アメリカ・ボストンで2018年4月5日から6日(現地時間)まで開催されたゲーマーイベント“PAX EAST 2018”。『FFXIV』のシナリオ制作担当者が会場内の特設ステージに登場し、最新拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』のストーリーの誕生秘話を明かした。

 この日登壇した開発スタッフは、メインシナリオライターの石川夏子氏と、英語ローカライズリードのジョン・クロウ氏。味わい深い『紅蓮のリベレーター』のメインシナリオがいかにして形作られ、そしてそれがどのように各国の言語へと対応していくのか……一連の制作過程が初めて語られるとあって、ステージ周辺に大勢のプレイヤーが集結した。

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大歓声で迎えられた石川氏(写真中央)は、「Hello,PAX EAST!」と笑顔で応じていた。
放送内では、交響組曲エオルゼアのロサンゼルス公演の告知も行われた。
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プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏の“おみやげ”として提示された画像がこちら。バニー衣装を身にまとった男性キャラクターたちの姿が!
シッポもちゃんとついている。石川氏によると、この装備はパッチ4.3シリーズのどこかのタイミングで公開予定とのこと。

メインシナリオの制作工程が丸わかり!

 冒頭で石川氏は、拡張パッケージのシナリオは8つの工程を経て作られていることを公表。そのうえで『紅蓮のリベレーター』を例に挙げ、それぞれの作業内容を詳しく説明していった。

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8つの工程を順番に並べると、このような感じに。

【工程1】コンセプトを決定

 『FFXIV』のすべてを取り仕切る吉田氏が、冒険の目的や訪問する場所などのコンセプトを策定。そこから、本格的なシナリオ開発がスタートするのだ。

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『紅蓮のリベレーター』の開発に先立ち、吉田氏は担当チームに対して3つのコンセプトを提示。

【工程2】新マップの素案を作成

 つぎに、石川氏らメインシナリオライターが相談し、新規マップのコンセプトを決めていくことになる。

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シナリオよりも、フィールドの概要を先に決めている点が興味深い。
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舞台となる地域を設定した後、主要な街をどこに置くべきか検討が進められる。
クガネがひんがしの国の有力都市であることや、この街の所在地とは異なる島に首都が置かれていることなどが記されている。
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クガネは当初、“商館区”と“港湾区”の2エリアで構成される計画だった。

【工程3】シナリオキャンプ

 フィールドと主要な街の概要が固まったら、シナリオキャンプと呼ばれる会議を実施。吉田氏とメインシナリオライターが顔を合わせ、冒険の大まかな流れのほか、水泳をはじめとする新システムを開放するタイミングなどが決められる。

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議題に挙がった要素の数々。
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『紅蓮のリベレーター』のシナリオキャンプは、都内の貸し会議室で行われた。
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休憩中も書類に目を通さなければならないほど、会議のあいだは大忙し。

【工程4】プロットのアウトラインを策定

 物語の大筋を決めた後、新キャラクターの概要を示す書類が作成される。これをもとに、ダンジョンやクエストの制作チームが作業を進めていくのだ。その後シナリオチームは、いよいよプロット(物語のあらすじ)の制作に着手。今回は石川氏の手法を例に、プロット制作の実例が示された。
 ちなみに、今回のパネルで用いられた画像を通じて、『紅蓮のリベレーター』の主要人物の知られざる設定がいくつか明らかになっている。念のため、その画像に記されていた説明文をテキスト化しておくので、こちらもぜひお読みいただきたい。

<食べ物の好き嫌いに関する設定>
ヒエン:刺身や馬刺しなど、新鮮なものはナマがいちばんおいしいと感じるタイプ。(その性格は)アルフィノやアリゼーをドン引きさせている。苦手な食べ物はキノコ。ナマで食べるのがおいしいだろうと思って食べたら、腹痛で七日七晩苦しんだことがあるため。
ユウギリ:エオルゼアカフェのメニューにもある、雪見おにぎり茶漬が好物。嫌いな料理はとくになし。
ゴウセツ:いわゆる“昔話盛り”の白飯をガツガツと食べるのが好き。
ヨツユ:幼少期はおなかをすかせてばかりいたので、好き嫌いはない。オトナになってからも、食事にまつわる楽しい思い出がないので、内心は基本的にメシマズ(料理においしさを感じない)。キレイな飴をひっそりと好む。

<お酒の強さについて>
ヒエン:イケる口だが、酔う。笑い上戸。
ユウギリ:飲める飲めない以前に、飲まない。
ゴウセツ:イケる口だが、酔う。説教から泣きに入るタイプ。
ヨツユ:鍛えたのでザル。ただ、(お酒が)仕事の道具になるにつれ、嫌なことを忘れさせてくれるものではなくなってしまった。

<恋愛観に関する設定>
ヒエン:かわいい女の子は好きだし褒める。ただし、父から受けた“生涯で愛する女性は妻となる者ただひとり”という教えを尊重している。
ユウギリ:いずれ両親に孫の顔を見せてあげるのが孝行だろうと思いつつも、いまは眼前の戦いに集中。
ゴウセツ:妻と娘を失っており、心をほかに向ける気はない。主君が命!
ヨツユ:仕事としていろいろ経験しすぎて、心の中では男にも女にもうんざりしている。

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シナリオを作るうえで、石川氏は“冒険の道筋”と“キャラクターの個性”を重視している。
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石川氏が書き起こした紅玉海の地図。付箋をボードゲームのコマに見立てつつ、物語の進みかたやプレイヤーの移動ルートを考えていく。
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こうした地図を書く理由について石川氏は「すべての要素をメモしていくと、本当にやりたいことを見失いがちになるから」と説明。そうならないよう、「とくに重要な事柄だけをこうしてシンプルにまとめている」とのことだ。
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ゲーム内で実際に使われるかどうかに関係なく、さまざまな設定が決められていく。
石川氏が実際に書いた各種設定。ドマ関連の4人だけで、これほどの分量に。
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ヒエン、ユウギリ、ゴウセツ、ヨツユにまつわる設定。日本語で書かれた部分の内容は、先ほどご紹介した設定文とほぼ同じだ。
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先述の“冒険の道筋”と“キャラクターの個性”を踏まえたうえで、プロットが作り上げられる。