『風来のシレン』の制作陣が語る! 新世代ローグライクゲーム『世紀末デイズ』の魅力とは

DeNAとスパイク・チュンソフトの共同体制で開発されている『世紀末デイズ』。その開発に参加した『風来のシレン』開発チームに実施したインタビューをお届け。

 DeNAとスパイク・チュンソフトの共同体制で開発されているスマートフォン用ゲーム『世紀末デイズ』。『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』などで知られる『不思議のダンジョン』シリーズの開発チームが制作に携わっており、ローグライクゲームのおもしろさをスマートフォンで手軽に味わえるように、あらゆる工夫を凝らして開発が進められている。その裏側にはどのような苦労があったのだろうか。『風来のシレン』開発チームに実施したインタビューから、『風来のシレン』の開発秘話とともにお届けする。

プロフィール

篠崎秀行氏(しのざきひでゆき)

『不思議のダンジョン 風来のシレンGB2 ~砂漠の魔城~』から開発に参加。おもに、ディレクションや進行管理を担当する。

金田直美氏(かねだなおみ)

『不思議のダンジョン 風来のシレン3 ~からくり屋敷の眠り姫~』で開発に初参加。以降の作品や、『世紀末デイズ』ではメインプログラマーを務める。

長谷川薫氏(はせがわかおる)

第1作『不思議のダンジョン2 風来のシレン』から以降のシリーズ作品でキャラクターデザインを手掛ける。『世紀末デイズ』でも、主人公の天霧葵(あまぎり あおい)ら各キャラクターをデザインした。

DeNAよりリリース予定のスマートフォン用ローグライクゲーム『世紀末デイズ』。崩壊した東京が舞台となっている。

スーパーファミコンで発売された『不思議のダンジョン2 風来のシレン』。シリーズのナンバリング最新作は、2015年に発売されたPS Vita専用ソフト『不思議のダンジョン 風来のシレン5 plus フォーチュンタワーと運命のダイス』。

並々ならぬ苦労とともに作り上げた『風来のシレン』

――皆さんは制作スタッフとして『風来のシレン』シリーズに関わる以前に、ローグライクゲームをプレイされたことはありましたか?

篠崎はい。『トルネコの大冒険』から『風来のシレン』、『トルネコの大冒険2』と、『不思議のダンジョン』シリーズはかなりがっつり遊んでいて、当時チュンソフトに入社したのは『不思議のダンジョン』シリーズが作りたかったからなんです。

――おお! その夢が見事に叶っているわけですね。『トルネコの大冒険』が発売されたのはいまから20数年前ですが、初めて遊んだときはおいくつだったのですか?

篠崎当時は小学生か中学生くらいだったと思います。家庭用であの手のゲームはなかったので、とても衝撃を受けました。

金田私は『不思議のダンジョン』シリーズは入社してから初めて触れたのですが、ローグライクゲームはPCゲームのテキストベースのころから遊んでいて、それこそ『ローグ』や『NetHack』もプレイしました。

――ローグライクゲームというジャンルの起こりをまさに見ていたと。長谷川さんはいかがですか?

長谷川逆に僕はローグライクゲームというものをまったく知らなかったのですが、チュンソフトに入社する前の面接で「『トルネコの大冒険』の続編を作ろうとしているから、まずは『トルネコ』をクリアーしてくれ」と言われて、そこで初めてプレイしました。最初は右も左もわからなかったので「死んだらすべてなくなるのか……ひどいゲームだな!」と思ったのを覚えています(笑)。でも、くり返し遊んで、越えられなかった壁を越えていくうちに、おもしろさがだんだんとわかってきて。

――確かにローグライクゲームは遊べば遊ぶほど楽しくなっていきますよね。皆さんは、ローグライクゲームのおもしろさはどこにあると思いますか?

