『ArcheAge』MMORPG初期の混沌を楽しめる新サーバーが登場。導入意図を運営Pに訊く【アイテムプレゼント】_01

 オンラインゲーム、とくにMMORPGはサービス年数を重ねるたびに新規ユーザーが入りにくくなる。コンテンツ増加がそのままハードルの高さにつながってしまうためだ。

 ゲームオンが運営する『ArcheAge』では、そういった問題を緩和させた新サーバーを2018年7月18日にオープンする。概要を日本運営プロデューサーの石元一輝氏に聞いたところ、わくわくする話が出てきたので読んでほしい。

【出てきた話題の例】
・アップデートで広がる世界を疑似体験
・『ひぐらしの泣く頃に』みたいな世界
・小さないざこざが大戦争の引き金に
・サービス6年目の施策

 なお、本記事の読者にゲーム内アイテムをプレゼント。入手方法は記事にラストに掲載している。

石元一輝

『ArcheAge』日本運営プロデューサー。

“追いつきやすい”新サーバー

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石元今回ですね、『ArcheAge』としては2年ぶりに新サーバーを立ち上げることになりました。その辺の背景をお話しさせていただければ。

――新サーバーは久しぶりですね。

石元“ArcheAge4.5”というアップデートも同時に実施します。(2018年)7月で正式サービス5周年のタイミングなんですね。5周年記念で新サーバー立ち上げとアップデート、キャンペーンを実施するのが一連の流れとなります。

――新サーバーはプレイヤーにメリットがあるのでしょうか?

石元あります。ありますと断言するのも変なのかな。とにかく、これまでのサーバーとは仕様が少し変わります。
 新サーバーはRe:フレッシュサーバーと名付けました。これまでは「サーバーを開けました、経験値ブーストがあります」くらいでしたよね。ほかのゲームも似た感じだと思いますが。

――たしかにそうですね。『ArcheAge』の場合は土地問題(※)が緩和されるかもしれませんが、一般的に既存プレイヤーはあまりメリットを感じないような。

(※土地問題:『ArcheAge』はハウジングシステムが充実したタイトルだ。家の中が冒険のフィールドとは切り分けられたプライベートエリアになるわけではないので、実際に家を建てた感が味わえる反面、ユーザー増加に伴って住宅地区が不足する傾向がある)

石元Re:フレッシュサーバーには懐かしさというキーワードが関わってくると思います。『ArcheAge』も5周年。前にプレイしていた人からすると、懐かしく感じていただけるようになったかなと。
 ということで、懐かしさを体感できる新サーバーとして、Re:フレッシュサーバーを用意しました。既存のサーバーをベースに、最初はできることに制限を設けて昔を演出するようにしています。

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――少しずつコンテンツを解放していくイメージですか?

石元そうですね。プレイヤーの成長に合わせて短いスパンで解放していく。制限をかけて昔の環境からスタートして、徐々に世界が広がっていくと言いますか。当時と完全に同じというわけではないですけど。

――アップデートを疑似体験してもらうわけですね。そのスパンはどれくらいを想定していますか?

石元だいたい1ヵ月に1回くらいを想定しています。いまのところは。
 過去に遊んでいただいていた方や現役プレイヤーさんには昔に近い感覚を持ってもらえます。それってわりと楽しいと思うんですよね。
 それに、まったく『ArcheAge』を知らない新規の人からすれば(既存プレイヤーに)追いつきやすいだろうなと。前に(それまでと同じ仕様の)サーバーを開けたときによくあったんですけど、追いつけないんですよ。

――なるほど。既存プレイヤーが新サーバーでキャラを作り直すと、知識と経験で差を付けられちゃうんですよね。

石元その点、制限をかけると慣れた人は早いうちに上限に到達するので、何も知らずに始めた人も離されにくくなるかと。

――『ArcheAge』はアイテムの種類もやれることも多いので、完全に新規の人からするとコンテンツが絞られているほうが遊びやすい気もします。

石元そういうコンセプトです。いままでは“新サーバー○○”って表現していたんですけど、今回は“Re:フレッシュサーバー○○”にしようと思ってます。ネーミングのパターンがこれまでと同じだとギミックが伝わらない。特殊なサーバーだと感じてもらいたくて。

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3つの意味を込めてRe:フレッシュサーバーと名付けた。

――コンテンツが追い付いたらどうなるんですか?

石元いつかは既存サーバーに追いついて既存サーバーと同じ状態になる予定です。少なくとも年内は追いつかない予定です。来年以降ですかね。厳密なタイミングは決めかねています。
 「同じになる」と言っても、Re:フレッシュサーバーってコンテンツ解放という手順を踏む以外は既存のサーバーと変わらないんですよ。使っているクライアントもいっしょなので、サーバー選択画面にふつうに並びますし、クライアントがインストールされていればそのまま始められます。

――具体的に、最初はどういう状態でスタートするんですか?

