コーエーテクモゲームスよりNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)、PS4、PC、iOS、Androidで発売中の『信長の野望・大志』では、2018年4月26日、iOSやAndroidも含めた全機種を対象に最新アップデートが実施された。同作ではこれまでにも、決戦のスキップ機能や内政における“開発”コマンドの実装、一部武将への固有の“志”追加など、さまざまな要素や機能の拡張、調整が行われてきた。
今回も、数多くの機能拡張&調整や不具合修正が施されており、その項目をリスト化すると驚くほどのボリュームとなっている(本記事の最後に掲載)。本記事では、今回のアップデートにおけるおもな変更点を、ゲーム発売後から大きく変わったポイントとともにインプレッション形式でお届けする。
武田信虎で天下を狙う
まずは、これまでのアップデートで追加されてきた、おもな要素と機能を整理してみよう。
- “決戦”スキップ機能を実装
- 内政における“開発”コマンドの実装
- 従属勢力の吸収機能(配下が提案してくる)
- 農業でリストから一括で実行できる機能を追加
- 決戦での部隊士気上限を変更
- 立花道雪、立花宗茂に新しい“志”を追加
- 商業でリストから一括で実行できる機能を追加(★)
- 長尾為景(上杉謙信の父)、武田信虎(武田信玄の父)に新しい“志”を追加(★)
- 上杉謙信、伊達稙宗の志特性効果を変更(★)
(★がついている要素、機能は今回のアップデートでの変更点)
大きかったのが、上から3つ。決戦スキップ機能、開発コマンド、従属勢力の吸収、の各要素である。とくに決戦スキップ機能の実装は、おかげでプレイ時間が一気に短縮されたため、大名を変えて何度もプレイするような人にとっては涙が出るほどありがたい要素だった。
なお、決戦スキップをするかどうかは戦いの前に配下武将が聞いてくれるのだが、その際のコメントで楽勝できるか、接戦になりそうかなどのだいたいの状況がわかるようになっている。問題なければ「指揮なさらずとも我らの勝ちは揺るぎません」などと言ってくれるので、安心して任せられるのだ。
今回、4月26日の配信に先駆けてテスト版をプレイする機会をコーエーテクモゲームスさんにいただいたのだが、せっかくなので新たに志が追加された大名“武田信虎”でプレイすることにした。
武田信虎は、前述しているように武田信玄(晴信)の実の父親である。そして、史実では1541年6月に息子である晴信(当時)にクーデターを起こされ、甲斐から追放されてしまったという悲しいエピソードの持ち主なのだ。とは言え、その後は駿河の今川氏(武田氏とは婚姻関係にあった)のもとで隠居生活を送りつつ、上方(京や奈良など)を遊歴したりと意外に充実した余生を送っており、自分を追放した信玄よりも約1年長生きしている。
留守中にクーデターされるウッカリさんではあるが、国人衆との戦いを勝ち抜いて甲斐を統一したり、武田信玄の本拠地としても名高い躑躅ヶ崎館を築いて現在の甲府市の基盤を整えたりと、なかなかに優秀な人物であったのは間違いない。能力も、息子ほどではないがかなり優秀である。
さらに配下には“甲陽五名臣”と讃えられた原虎胤、小幡虎盛、横田高松、多田満頼(残るひとりの山本勘助は1534年6月のゲーム開始時には浪人)を始め、馬場信春など人材が揃う。今回、志が追加された同時代の大名、長尾為景(息子の上杉謙信とは真逆で、野心に溢れ裏切りや主殺しなど何でもやったと言われている)よりも初期の勢力は小さいが、人材面では上回ると言える。
開発コマンドはどう活用する?
