『ザ・デッドヒートブレイカーズ』レースゲームでタワーディフェンスなぶっ飛んだ設定の怪作に注目。戦いは準備段階から始まる

初めて遊んだときに「何これ!」という感覚を味わわせてくれる一風変わったゲーム、『ザ・デッドヒートブレイカーズ』のプレイインプレッションをお届け。

 任天堂は、定期的に独創性のある作品を生み出してくれる。パッと思い浮かんだ3つのタイトルを挙げるなら、『大合奏!バンドブラザーズ』、『ぼくらはカセキホリダー』、『わがままファッション ガールズモード』などがそれ。ちょっとたとえが古くて恐縮なのだが、初めて遊んだときの「何これ!」という感覚は、いまでも印象深く心に残っている。

 今回、紹介するニンテンドー3DS用ソフト『ザ・デッドヒートブレイカーズ』(2018年4月26日発売予定)も、まさに同じような感覚で強烈な印象を残してくれた作品。爽快なレースゲームとアクション要素の高いタワーディフェンスゲームを融合させたような内容になっているのだが、登場キャラも世界設定も一風変わっていておもしろい。本記事では、そんな『ザ・デッドヒートブレイカーズ』のユニークなポイントをいくつかピックアップして解説していきたいと思う。

削り、砕くアクションが気持ちいい

 『ザ・デッドヒートブレイカーズ』は、2012年に配信されたダウンロード専用タイトル『ザ・ローリング・ウエスタン』の流れを汲んだ作品。キャラクターや世界観など引き継いでいる部分は多いが、『ザ・ローリング・ウエスタン』を知らなくてもまったく問題ない。以前はタッチスクリーンをアクセル代わりにする操作だったが、本作ではボタンによる操作に変更されている。

 ゲームの舞台は、大崩壊が起きて荒廃してしまった世界。筆者のプレイ中のイメージとしては『マッドマックス』や『北斗の拳』に近い世界といった感じだ。そんな感じであるのに、登場人物たちは全員ケモノ……。砂塵の舞い上がる乾いた土地で、無骨な巨体をガタガタ言わせながら猛スピードで疾走するトレーラー。その運転席にちょこんと座るケモノ。このギャップがおもしろい。なぜだか、いたく気に入ってしまった。

 本作の主人公はアルマジロを擬人化したような姿のジローで、相棒は天才メカニックのリッス(当然リス)。そして、自分のMiiをケモノ化した“ケモだち”も第2の主人公として参戦することになる。ほかに友だちや家族のMiiも傭兵のような存在である“ガンナー”として登場。荒廃した世界でともに戦っていくのは、なかなか熱いものがある。

 対する敵は当然、残虐な悪党ども……と思いきや、何と宇宙から飛来する岩石のようなモンスターたち。プレイヤーはジローを操りながら、ケモだちやガンナーを率いてモンスターを撃退し、開拓地を守っていくことになる。

 ジローはリッスが開発したエンジンを腰に装着しており、丸まった状態で高速移動が可能。パワーを溜めて体当たりをブチかませば、岩石のようなモンスターのボディーもやすやすと打ち砕く。鋭いツメで連続攻撃を仕掛ければ、堅い表皮もガツンガツンと削り取ってしまうなど、さまざまなアクションをくり出すことができるのだが、これがかなり気持ちいい。とくに、自身の身体を高速回転させながら敵に取り付き、ガリガリと削り取っていく技がお気に入り。削り攻撃にはモンスターから入手できる素材やアイテムが多くなるという利点もあるため、夢中になって削ってしまった。

 これらの強力な攻撃アクションを武器に、多彩な地形の村を防衛するのが本作のキモ。つぎはその部分を詳しく解説しよう。

バトルの準備段階からすでに熱い

 本作のバトル要素は大まかに、敵の攻撃から拠点を守っていくタワーディフェンスパートと、残った敵を粉々に打ち砕いていくレースアクションパートのふたつに分けられる。大きくゲーム性の異なるふたつのパートが、うまい具合に融合してとてつもない達成感や爽快感を生み出しているのが『ザ・デッドヒートブレイカーズ』の大きな魅力と言えよう。

 前半のタワーディフェンスパートでは、マップ上に点在する拠点を防衛するのが目的となる。拠点に避難しているブタのような生物“マンジュー”がゼロになるとその拠点は大破となり、すべての拠点が大破すると負けとなるので、プレイヤーは敵の接近を阻止しながら撃破しなければならないのだ。ただし、それらはバトルが開始してからの“戦術”の話。

 本作がユニークなのは、バトルが始まる前の“戦略”の時点で奔走しなければならない点。バトル前の準備としてプレイヤーは拠点に味方のガンナーを配置できるのだが、まずこのガンナーを雇うところからすでにバトルは始まっていると言っても過言ではない。

 ガンナーは使う武器によって攻撃範囲や消費バッテリー量が異なり、加えて個人差もあるため、有能なガンナーを見出すことも重要となる。雇うには費用も掛かるのでバイトで金稼ぎも必要と……とにかくやることが盛りだくさん! バトルの準備に時間を掛けて戦略を練ることをシステムに組み込んだゲームは初めて体験したので、とても新鮮に感じることができた。

資金を稼ぐためのさまざまなバイトやゲームは、ケモだちが担当!