石元わかりやすいところで言うと、旧大陸も領地も未開放状態です。ナチャッシュガルとかエターナルアイランドみたいな高難度のダンジョンも。レベルキャップは50。
 装備の製作もマエストロまで。アップデートで下の2段階ぶんがなくなるので、実質的には下から2番目です。トラクターとかも作れるのは初期のやつだけですね。

【4.5アップデート以降の製作ルート】
マスター

マエストロ

エペリウム

デルフィナード

エアナード

イフニール

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石元それと大事なのはアイテムのオークション。既存サーバーのオークションは全部つながっていますけど、Re:フレッシュサーバーは独立した状態でスタートします。
 流通するアイテムが違いますし、イフニール装備とか買われちゃったらバランスが崩れますから。

――オークションもいつかはいっしょになるんですよね。

石元オークションをつなげるには、サーバーの仕様が同じであることは前提条件で、それに物品の価格とか供給量も見ています。ある程度追いついたと判断できたら、ですね。
 物価の差が大きいときにつなげると、どちらかがすごく損をする可能性があります。新サーバーは物価が高くなりがちですし。

――“アイテムを集めて売る”ルーチンが未成熟だからですか? そもそもの流通量が少ない。

石元そうです。とくに汎用的に使える消耗品ですね。木材とか岩石とか、1次素材がすごく高くなります。そういうときに(オークションを)つなげると、苦労もせずに安いものが流れてくるので、それまで稼いでいた人が稼げなくなっちゃうんですね。
 その反面、アイテム生産しやすくなるメリットはありますけど、一気にバランスが崩れるのは避けたいかなと。

――リアルの世界と同じですね。供給のバランスが変わると、どこかが破たんする。まさに生活系MMORPG。

石元というわけで!

――わ、びっくりした。

石元Re:フレッシュサーバーは2018年7月18日にオープンします。

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――あと1ヵ月弱(インタビューは2018年6月下旬に実施)。

石元もう時間がない。これと同時に4.5のアップデートも実施して、5周年のイベントとかキャンペーンもドカッと始まります。
 で、Re:フレッシュサーバーとは言いつつも、これやります。

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石元サーバーオープンの1週間前から先行でキャラクター作成ができるようになります。最近のゲームだとたまにあるサービスですけど、『ArcheAge』では初です。

――あれ、そうでしたっけ?

石元ゲームの仕様上、前はできなかったんですよ。キャラメイクが終わった瞬間にチュートリアルが始まってしまうので。Re:フレッシュサーバーはそこを制御できるようにになったんです。特典なんかもつくので、ぜひとも楽しんでいただきたい。

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MMORPGとしての初期衝動を思い出す

――前の新サーバーは新種族実装のときでしたよね。

石元よく覚えてますね。2016年12月です。その後の(2017年)6月にサーバー統合がありました。あのときもちらっとお話ししましたけど、僕らとしても苦渋の決断だったんですよ。既存のお客様に迷惑をかけてしまうので。
 単純に物理的な土地のリセットもありますし、コミュニティが変わってしまうことがいちばんのネックでした。

――どのゲームにも付きまとう問題ですよね。サーバーごとに文化があって、統合先となじむかどうか、みたいな。

石元ありますよね。『ArcheAge』は、戦闘系、生活系、ハウジング系、芸術系とか、いろいろな分野に分かれていて、サーバーごとにけっこう差はあるので、一緒くたに混ぜるのは怖かったんですよ。
 案の定、お客さんたちをしばらく混乱させてしまった。いまは落ち着いてますけど、そういうこともあったので、サーバー統合からすぐに新サーバーを開ける判断がなかなかできませんでしたね。
 あれから1年経って、トラフィック(データ通信量、状態)も安定しました。土地問題が付きまとう中、正式5周年で大きなアップデートをできるようになって。ここで新しいサーバーを開けて、自由にハウジングを遊んでもらえる環境を提供したいというのが、根本的な背景です。

――Re:フレッシュサーバーの登場で、ゲーム内の雰囲気はどう変わると思いますか?

石元『ArcheAge』が月額制から無料化したのが(2014年4月の)“エアナード”っていうアップデートだったんですよ。それくらいの盛り上がりを作りたいと思っています。

――それはだいぶ大きな目標のような。

石元ですよね。あのときようやくレベルキャップが55になりましたし、そもそもすべてが変わりました。僕は悪いほうで記憶に残ってますが(忙しすぎたため)。
 その前は月額課金モデルでしたからね。それがフルオープン。Free to Play用の仕様に変わったわけですから。

――アイテム流通量も一気に変わる。どんどん生産されて、強い武器も流通する。コンテンツ消費が早くなる。

石元あのとき、いまの労働力の仕様に変わりました。イメージしてるのはその前後ですね。
 新しいサーバーを立ち上げて、新しい土地でコミュニティーを作ってもらって。そう遊んでもらえるようにしたいです。

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――当時の盛り上がりと言うと、具体的にはどんなことを想定していますか?