前置きが長くなったが、いよいよプレイ。ゲーム序盤は、だいたい商圏コマンドを1回実行して1ヵ月おしまい……など、勢力がある程度大きくなるまで“やることがない”という状態になりがちだったのが、“開発”コマンドが実装されたことでだいぶやることが増えている。
開発コマンドでは領内の各地域にさまざまな“施設”を建てることになる。施設を建てると、建てたものに応じて金銭や兵糧、軍馬や鉄砲などが生産されたり、武将の能力成長に影響を及ぼしたり、あるいは決戦で有利になったりと、さまざまな効果が発揮される。
基本的に、ひとつ建てただけではそれほど効果は得られないのだが、追加投資して“発展”させたり数多く建設すれば、“塵も積もれば”方式でかなり大きな効果をもたらしてくれるようになるのだ。なお、従来の“箱庭型”の開発とは似ているところもあるが、基本的には別物と考えていい。
とにかく選択肢が多いが、最初はとりあえず牧場(軍馬を生産)と鍛冶村(鉄砲を生産)、あとは建設可能なら商人町(金銭生産)や漁村(兵糧生産)、貯水池(洪水、干ばつ発生率低下、兵糧生産)といった生産量に直接関わる施設を建てておけば間違いはない。
また、敵勢力との最前線には巡検所(兵数制限を自勢力のみアップ)や砦(範囲内の戦場での決戦時、必ず自陣内に砦が登場する)といった施設を建てるのもあり。それらの施設は、他勢力と攻めたり攻められたりのようなバチバチの関係になってから役立ってくれるようだ。
ただ、施設はあくまでプレイの補助的な要素であり、作らなくてもそこまで大きな問題にはならない。むしろ、プレイ上の効果はもちろんだが、「仕事がないと不安!」というじつに日本人的な悩みにハマってしまいがちなプレイヤーにやり甲斐を与える、精神衛生上でも役に立つ要素と言えるかも(笑)。
ちなみに、今回のアップデートで武将の能力を示すレーダーチャートにおいて、初期能力からどれだけ成長しているかが明示されるようになった。
なおもうひとつ、商業コマンドにシレッと便利な機能が追加されている。商圏への“進出”、“投資”、“独占”をそれぞれリストから一括選択して実行できる機能である。資源の有無や費用、増加収入量などを全候補から比較できるので、どの商圏に金銭を使えばいいのかがひと目でわかるようになった。
武田家は拠点数のわりには武将の数が多めなので、とにかく序盤から農兵を募兵しまくって速攻で信濃の大名を倒していけばあっという間に巨大勢力になれる。だがしかし、そこで背後の超有力大名、北条家と今川家への対策を忘れていると、けっこうアッサリ攻め込まれてやられてしまうので注意しておきたいところ。この両家とは、最初から心証が非常に高いので、同盟やら婚姻やらで(史実では信虎の娘、定恵院が今川義元に嫁いでいる)背後から攻め込まれない状況にしておけば、甲信(甲斐・信濃)統一まではかなりラクにプレイできるはず。
それにしても相変わらず、兵糧不足は序盤から悩ましい問題である。最初から長期同盟を結んでいる扇谷上杉家や山内上杉家から、ギリギリまで譲渡でせしめてやるのもひとつの手。どうせ、同盟が切れたらこちらから攻め込んで倒すことだし……。
兵糧さえあれば、序盤でどの大名も戦力が整わないうちにいち早く戦争を仕掛け、領土を広げやすくなる。施設の新設、発展なども活用してできる限り兵糧生産が増えるようにしておくといいだろう。
ちなみに、今回のプレイはというと……。
1年目
今川、北条とそれぞれ婚姻、同盟関係を結び、農兵を募兵→上原城の諏訪家を撃破。
2年目
兵糧収入を待って、高遠城、飯田城の高遠家を撃破。長尾家、海野家と同盟を結ぶ。
3年目
木曾福島城の木曾家を滅ぼした深志城の小笠原家を撃破。友好的だが弱小勢力の砥石城・海野家を従属させ、葛尾城の村上家を撃破。
4年目
優秀な人材と北陸の富を求めて同盟の切れた長尾家攻略へ。
……という感じ。この間、決戦は3回発生してそのうち1回しかプレイしなかったので、戦闘にかかる時間は大幅に短縮されたのだが、その代わり開発であーだこーだ言いながらやっていたので、トータルの時間はいままでとそれほど変わりないという印象。
とは言え、攻略自体は非常にスムーズに進んだ。ポイントは、兵力差がある相手にはあえて全軍をくり出さず、やや少なめにして挑み兵糧を節約したこと。このゲーム、勝負は序盤なのでできる限り効率的に領土拡大ができるかどうかがカギとなるからだ。
筆者のような歴史オタクは、史実での行動を思わずなぞってしまいがちだが、史実のようなペースで事を進めようとすると相手の戦力も充実してしまって手が出せなくなり、まさに史実のごとく時間切れで天下統一の夢も散る……なんてことになりかねない。
