2018年5月26日、東京・池袋にあるスクウェア・エニックスのシアターカフェ&ダイニング“STORIA”にて『オーバーウォッチ』(PS4版)2周年記念特別イベントが開催された。本イベントは、6ヵ月ぶりの『オーバーウォッチ』イベントということで、予約開始から数日で締切になるほどの人気。そんな人気もうなずける、見どころ盛りだくさんのこのイベントをライター・堤教授が詳しくリポート。

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西尾勇輝氏(左)とせんとす氏(右)。
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イベント限定のメニューも用意。目玉は、『オーバーウォッチ』イベント恒例となっているオーバーウォッチカレー(写真)。凝った内容のドリンクメニューも4種類用意されていました。私はD.Vaのうさちゃんいちごミルクとオーバーウォッチカレーをいただきました。どちらも美味しいし見た目もグッド!

 本イベントは、2年間ずっと『オーバーウォッチ』を遊んでいるというせんとす氏と、スクウェア・エニックス ローカライズ・ディレクターの西尾勇輝氏というお馴染みのふたりの掛け合いからスタート。挨拶もそこそもに、西尾氏が現在手掛けている『Life is Strange: Before the Storm(ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム)』(2018年6月7日発売)の開発が佳境だった先月を振り返り、「先月、先々月と忙しくて死にそうだったんですけども……」と下を向くと、「誰も死なせない!」という、あのセリフが会場に響き渡りました。会場内が「まさか……!?」という空気に包まれる中、シークレットゲストとして大原さやかさん(日本語版でマーシーの声を担当)が登場! 意外なゲストの登場に、場内は大きな歓声に包まれていました(西尾氏の顔にも生気が戻った!)。大原さんの登場でひとしきり沸いたあとは、2周年を祝う乾杯とともにトークコーナーがスタート。

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「今日は、誰も死なせない!」という乾杯の掛け声には、思わず笑ってしまいました。

 まずは『オーバーウォッチ』2周年ということで、西尾氏は「発売から2年間経ってもずっと遊んでいただいているプレイヤーの方々には感謝し切れないくらいです」と、改めて感謝の意を述べました。この2年はあっという間だったという西尾氏に、大原さんも「西尾さんには収録で数ヵ月ごとにお会いしているので、2年経った気がしないですね」と同意。

西尾 季節ごとにお会いしてますよね。だから7~8回かな? マーシーは途中でアビリティが変わったりもしたので、セリフの変更などでお呼びしたこともありました。追加が多かったのは季節限定イベントのハロウィンのときですかね。

大原 そうですね。『オーバーウォッチ』は、私の中ではいちばん収録に呼ばれる回数が多いゲーム作品だと思います。だから愛着も湧いてますね。最近は、私のことをご存じない方でも、『オーバーウォッチ』のマーシー役ということで、身近に感じてくださるケースも多いみたいで、うれしいです。

 ここで、せんとす氏が改めて大原さんをマーシー役に起用した理由を西尾氏に問うと、「開発段階のマーシーを触り、海外版の声も聞いていく中で、もう僕の中でこれは大原さんだ!」と勝手に決めたとのことです。ちなみに、大原さんのほかに、西尾氏の独断で決めたのはトールビョーンの高岡瓶々さん、トレーサーの加藤英美里さんとのこと。「会社では、ただのファンだからだろ!? って言われちゃうんですが(笑)。でも、ファンじゃだめなんですか? ってことですよ!」と開き直り発言も。

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 ローカライズや収録時の秘話として、西尾氏は「アルティメット・アビリティは、自チームが使ったときと敵チームが使ったときでセリフが違うじゃないですか。英語版は、敵のときはヒーローの母国語の訛りというか、ニュアンスが入りますよね。なので、マーシーもドイツ語っぽく言っているんです。でも、日本語吹き替えでは、ドイツ語っぽい日本語、みたいな表現のしかたは難しいので、毎回どうしようかと悩むんですけど、何とか変化をつけようと試行錯誤するのは楽しい部分ですね」と語り、何気なく聞いている日本語吹き替えも、さまざまな苦労があるだと感じさせられました。そのほか、収録時は映像がないことが多く、「キャラクターの表情や動き、距離感がわからず、英語版の音声の張り具合で距離感を推し量る必要があるんですよね。また、たとえば同じ「了解」という言葉ひとつでも、笑顔で言う「了解」と、緊迫感のある「了解」で乗せる感情やスピードも変わってきます。それを汲み取ってセリフに乗せなきゃいけないという緊張感は毎回あります」(大原さん)。さらに、以下のようなやり取りも。