石元あのとき何がいちばんすごかったかというと、ネームド争いとかそんなんじゃなくて。ふつうにそこらのフィールドで戦闘(対人戦)しまくってたんですよ。
 フリーダムロードっていうマップでは毎日のように戦争が行われてるような状態だったんです。いま(自分が)求めてるのはそっちのほうです。

――MMORPGにおける初期衝動みたいな時代ですよね。

石元あの当時でさえ装備差が顕著に出ていましたけど、それより装備差もレベル差も出ないでしょうから、遊びやすい環境かと。いまはフィールド戦争でも強い人は2~3人ぶん働いちゃうんですよね。

――装備で大きな差が出るんですよね。強い装備を持ってない人は参加しにくい。

石元そういうのがない状態で、人さえいれば何とでもなる大規模戦闘の熱気ってすごいんですよ。新サーバーなら人も集まりやすいでしょうし、昔のフィールド戦争を楽しんでもらいたいと思ってます。
 もちろん土地もリセットされます。農民も生活系コンテンツが好きな人も、ゼロからみんなで街作りを楽しんでもらえたらなって感じです。

――PvPや戦争について、昔のものを望む意図はどういうところにありますか?

石元新サーバーを開けるたびに思ってきたんですけど、『ArcheAge』は勢力間のバランスを取るのが難しいんですよ。プレイヤー数は同じくらいでも、戦争に参加できる人数になると差が出ちゃう。
 それに、開始から3ヵ月くらいはコミュニティーも形成されていないので、すごく混沌としているんです。

――あの独特の空気は個人的にも好きです。

石元新サーバーを開けるたびに昔ながらの人が遊びに来てくれて、その混沌さ加減を楽しむというか。そういう流れがあるんです。たぶん僕も参戦します。

――そこは石元さんも古参ユーザーのひとりとして。昔ながらの空気を求めて。何でも楽しい熱病みたいな空気ってありますよね。

石元ひとり農民が(敵対勢力に)やられたら、10人が反撃しに集まってくるような世界です。「一揆だ!」って。

(ここで「『ひぐらしの泣く頃に』みたいですね」と言ったが、ピンと来ていなかった様子)

――勢力間の構図があって自由度の高いMMORPGにはそうなってほしいと思います。同じ勢力のプレイヤーはみんな身内みたいな感覚。

石元月日が流れるにつれて、遊んでいる人たちも慣れて落ち着いてきます。慣れ過ぎないようにコンテンツを追加したりするんですけど、専用のコンテンツエリアと違ってフィールドコンテンツは難しくて。制限をかけて遊びかたを誘導しようとすると、流動性がなくなっちゃいますしね。

――MMORPGは広いフィールドがメインの舞台であってほしいと思います。コンテンツ専用フィールドがメインになったら、それはMORPGみたいなもの。

石元みんなでチャットしながら、「○○に敵が来た。助けて」みたいなのが、また活発になってくれたらいいなと。『ArcheAge』の楽しさのひとつはフィールドでの戦いにあったと思います。小さないざこざが大戦争の引き金になるみたいな。

――うわー、楽しそう。

石元そういうのは既存サーバーでは起きにくいんですよ。感覚がマヒするというか、「またいつものアレでしょ」みたいな空気が流れてしまう。
 あくまでも個人的な気持ちですけど、新サーバーでは混沌さも楽しんでほしい思いは強いです。これをきっかけに『ArcheAge』を知らない人にも知ってもらえたら一石二鳥。

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――何周年のタイミングに新規・復帰者向けのキャンペーンを走らせるゲームは多いですよね。でも、何年も続いたゲームをいちから始めるのはたいへんじゃないですか。追いつけないし、コンテンツが多すぎて何をやっていいかわからない。

石元『ArcheAge』ってそもそもが複雑なんですよ。

――僕もいまだによくわからないところがあります。

石元伝えようと思っても伝えきれない部分も多くて。今回は新しく始めてくれる人も多いだろうなってことで、チャットサポートをしようかと思ってます。GMがゲーム内に入って、ひたすら質問に答え続ける。

――懐かしい。昔はそういうゲーム内座談会みたいな企画も多かったですけど、最近はあまり聞きなかくなりました。

石元基本的なガイドは公式サイトに載ってますけど、自分がほしい答えを探すのがまずたいへんじゃないですか。
 『ArcheAge』はWikipediaが充実しているわけでもない。自分のやりかたを隠匿する文化があるんですかね。初めての人が調べられないんですよ。かといって公式にWikipediaを置くのは、僕らの思いとはちょっと違う部分もあって。

――あれもこれも公式側がサポートするのは違うかな、と。

石元ゲームは自分たちの手で攻略してほしくて、(公式サイトに)Wikipediaを作ろう案は全部蹴ってきました。
 そういう事情もあって、初心者は何をしたらいいかわからなくなることも多い。

――悩んだら先輩ユーザーに聞くか自分で調べるか。そういうのもオンラインゲームだなって思います。

石元Re:フレッシュサーバーに関しては、本当に一部ですけど、GMがフォローしようかなと。「こうなったときはこうするのがオススメですよ」とか「畑を取るときはどうすればいいですか」と聞かれたら「ここに行ってください」とか。
 24時間とか絶対に無理けどね。可能な限りで。続けているうちに意見収集の場になっちゃうかもですけど、あくまでも質問は初心者のプレイ面でのサポートがメインです。