2018年4月14日(土)、『ファイナルファンタジーVII』(以下、『FFVII』)の吹奏楽コンサートツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY VII BRASS de BRAVO with Siena Wind Orchestra”の幕開けとなる東京公演が東京・渋谷のbunkamura オーチャードホールにて開催された。演奏はもちろん、シエナ・ウインド・オーケストラ。本記事では、その夜公演のリポートと、公演後に行われた囲み取材の模様をお伝えしていく。
なお、本記事では、コンサートのセットリストなども含んでいます。前知識なしでコンサートに参加したいという方は注意してください。
“BRA★BRA FINAL FANTASY”(以下、BRA★BRA)は、作曲家・植松伸夫氏による制作総指揮のもと、2015年から毎年開催されている『FF』シリーズの楽曲を扱う吹奏楽コンサートツアー。
4回目の実施となる今回は、シリーズ全体の名曲をカバーしてきた例年とは異なり、『FFVII』の楽曲のみをフィーチャー。『FFVII』単独のコンサートはスクウェア・エニックス公式では初の開催となる。
開演後、ステージに登場した植松氏は、来場者に挨拶した後、毎年お決まりとなった“ブラボー係”を選出。ブラボー係とは、すばらしい演奏に対して「ブラボー!」と褒めたたえる、いわば盛り上げ役だ。植松氏が「ブラボー係を決めていきたいと思います!」と観客に立候補を促すと、会場の至るところから「ブラボー!」の声が上がり、アピールが始まった。声を張り上げながら挙手する観客の合間を縫って、植松氏が直々に観客席を走り回って係に任命していく。過去3回にわたるツアーで築き上げられた、“BRA★BRA”ならではの演者と観客の距離感の近さを感じる瞬間だった。
植松氏がひと通りブラボー係を選び終えると、いよいよ演奏がスタート。ゲーム開始時に流れる『オープニング~爆破ミッション』という、コンサートの始まりを飾るにふさわしい楽曲から、トランペットやホルンといった金管楽器が印象的な『F.F.VIIメインテーマ』、アレンジでさらに幻想的に生まれ変わった『星降る峡谷』と、つぎつぎに名曲が披露され、豊かで美しい音色をゲームの思い出とともに堪能できた。
そのほかにも『エアリスのテーマ』や『クレイジーモーターサイクル』、『片翼の天使』といった人気楽曲が演奏されたのだが、とくに盛り上がったのは、原曲と吹奏楽の雰囲気がぴったりマッチした『ルーファウス歓迎式典』。途中で楽器を使わずに声だけでメロディーを奏でるという、ちょっとしたサプライズがはさまれ、会場が大いに沸き立った。こうした、シエナ・ウインド・オーケストラによる、見て、聴いて楽しい演奏もBRA★BRAの欠かせない魅力のひとつだ。曲のバリエーションだけでなく、演奏方法にもメリハリが効いており、ふだんはコンサートに馴染みのない筆者でも飽きずに楽しめた。
そして、観客がただ聴いているだけではないのも、BRA★BRAの大きな特徴。ボディーパーカッションでセッションする『ケット・シーのテーマ』を始め、リコーダーを持参すれば演奏に参加できる『FINAL FANTASY メインテーマ』、楽器があれば、誰でもステージに上がってプロのオーケストラといっしょに演奏できる、毎年恒例のアンコール曲『マンボ de チョコボ』と、会場全体が一体となって楽しめるプログラムも用意されているのだ。
公演は約2時間半という長丁場だったが、その長さをまったく感じさせない、見どころの詰まったコンサートだった。これもひとえに、植松氏の「自由に楽しんでほしい」という思いがあったからこそだろう。ツアーはまだまだ始まったばかり。会場となる全国各地(そして台湾)で、その思いはさらに広がっていくはずだ。
東京公演(4月14日)セットリスト
<第1部>
- オープニング~爆破ミッション
- F.F.VII メインテーマ
- 星降る峡谷
- ケット・シーのテーマ
- FINAL FANTASY メインテーマ
- クレイジーモーターサイクル
- エアリスのテーマ
<第2部>
- ルーファウス歓迎式典
- 常に闘う者達(神羅カンパニー~神羅軍総攻撃~ウェポン襲来)
- 牧場の少年
- 花火に消された言葉
- 忍びの末裔
- 完全なるジェノヴァ
- 神の誕生
- 片翼の天使
<アンコール>
- ティファのテーマ
- マンボ de チョコボ