アメリカで発売され人気を博していたボードゲーム『The Game of Life』の日本語版として、1968年にタカラ(当時)が日本国内で発売を開始した『人生ゲーム』。2018年3月15日、都内にて初代の発売から50周年を迎える同作のこれまでの歩みと、今後の展開が語られる事業発表会が開催された。
人生ゲームと言えば、就職・結婚・出産といったベースを準えつつ、ジェットコースターのように山あり谷ありの人生を楽しめる、まさに人生の縮図を体現化したボードゲームである。波瀾万丈の人生を楽しむという基本部分は変わらず、時代に合わせてさまざまなトレンドや時流を盛り込みながら進化を遂げてきた『人生ゲーム』も、今年で生誕50周年を迎えることになった。
まずはタカラトミー代表取締役社長兼COO 小島一洋氏が登壇し、「50年に渡り、皆さまに『人生ゲーム』を遊んでいただけたことを感謝します。弊社は昨年50周年を迎えた“リカちゃん”、来年60周年を迎える“プラレール”、再来年50周年を迎える“トミカ”がありますが、『人生ゲーム』もここに並ぶロングセラー商品です。これまでに累計で1500万個以上の販売を重ねるなど、皆さまに多く愛されたのは、ゲームの勝ち負けを競うことだけでなく、世代を超えたコミュニケーションを愛していただけたものだと思っています。このあと、いろいろな事業概要を発表させていただきますが、ぜひ期待して、今後もご愛顧ください」と、ロングセラー商品に強みを持つ同社の特徴を交えつつ、今回の『人生ゲーム』50周年記念事業発表会開催の挨拶を披露。
続いて、タカラトミー 事業統括本部 ゲーム事業部 事業部長 佐戸憲一氏より、『人生ゲーム』50周年の事業コンセプトの発表が行われていった。「タカラトミーのゲーム事業部が商品企画やマーケティングをするうえでいちばん大事にしているのは、我々のゲームを通じて、人と人がもっと仲良くなることだと考えています」と、佐戸氏は同社のゲーム事業コンセプトを紹介。さらに、「そういった意味でも、非常にシンプルな『人生ゲーム』は世代を問わず、また男女を問わずに楽しめる、最強のゲームであると思っています」と、昭和後期〜平成という激動の50年を乗り越えてきた本作の特徴を語っていた。
佐戸氏の口から、今回50周年を迎える『人生ゲーム』の事業プランとして、以下の3つのプランが紹介された。
・50周年だからできる商品展開
・キャンペーン・イベント
・社会・学校・企業とのコラボレーション
ここで、日本版『人生ゲーム』の元となった『The Game of Life』を1960年にアメリカで開発したルーベン・クレイマー氏からのビデオレターがスクリーンに映し出され、「私のゲームを買うことで、美しい文化の一部を作ってくれた日本の親御さんたち、親愛なるタカラトミーの仲間へ。長年に渡る賞賛すべき努力と私への友情に、心から感謝します。そして、ゆるぎない人間関係とパートナーシップを心に刻みます。あなた方は間違いなくイチバンです!」とのメッセージが紹介された。
ここからは、タカラトミー ゲーム事業部 人生ゲームブランドプロデューサーを務める池田源氏にバトンタッチ。先ほどの佐戸氏が掲げた各プランの詳細な内容についての説明が行われていった。
池田氏はまず、“世代を超えて楽しむことをコンセプトにした50周年記念商品”として、3月31日に発売予定の新商品『人生ゲーム タイムスリップ』を紹介。同商品は、50年前の日本にタイムスリップをして、そこから現代に向かって旅をする壮大なゲームで、各時代を賑わせた話題がマス目を構築しており、盤面にもそれぞれの時代を象徴する建物を立体化して再現。ゴール地点には現在建設中の新国立競技場が設けられている。シリーズでおなじみの職業カード、お宝カードも、ゲーム中の年代によって価値が異なるなど、これまで以上に奥深い戦略性も持ち合わせており、さらには未来の50年を楽しめる追加ステージを繋げて楽しむことも可能になっている。未来ステージは、すでに確定している内容から、「こうなるといいな」という想像上のネタまで網羅。池田氏は、「大人の方は昔をいろいろと振り返り、子どもの方はこれから未来を創造していくということで、世代間を超えてみんなで楽しんでいただける、50年の集大成的な商品となっています」と、同商品の魅力をアピールしていた。
続いて、『人生ゲーム』と同じく今年で50周年を迎える『週刊少年ジャンプ』との奇蹟のコラボ商品『週刊少年ジャンプ 人生ゲーム』が紹介された。同商品は、『週刊少年ジャンプ』が50年積み上げてきた文化と、『人生ゲーム』が50年かけて醸成してきた文化が融合した商品で、現在連載中の作品だけでなく、過去作品も含めた約50作品を収録。歴代の有名なマンガのコマを再現したマス目もふんだんに登場するなど、マンガを読んでいる感覚で遊べる内容になっているとのこと。ここで、『週刊少年ジャンプ』の編集長、中野博之氏が登場。池田氏と中野氏による対談形式で、同作の魅力が紹介されていった。以下で、そのやり取りを紹介。
司会 今回は人生ゲームと、週刊少年ジャンプがお互いに50周年。同い年ということで、タカラトミーから『週刊少年ジャンプ 人生ゲーム』が発売されるということですが、じつは20年前の30周年のときにも、コラボレーションがあったんですよね。
中野 じつは1998年、お互いに30周年を迎えたときに一度コラボをしています。そのときは『こちら葛飾区亀有公園前発出所』と、当時連載が始まったばかりの『ワンピース』、『世紀末リーダー伝たけし!』の3作品でコラボした人生ゲームを作りました。こちらは読者プレゼントの商品でしたので、懸賞に当たった人しかもらえない、非常にレアな『人生ゲーム』です。
司会 今回、『週刊少年ジャンプ 人生ゲーム』を作るにあたって、どんなゲームにしたいという思いがありましたか?
