?

須田 永井先生の『凄ノ王』自体、原作のマンガが好きで、原作が好きだからこそ遊んだゲームなのですごく印象深く残っています。マンガの『凄ノ王』は途中で終わっていて未完なのですが、どえらいところで終了しているんですね。ゲームはその原作のあとからつながる話で、物語の本当のラストはゲームで終わっているんですよ。そういうこともあってすごく印象深く残っています。

――それは永井先生が作ったストーリーで終わっているのですか?

須田 確か、監修は入っていると思います。いまでいうメディアミックスじゃないですが、クロスカルチャーを早い段階からやっているなと思いました。いまはほとんど遊ぶことができないソフトだとは思います。もちろんPCエンジンとソフトがあれば可能でしょうが、なかなか敷居が高いですからね。

――『フラッシュバック』発売についてのコメントを、いろいろとありがとうございました。最後にひとこと、近況報告といいますか、ファンに向けての最新情報がありましたらお願いします。

須田 Nintendo Switch用『Travis Strikes Again: No More Heroes(トラヴィス ストライクス アゲイン: ノーモア★ヒーローズ)』という、『ノーモア★ヒーローズ』シリーズの最新作を作っております。今年発売予定です。

――開発状況はいかがですか?

須田 かなり終盤にさしかかっていて、まさにいま佳境でバリバリ作っている最中です。ぜひぜひ、楽しみにしていただければと思います。あとは『キラー7』の移植版もありますし、『シルバー2425』も今年の3月に発売されました。グラスホッパー・マニファクチュアが今年20周年の節目と重なってくれて、多くの作品を発売、発表することができました。そしてつぎの10年に向けてがんばっていきたいと思います!