本作では“志”システムによって、各大名が史実に近い動きを見せてくるため、言行録の達成もあってついついこちらも史実を再現してやろうとしてしまうのだが、決まった手順を踏めば、ある程度史実と異なっていても言行録は達成できる。有力大名だろうが弱小大名だろうが、序盤はとにかく「攻めろ!」なのである。
さらに、後の超有力大名も強くなるまでには時間が掛かるので、早めに倒してしまって優秀な家臣をボロっといただいておくのも非常に有力だ。あとは、効率的な商圏進出と開発(施設作り)で金銭収入と軍馬生産を充実させ、早めに足軽&騎馬隊を揃えておけば問題なし。
これまでのアップデートでは、大きなシステム上の変更、追加は行われているものの、誰でも戦国の雰囲気を楽しみながらサクサク遊べるというゲームのコンセプトは変わっていない。発売以降、一度プレイから離れてしまった人も、今回のものを含むアップデートを反映させてもう一度戦国ドラマを味わってみてはいかがだろうか。
今回のアップデート内容
【機能拡張/調整】
- 長尾為景、武田信虎に新しい志を追加
- 上杉謙信、伊達稙宗の志特性効果を変更
- 武将情報の能力表示(レーダー表示)を成長分がわかるよう改善
- 商業に“一括進出”、“一括投資”、“一括独占”の機能を追加し、UIも改善
- 施設に対する地震の効果を調整
- 交渉で兵糧や金銭などを要求した際、対価として同盟・通商が提示されないように変更
- 他勢力の攻略に連れて行ける援軍部隊は、参戦表明した勢力の部隊のみに変更
- 大商圏が成立している国内で築城しても大商圏が解体されないように変更
- NPC勢力の迎撃時のAIを調整
- NPC勢力の外交AIを調整
- 開発コマンドに“施設情報”を確認できるボタンを追加
- 一部コマンドでリストのソートが記憶されるように変更
- 開発コマンドの施設一覧に“影響拠点数”を表示するように改善
- 捕虜処遇・配属での武将リストに“個性”タブを追加
- 人口増加量を城の流民数が影響するよう修正
- その他、細かい表示やバランスを修正
【不具合修正】
- 敵部隊の予測ルートがふたつ表示されるケースがある不具合を修正
- 足軽、農兵の目標値を0にした状態で、開発を委任すると停止する場合がある不具合を修正
- エンディングの表示がおかしくなるケースがある不具合を修正
- 羽柴秀吉の志特性効果が解放されないケースがある不具合を修正
- 他勢力の拠点しか隣接していない郡に拠点隣接系施設が新設できてしまう不具合を修正
- 返還の対価の物資が、増える勢力と減る勢力が逆になっていた不具合を修正
- 戦法“虎狩り”の一部の効果が発動していなかった不具合を修正
- 行軍個性“騎馬配備”、“間者諜報”、“韋駄天”、“忍斥候”の効果が意図通りでなかった不具合を修正
- 特性効果“征伐”の一部の効果が発動していない不具合を修正
- 取得済みの役職より低い位階の役職を自称する場合がある不具合を修正
- 「部隊編制」の「兵数一括変更」中に停止する場合がある不具合を修正 ※Windows版、iOS/Android版のみ。
- クロスセーブ関連の不具合を修正 ※Windows版のみ
- 外交ビューで他勢力同士の外交関係が確認できない不具合を修正 ※プレイステーション4版、Nintendo Switch版のみ
- 農業を委任した際にひとつの拠点でふたつのコマンドが実行される場合がある不具合を修正
- 3月30日公開のパッチ以降、登録武将を削除すると一部キーの入力を受け付けなくなっていた不具合を修正 ※プレイステーション4版、Nintendo Switch版のみ
- 援軍に貸し出し中の拠点の武将を配属で移動させることができる不具合を修正
- 親よりも年長の娘が登場する場合がある不具合を修正
- 大名が変わった際に、志を引き継ぐとしても解放状態がリセットされる不具合を修正
- 決戦中に、射程外の敵部隊に対して鉄砲戦法が提案されることがある不具合を修正
- 労役免除を実行している拠点で開墾が推奨されることがある不具合を修正
- “忍の里”が集結中の軍勢に襲撃する際に、まだ到着していない部隊にも被害を与えていた不具合を修正
- 縁組しても次月になるまで後継者として選べない不具合を修正
- シナリオ「沖田畷の戦い」での徳川家の同盟関係を修正
- シナリオ「群雄集結」で一部武将が意図しない所在となっていた不具合を修正
- 関ヶ原の郡に築城・新設ができない不具合を修正
- 一部の養子関係を変更
- 平戸港の表記を“平戸湊”に修正
- 富永直勝の読みに誤字があった不具合を修正
- 郡“石廊崎”の名称が文字化けしていた不具合を修正
- その他、細かい誤字や不具合などを修正