中野 『人生ゲーム』、『少年ジャンプ』のどちらも好きな方はたくさんいらっしゃると思います。今回はせっかくのタッグですので、『人生ゲーム』のファンの方には、このゲームをプレイしたら『ジャンプ』のキャラクターの魅力が伝わる。反対に『ジャンプ』のファンの方たちには、『人生ゲーム』のおもしろさが伝わる。そういった相乗効果のあるコラボレーションになるといいなと思っています。
司会 それぞれのファンの方が、いっしょになって楽しめるような作品にしているということですね。
中野 まだまだ改良を加えているところですが、そういったゲームになってきていると思います。
司会 池田さんは、中野編集長たちの熱い思いを受け取って制作を進めていると思われますが、かなり大変そうですね。
池田 『ジャンプ』には尋常じゃないほどのキャラクターが登場するうえに、名シーンも多いですからね。開発担当者はコミックスを全部読んで、どのシーンを使うべきなのか。相当悩んでいましたよ。
中野 人によって好きなキャラクターやシーンって異なりますからね。
司会 池田さんも、『少年ジャンプ』は読まれていましたか?
池田 メチャメチャ読んでいました。愛読していた『少年ジャンプ』とタッグを組ませてもらえるなんて、夢のような話です。
司会 中野編集長は、『人生ゲーム』は遊ばれていましたか?
中野 もちろんです。うちは田舎の大家族でしたので、お正月には従兄弟らといっしょになって遊んでいました。だいたい借金まみれになっていましたが、借金をすると大変な目に遭うということも『人生ゲーム』で学びました(笑)。
司会 まさに人生について学ばれたということですね(笑)。相思相愛なおふたりが作られている『週刊少年ジャンプ 人生ゲーム』ですが、オススメポイントはどこになりますか?
池田 人生ゲームというと、普通はお金を稼いで優勝を目指すといったものになりますが、今作はお金に替わってJメダルというものが登場します。このJメダルをいかにたくさん集めるかで優勝が決まりますが、このメダルを集めるには、仲間をたくさん集めなければなりません。この仲間を集めていく部分が楽しいと思います。
中野 やはり『ジャンプ』といえば友情、努力、勝利ですので、友情で仲間を集めて、勝利を目指すと言った内容になっています。
司会 現在絶賛開発中とのことですが、段々とゲームが仕上がっていくのを見て、中野編集長はどう感じましたか?
中野 まだ改良中だとは聞いてますが、かなりおもしろそうです。コマのフィギュアもすごく出来がいいんですよ。ここは担当編集のチェックがいちばんうるさいところなんですが、かなりいい出来に仕上がっています。孫悟空や両さんといった誰でも知っているレジェンド級のキャラクターに、『約束のネバーランド』のエマですとか、『鬼滅の刃』の炭治郎といったキャラクターがいますが、まさしくいまの少年ジャンプで連載している現役の作品が、フィギュアでいっしょになる。こういった映像は僕も見たことがない、まさに50周年ならではのコラボだと思います。
司会 通常ではありえないコラボレーションですよね。
池田 人生ゲームのコンセプトでもある“家族”でというところで、お父さんは両さんや悟空をコマに使い、お子さんは『ハイキュー!!』の日向を扱うといった楽しみかたもできるのではと思います。
『週刊少年ジャンプ 人生ゲーム』は、2018年7月に発売予定で、現在は鋭意開発中。
最後に、中野編集長は来月より開催予定の“週刊少年ジャンプ展 Vol.2”のイベント告知を行い降壇。同イベントは『ドラゴンボール』、『スラムダンク』、『幽々白書』という、累計で発行部数1億を超えるレジェンド作品の生原画や、作品の雰囲気を味わえる展示がされるほか、オリジナルグッズの販売なども実施。中野氏曰く「これだけの原画が集まる機会は、二度とないかもしれません」とのことで、4月19日〜6月17日まで、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催される。