篠崎入るたびにダンジョンが変わるというランダム性ですね。私は“ダンジョンはすべて一期一会”と思っているのですが、同じプレイが生まれないという楽しさがいちばんの魅力だと思います。予想だにしないアクシデントが起きたりもするので、そういったところも含めて好きですね。

――あっけない死にかたをするのもおもしろいですよね。モンスターから逃げ切れたと思ったら、地雷を踏んでしまったり……。

金田私は、そういう絶望的な状況を、二手三手先を読んで行動して切り抜けるのが、将棋のようでおもしろいなと思います。「詰んだ!」と思うような状況で最適解を見つけ出して、生き延びることができたときの快感はローグライクゲームならではですね。

長谷川そうですね。そういう局面で、プレイヤーごとに個性が出るところもいいですよね。初心者から上級者まで、それぞれのドラマがあって。あと、死んでしまったときに「あそこでああしておけば助かったな」と反省して、プレイヤー自身がどんどん学習しながら強くなっていけるのもおもしろいなと。

――死んで覚えて強くなっていくんですよね。ちょっとヘンな質問ですが、『風来のシレン』をプレイしてきて、印象に残っている“死にかた”はありますか?

篠崎私ではないのですが、開発スタッフの中に何をやっても失敗してしまう人がいました。その人にテストプレイをしてもらうと、階段にたどり着いたと思ったら落とし穴で落ちたり、回復するために歩いていたら地雷を踏んで倒れたりと、アクシデントが多すぎて(笑)。だから、その人がプレイを始めると、おもしろい死にかたを期待してギャラリーが集まっていました。

――運がいいのか悪いのかわかりませんね(笑)。テストプレイのお話が出ましたが、ダンジョンがランダム生成されるローグライクゲームでは、デバッグの作業が非常にたいへんなのではないかと思うのですが。

篠崎もちろん最初のうちはたいへんでしたが、いまではその苦労をもとに積み重ねた経験があるので、ある程度は進めやすくなりましたね。

――なるほど。苦労を重ねてだんだんデバッグ作業が効率的に進められるようになってきたと……なんだかローグライクゲームに似ていますね(笑)。

金田ただ、開発のときはいまだにすべてがたいへんです(笑)。『不思議のダンジョン』シリーズでは、キャラクターの動作が連鎖的にいろいろな効果を引き起こしていくじゃないですか。その副産物で、予期せぬ動作が起きることもあって……。たとえば、放れた矢が罠の上に落ちると、罠が作動しますが、その罠が、“矢の罠”だったときがやっかいでした。どういうことかと言うと、矢が罠の上に落ちる、罠が発動して矢が飛んでいく、またその先にたまたま矢の罠がある、矢が飛んでいく……という風に、うまい具合に“無限ループ”状態になってしまいまして。そのときは、ゲーム側で処理が追い付かなくなって、ソフトが止まってしまいました。

――開発する際は、ランダム要素の強いゲームだからこその難しさが付きまとうわけですね。

金田ええ。不具合の多くは発売前に見つけるのですが、発売後に全国のプレイヤーさんに遊んでいただくと、我々の予期しないことが起こることもあって……。

篠崎私はおもにスケジュールの管理などを行っているので、金田の話したような不具合が発売日近くに直せていない場合は、その状況をプロデューサーたちに伝えなければいけません。そのときはいつも胃が痛いですね(苦笑)。

金田申し訳ございません!!

一同 (笑)。

――ところで『風来のシレン』といえば、『不思議のダンジョン』シリーズ1作目の『トルネコの大冒険』と打って変わって和風な世界観が印象的ですが、このコンセプトは最初から決まっていたのですか?

長谷川いえ、最初はぜんぜん決まっていなくて、『トルネコの大冒険』に引き続き、西洋の世界観をイメージしていました。『風来のシレン』が和風になったのは、シナリオを担当していた冨江(慎一郎氏)というスタッフの提案がきっかけです。

――主人公のシレンがしゃべらないのには何か理由があったのでしょうか?

長谷川主人公を自分の分身のように思ってもらうためです。シレンの外見は、『風来のシレン』は“旅”を主題にした作品なので、ひと目見てすぐに旅人だとわかるようにしたくて、三度笠をかぶらせました。

――まさに“風来坊”という感じの出で立ちになっていますね。ちなみに、デザインの際に苦労されたキャラクターやモンスターは?

長谷川ちょうどいまお話ししたシレンと、ザコ敵のマムルですね。シレンは最後まで決まらなくて、ものすごい数のデザイン案がボツになりました(笑)。ちょんまげを結っているようなシレンや、長ズボンをはいているシレンもいましたね。マムルについては、マスコットキャラクターになるようなインパクトがほしいと言われていて……(笑)。いろいろなアイデアを出したのですが採用されず、最後は制作スタッフ一同で会議室に集まって、ホワイトボードにみんなでデザインを描きました。そのときに生まれたデザインがマムルになったんです。スタッフのバラバラな感性がひとつになって、みんなが納得のいくものになったんだと思います。

ローグライクゲームの“本家”が全身全霊を捧げる

――今回スパイク・チュンソフトが制作に参加した『世紀末デイズ』は、スマートフォン向けのアプリですが、スマートフォン向けにローグライクゲームを作るうえでの苦労はありましたか?