大原 そんなに苦労はしてないですが、英語の尺と日本語の尺があまりにも違ったりすると収録に時間はかかることはありますね。

西尾 掛け合いになると、英語版と尺をなるべく同じにしないと、しゃべっているあいだにつぎのセリフが出てくるような不具合が発生する可能性があるんですよね。そこを意識して台本を書いているつもりなんですけど、ズレちゃうときもあって……。収録の場で必死に変えたりもします。

大原 その場でのセリフ変更も多いですよね。もっと感情を乗せたいなっていうときも、尺を優先ということもあって、滑舌が試されてるなって思う瞬間もあります(笑)。あと、マーシーは感情を出すときと、指示出しや報告のときのギャップが大きいですよね。

西尾 たしかにセリフによってガラッと印象は変わりますよね。マーシーはコミックでも描かれていますが、けっこう厳しい一面もあるんです。

大原 そうなんですよ。優しいだけじゃないんですよね。

西尾 『オーバーウォッチ』は明るい未来を描くっていう本質はもちろんあるんですけど、それに相反してヒーローは悲しい過去を背負っていることが多くて……。マーシーの過去はまだあまり明らかになっていないので、僕も気になっています。

せんとす マーシーはゲンジと仲がいいイメージはありますが……。

西尾 ふたりの関係はすごく複雑で、セリフの掛け合いも多いのは事実ですよね。それが本当はどうなのかっていうのは、僕も知らないんですよ。

 続いて、お気に入りのヒーローの話題に。

西尾 キャラクターデザインという意味ではラインハルトがいちばんです。かっこいいでしょ! ラインハルト。

せんとす 僕はD.Vaですね……。

大原 ふたりともマーシーって言ってくれないっ!(会場爆笑)

せんとす も、もちろん、マーシーは当然ですよ!

西尾 せんとすさんはD.Vaのメック(ロボット)好きなんじゃなくって、パイロットの女の子が好きなんですよね(笑)。

せんとす そうなんです。メックのパイロットを使ってるほうが生き生きしてます(笑)。

大原 マーシーでは、最近出たピンク色のスキン(乳がん根絶のためのチャリティスキン)もかわいかったですよね。背中も露出が多くて。それについて、何か言うことあるんですよね? 西尾さん。

西尾 舞台裏で笑ってたんですけど、このスキンだと、マーシーの背中にホクロが見えるんですよね。ずっと生々しいなって思ってて(笑)。最初はディスプレイのゴミかなと思ってたんですけど。

大原 細かいですよね。

西尾 まだまだ僕の知らない情報がヒーローごとにあるんですよね。

大原 新たな発見ができましたよね。このスキンのおかげで。

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 トークコーナーの最後は、来場者からの質問コーナーが行われ、マーシーとモイラの関係(「ふたりはお互いが決して嫌いではないんですが、意見の不一致はあると思う。モイラに対してのセリフはちょっと厳し目のものが多い」(西尾氏))などの質問のほか、大原さんに、「マーシーの声で○○のセリフを!」というリクエストも飛び出し、大原さんはすべて笑顔で応えてらっしゃいました。

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トークコーナーの最後には、大原さんのサイン入り『オーバーウォッチ』アートブックなどの豪華景品がかかったじゃんけん大会も行われました。
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景品にサインも。見事勝ち抜いた女性の方は、質問コーナーでも大原さんにマーシーのセリフをリクエスト。いろいろと念願が叶ったようでした。

大原 今日は、サプライズということで裏ですごく緊張していたのですが、皆様がすごく温かく迎えてくださったので、とてもリラックスして幸せな楽しい時間を過ごすことができました。すごくたくさんの方に愛されて『オーバーウォッチ』が2周年を迎えたということですが、まだまだ終わりません。今後とも、マーシーと『オーバーウォッチ』をよろしくお願いします。

 トークコーナーの後は、参加希望者の中からくじ引きで決められた12名(4チーム)による3on3の大会が行われました。どのチームも初対面のメンバーとは思えないチームワークを見せ、逆転劇もくり広げられた決勝では会場かなりの熱気を帯びていました。

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優勝した方々。

 イベントの締め括りに登壇した西尾氏は「ちょうど今日で2周年ということで、今日は皆さん、本当にありがとうございます。ずっと皆さんに楽しんでいただけるように、ローカライズ・ディレクターとしてがんばっていこうと思っております。プレイヤー、ファンの方々とこの距離でお話できる機会はなかなかないので、またイベントができればいいなと思っています。その際は、ぜひご参加ください」と挨拶。

 イベントは終始アットホームな雰囲気で笑いが絶えず、来場者どうしのコミュニケーションも積極的に行われていたのが印象的。シークレットゲストを交えたトークショーを始め、『オーバーウォッチ』の3on3大会、豪華景品をかけたじゃんけん大会など、内容も充実していました。じつは、リポートでは書けないようなトークもくり広げられていたりするので、つぎに開催されるされるときは早めのご予約をおすすめします!