 で、攻撃範囲や拠点の危険度というデータを参考にしつつ、ガンナーの配置を済ませたら、その後は“フリーラン”となってジローを自由に行動させることが可能になる。持ち前の機動力を活かしてマップを隅々まで確認しつつ、拠点のバッテリーが減っていれば充電し、バリケードが弱そうなら鉱石を集めて強化。マンジューの数が心配なら“マンジュー草”を拾ってマンジューを増やしたりと、この段階でも大忙し。むしろ筆者はこの準備がめっちゃ楽しくて仕方がない。戦闘が始まる前に、確実に勝ちを拾えるように段取って、実際に勝ったときのしてやったり感がハンパではないからだ。

 そして、フリーランが時間経過で終了となるか、自分で切り上げると、いよいよ戦術レベルでのバトルがスタート。マップのいたるところにモンスターが降ってくるので、ジローを自分で操作するかプレイヤーの分身であるケモだちを向かわせて撃退していくことになる。もちろん、リアルタイムで進行するため、手際よく戦っていくことが重要だ。

 ジローは自分で操作できる分かなり強いのだが、地上を走って移動しなければならないため地形の影響が大きい。マップ上にはジャンプ台や段差などがあり、一方通行になっている場所も多く、地形を把握していないと大きなロスになってしまう。一方でケモだちは、オートでしか戦えないものの指定した拠点へ地形を無視して飛んでいってくれるという利点がある。

 ジローかケモだちか、あるいはふたりで堅い強敵に挑むか、瞬時に判断して的確な指示を出さなくてはならないという、この忙しいバトルは本当に激アツである。だいたいの場合、筆者はこの時点でかなりテンパってまごつくのだが、有能なガンナーを雇い、適材適所な配置を済ませておくため、ガンナーたちがうまいことフォロー。戦略がしっかりと活かされているというのも実感できて、とてもいい気分になれる。

 そんな攻防を行って敵の数を減らしていくと、モンスターが走行フォームへと変身。バトル後半のレースアクションパートへと移っていくことになる。

迫力の爆走レースで〆

 バトルの後半、モンスターが走行フォームに変身すると拠点の防衛は一旦終了。ゲームの目的も爆走するモンスターたちを走りながら削って砕き、制限時間がゼロになる前に1匹残らず撃破することに変更。攻められっぱなしだった前半戦から一転、今度は攻勢に出ていくという変わりっぷりが清々しい。ノリで言えばバーチャルコンソールにもあった『タイトーチェイスH.Q.』が近い感じか。

 高速で移動する敵に体当たりをかまして砕いていくのは単純に気分爽快。迫力もハンパではなく、『ザ・デッドヒートブレイカーズ』というタイトルは、まさにこの場面にピタリと当てはまる。当然ながら、敵も砲撃を放ったり暴れて体当たりを邪魔したりと妨害を仕掛けてくるため、高速走行をしながらも熱い攻防戦が展開。ブーストやボムなどの特殊な技が使えるバトルチップを使いながら1匹、また1匹と撃破して追い詰めていくのは、かなり手に汗握ってしまう。準備を含めるとそれなりに長いバトルのクライマックスということもあり、けっこうな快感も伴ってくれて素晴らしい。なお、制限時間が切れてしまうと敵はさらに手強い完全体へと変身してしまうので、報酬を多く手に入れるためにもサッサと倒してしまいたいところだ。

特製ドリンクの解説にも注目

 本作が一風変わった楽しいゲームというのは伝わっただろうか。バトルの準備は、文章で見ると複雑そうに思えるかもしれないが、順番を決めてやっていけばよく、難しいことは何もないので安心してほしい。何ならガンナーの配置もオートでできるし、誰を雇えばいいかもリッスからアドバイスがもらえる。非常に親切設計なので、それに頼るのも全然アリ。

 ついでに言うと、ガンナーを雇うホテルの1階にはバーがあり、カクテルのような特製ドリンクを飲むことができる。このドリンクの解説が噴飯もので、じつにバカバカしいことを大真面目に語っている。最初は流してしっかり読んでなかったのがいまとなっては悔やまれる。本作を遊ぶ人がいれば、ギャリソンの解説はしっかり聞いたほうがいいと思う。しょーもないついでにもうひとつ加えると、ヨーセツの店のトレジャー鑑定も勘違い具合が凄まじく必見なので、ぜひ売って確かめてみよう。



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※画面は開発中のものです。