金田スマートフォンのゲームをプレイするときは片手でプレイする方が多いので、いかに片手で気持ちよくプレイしてもらえるかという操作性には気を使いました。それから、さらに快適にプレイできるように、ほかのプログラマーに苦労してもらってオート操作も導入したので、そこにも注目してほしいです。

右下の“自動”と表示されている部分をタッチすると、そのあいだはキャラクターがオートで行動。そのまま上にフリックすれば、完全にオートで探索を進められる。

――さまざまな要因がキャラクターの生死を左右するローグライクゲームだけに、AI(人工知能)の賢さやプレイスタイルをどのように調整するのかは、難しそうですが……?

金田先ほど長谷川も話していましたが、やっぱりローグライクゲームは人によってプレイスタイルが違うので、その違いに対応するのが難しく、なかなか万人に受け入れられるようなAIが作れなくて。うまい具合になるように、ずっと調整しています。

篠崎実際に遊んでみると、オート操作は快適ですよ。ローグライクゲームを遊んだことのない方もたくさんいらっしゃると思うのですが、オート操作でキャラクターがどんな戦いかたをするのか見ることで、どういう風にプレイすればどんなことが起こるのかがわかります。そこから学習して、「つぎは自分で操作してみよう」と思ってもらえるとうれしいですね。

――初心者プレイヤーの導入として、オート操作が優れていると。

篠崎ローグライクゲームに初めて触れるときは、どういう風に立ち回れば生き延びられるのかがわからないですよね。そんなときに、オート操作に任せてみることによって、ローグライクゲームの“いろは”をわかってもらえるのではないかなと思っています。

金田それから、『風来のシレン』ではバグを探すときも自分で操作しなくてはいけなかったのですが、『世紀末デイズ』はオートに任せることもできるので、ちょっと楽になりました(笑)。

オート機能のほかに、キャラクターの育成や装備の強化といった要素が盛り込まれており、ローグライクゲーム初心者でもダンジョンの攻略が行き詰まりにくくなっている。

――開発がたいへんなぶん、デバッグの作業は進めやすくなっているわけですか。『風来のシレン』と違っているところと言えば、世界観も大きく変わっていますよね。

長谷川いまの時代に好まれるのは何なのかというところから2社(スパイク・チュンソフトとDeNA)のスタッフで話し合って、世紀末のような世界観や、学園ものという要素にたどり着きました。全体的にクールな雰囲気にまとまったかなと思っています。

――そんな苦労を重ねながら制作を進めている『世紀末デイズ』を皆さんはすでにプレイされているとのことですが、気に入っているところはありますか?

長谷川オープニングのアニメーションが非常によくできていて感動しました! 私はとくに監修していなかったのですが、私のイラストそのままのキャラクターが動き回っていてうれしかったですね。落ち込んだときは、このオープニングを見て元気を出しています(笑)。

篠崎私は曲がすごく気に入っています。スマートフォンだと音を出してプレイされない方も多いと思うのですが、いい曲ばかりなのでぜひ聴いてほしいです。全体的にジャズっぽい曲調で、とくにオープニングの曲は開発で聴く機会が多いこともあって気に入っています。

――おふたりがオススメされるとあれば、オープニングは必見ですね(笑)。金田さんが気に入っているところはどこでしょうか?

金田世紀末デイズ』では少し大きな敵がザコとして出てくるのですが、通路を壊しながら移動したりするんですよ。そのプログラムで苦労したこともあって気に入っていますね。

――『風来のシレン』ではそういったギミックはあまりなかったので、シリーズのファンにとっても新鮮ですね。

長谷川風来のシレン』になかった要素と言えば、今回はダンジョンが現実の地域をモチーフにしたものになっているので、そちらにもぜひ注目してほしいです。最初は、ダンジョンがランダム生成ということもあって、実現するのは不可能なんじゃないかというところから始まり、いろいろと磨いてどんどんよくなっていったので、ダンジョン探索中はまわりの風景にも目を向けてみてください。



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※画面は開発中のものです。