――『テトリス』。
ゲームファンなら誰でも知っている落ち物パズルの元祖。そう、あの『テトリス』だ。
『テトリス』で落ちてくるブロック(テトリミノという)は、4つの正方形が組み合わっただけの単純な形。しかしながら、その7種類のテトリミノは、とても美しい幾何学的デザインだと感じたことはないだろうか? ひとつひとつは単純な形だが、組み合わせ次第でどんな形にもなり得る。そして、キレイに隙間なく積めば、見事な長方形ができあがる。テトリミノは、さまざまなデザインとの親和性が高く、それをモチーフとした新たな製品やアートを生む可能性を秘めているのである。
そんな『テトリス』が、日本の伝統工芸と融合を果たしたとき、いったいどんなモノが生まれるだろうか……というか、もう生まれていた!
日本の伝統と工芸技術を現代のライフスタイルに適合させ、商品開発や産地ブランディングを行う“プロダクトジャパン”が『テトリス』とコラボを実現。2018年5月31日~6月6日の期間中、東京・銀座シックス内のArtglorieux(アールグロリュー)にて、コラボ工芸品を展示・販売するポップアップストアーがオープンしている。
ここで展示されている製品の一部をご紹介しよう。
1段目と2段目の外箱に好きな形のテトリミノ箱を組み合わせることで、オリジナルのお弁当箱がカスタムできる。食事にはもちろん、アクセサリーなどの小物入れなど、幅広く使える。
テトリス型の仕分け箱を入れ込むことにより、料理のバリエーションや楽しい食事を演出できる製品となった。受注生産品のため、サイズオーダー可能。
国産・飛騨の木材を使用し、飛騨高山の職人がテトリミノをモチーフに作った積木パズル。春慶塗の手触りを実感できる子ども用知育玩具。
上記と同じく、飛騨の木材を使用した積木パズル。蓋には曲木と呼ばれる手法が使われ、切れ込みを入れて曲げた一枚の板からできている。テトリミノをモチーフとした桜の皮を使った綴じ目もポイント。
春慶塗2色と金色のピースが華やかな積木パズル。木目の美しい春慶塗のはこの蓋にもテトリミノを配している。
釉薬による色の違いで、それぞれのテトリミノの特徴を表現。食器として、小物入れとして、自由な用途がある豆皿は、テトリスの持つ独自のデザインを活かした商品となった。
1500年の歴史を持つ越前和紙を使い、最先端のレーザー技術で繊細なアートワークを施した折紙。ガイド線に沿って折ると、テトリス模様の羽を持つ折鶴ができあがる。
越前和紙で作られたメッセージカードと封筒(各1枚)のセット。
竹うちわの骨は放射状という従来の常識を覆し、竹板をレーザー彫りすることでテトリミノを表現した骨が完成。そこに和紙を貼り、T型テトリミノの木製持ち手を組み合わせた。
ストアーでは製品を実際に手にとって見ることができ、その出来栄えには感嘆の念を禁じ得ない。丁寧に面取りされた木の温もり、笠間焼の釉薬の艶と手触り、そのひとつひとつに職人の息づかいが聞こえてくるよう……といったら言い過ぎかもしれないが、そのクオリティーに驚かされることは間違いない。
気軽に購入するにはお値段がちょっと……といったものもあるが、個人的にはお求めやすい価格&非常にかわいらしい“茨城・笠間焼 豆皿”がお気に入りだ。とくに、Z型・S型テトリミノの豆皿がお気に入りだ。ひと揃え購入するのもいいし、ちょっとした贈り物にもよさそう。
なお、これらの製品は、東京・六本木の東京ミッドタウン内のTHE COVER NIPPONにて、常設販売される予定となっている。
そして、このテトリスと日本の伝統工芸とのコラボ実現に合わせて、テトリスのライセンスを扱うブループラネットソフトウェアの代表取締役、マヤ・ロジャース氏が来日。氏は日本で生まれ育ったので、日本の伝統工芸の精緻さ、奥深さ、上質さ、そういった“良さ”によく親しんでいるとのこと。氏が言うところの『テトリス』のセカンドホームである日本から、『テトリス』の新たなカルチャーとして、伝統的でありながら革新的なこれらのコラボ製品を発信できることは、大きな喜びだと述べた。
ちなみに、マヤ・ロジャース氏の父親であるヘンク・B・ロジャース氏は、ゲームボーイ向けに『テトリス』の版権を獲得するために旧ソ連へ渡り、さらには『テトリス』の生みの親であるアレクセイ・パジトノフ氏とザ・テトリス・カンパニーを設立した人物。ふたりの交流の歴史も、ストアー内に展示されていた。
ストアーは2018年5月31日~6月6日の期間中、東京・銀座シックス内のArtglorieux(アールグロリュー)にて展開中。ここはひとつ、『テトリス』のあのBGMを口ずさみながら足を運んでみるのはいかがだろうか。
テーテテ・テーテテ……♪
テーテテ・テーテテ……♪