エナジードリンク・ブランドのレッドブルは、2月2日(金)よりゲームを取りまくあらゆる人が集まる場所として“Red Bull Gaming Sphere Tokyo”(レッドブル・ゲーミング・スフィア・トーキョー)をオープンした。本稿では、“Red Bull Gaming Sphere”の内部の写真、ローンチイベントの模様をお届けする。

 2018年2月2日(金)、東京都中野区にゲームイベント向け施設“Red Bull Gaming Sphere Tokyo”(レッドブル・ゲーミング・スフィア・トーキョー)がオープンした。本稿では、“Red Bull Gaming Sphere”の内部の写真、ローンチイベントの模様をお届けする。

 “Red Bull Gaming Sphere”内は、レッドブルらしい青を基調としたカラーリングで、観戦エリア、ストリーミング視聴エリア、ストリーミングエリアを用意(もちろんネットワークも完備されている)。「ゲームを取りまくあらゆる人が集まる場所」として、基本的に施設はだれでも使用できるとし、ストリーミングエリアでは自由に配信が行えるようだ。

ストリーミングエリア

 また“Red Bull Gaming Sphere Tokyo”は、すでに『League of Legends』(以下、『LOL』)公式日本リーグ“League of Legends Japan League”の全試合を、オフラインで観戦できることが決定している。ライアットゲームズのディレクター齋藤亮介氏は、「『LOL』をもっと身近にしていこう!」というコンセプトのもと、試合を生中継しているTwitchだけでは伝わない会場の熱気や選手の様子をオフライン観戦で間近に実感してほしいと述べ、「まさにこれがeスポーツであるということを現場で体感してほしい」と期待を寄せた。

 ローンチイベントでは、米国LAプロゲームチームEchoFox所属のプロゲーマー、チョコブランカも登場。同氏が女性ゲーマーを増やすべく2017年に結成した女性ゲーミングチーム“Project Gaming Girls ”(以下、P2G)に、日清食品“日清のとんがらし麺”がプリンシパル・パートナーとして協賛することが発表された。

 また、3月18日にはRed Bull Gaming Sphereでオフラインイベントを開催。このイベントを皮切りに、全国各所でオフラインイベントを実施すると言う。

チョコブランカ
“Project Gaming Girls”ユニフォーム

 また、5ジャンル5種目のゲームで戦う、東西2チームの対抗戦レッドブル主催のゲーム大会“Red Bull 5G ”は進化を遂げ、賞金制大会“Red Bull Monday Night Streaks”として新たなスタートを切る。

 1年間を通じて行われる賞金制のワンマッチショーとなる“Red Bull Monday Night Streaks”。「勝者は勝ち残り、次回の対戦相手はSNSを通じて参戦表明をして、後日SNSで挑戦者を投票で決定する」というエンターテイメント的なルールを採用している。※ゲームタイトルは現在未定で絶賛募集中
 気になる賞金額は、毎回99999円を即日現金支払いという、eスポーツの高額賞金問題(刑法賭博罪・景表法などによる規制)を配慮・意識したものになっていた。

 “Red Bull 5G ”は、賞金がない“日本のゲーマーに翼をさずける”というコンセプトにも現れているように、出場するゲーマーや、採用タイトル/ジャンルのゲーマーコミュニティにスポットライトを当てるのが主眼であるのが大きい。賞金制大会として復活を果たすことになるが、“日本のゲーマーに翼をさずける”というコンセプトは変わらないだろう。

プロ選手、パブリッシャーなど、それぞれの立場から見据える「夢のゲームシーン」

 さまざまな施策が発表された第1部が終わり、第2部ではよむネコ代表取締役の新清士氏、ライアットゲームズ日本法人の齋藤亮介ディレクター、レッドブルアスリートのプロゲーマー・ウメハラ選手、Twitch Japanの中村鮎葉氏が登場。デベロッパー、パブリッシャー、プロ選手、プラットフォーマーの4者の立場から見た、「夢のゲームシーン」と題した座談会が行われた。ここからは、座談会でとくに興味深い見解が述べられた一部分を紹介する。

左から新氏、齋藤氏、ウメハラ選手、中村氏

 それぞれの立ち位置から見たゲームシーンのいまについてデベロッパー代表の新氏は、ユーザーのプレイ環境が変わっていると述べる。よむネコが開発しているVR用RPG『Project BK』を例に、タイトルがまだ決まってない時点でユーザーにプレイしてもらい、フィードバックを受けながら調整を重ねているとのこと。Steamで配信されているアーリーアクセスタイトルでよく見られるように、「ユーザーに対してただ単に商品をリリースするのではなく、ユーザーとともに作り上げていく」という制作スタイルに変化しているそうだ。

 また、パブリッシャー代表の斎藤氏は、『LoL』ではゲーム内での不適切な発言をAIが学習して対処するシステムを採用していることもあり、現在のゲームシーンにおいて“AI(人工知能)”はとても重要なものであり、コミュニティの維持には欠かせないと言う。
 また、ゲーマーに指示されるには、単純にゲームがおもしろいだけでなく、eスポーツとゲーマーコミュニティも重視しないといけないと強調。「ゲームをプレイしないと分からないことがある。『LoL』というゲームとして、そして『LoL』コミュニティではなにが求められているのかを、自分がプレイヤーの一員になりゲーマーとしてのマインドから考えて提供していかないといけない」とまとめた。
 
 一方、プロゲーマーとしての意見を求められたウメハラ選手は、オンライン対戦といった技術の進化はとても便利で「ありがたいシステム」と語る。その反面、グラフィックばかりに力を入れてしまい、現在は長時間のカットシーン(ムービーシーン)が増えるといった技術重視の傾向に陥りがちで、「結局は受け手側(プレイヤー)にとってゲームが楽しくなかったらその技術は意味がないように思うし、快適ではない」と述べる。ゲーム制作においてそのあたりのバランスが、難しくなっているのではないかと感じるそうだ。

 ここで鮎葉氏から「デベロッパーとパブリッシャーは、コミュニティの意見をどのようにとらえている?」との質問に対し、「ガチで聞きたい」(新氏)、「自分もプレイヤーとしての接点をもつようにしている」(斎藤氏)と答える。
 ウメハラ選手は、格闘ゲームで課題となるキャラクターのバランス調整について、「たくさんの人の意見を取り入れたら、バランスは絶対に取れると思っている」、また、「まともな意見ばかりを取り入れると、驚きのあるアイデアは生まれないことを実感しているので、ゲーム作りはさらに大変だろうと思う」と意見した。

 また、これからの活動についてウメハラ選手は「ずっとプレイヤーでいたい。プロゲーマーという存在が許されてきている現象はありがたいです。子供のころ、「ゲームはやってはいけない」と言われた世代なので、その時代があったからこそ精神的に鍛えられたと思う」と自身の過去を振り返る。
 eスポーツについても、「(eスポーツ業界は)これからも勢いが増していくと思う。しかし、いまだからこそ真っ向からeスポーツという業界にぶつかっていく人がいないといけない。梯子を外されてすぐに崩れる体制は怖いので、たまには「ゲームばかりやっていて大丈夫か?」と釘をさされるくらいがちょうどいいなと思いました」と述べ、会場からは多くの同意の声と笑いが挙がった。

 最後に“夢のゲームシーン”について新氏は、「開発環境をオープンにしていく、社会に還元していくゲーム会社を作っていくことが夢」であり、通常であれば顔を合わせない4社がこのように意見交換することは、多様性を担保するうえで重要であると語る。
 一方で鮎葉氏は、現在Twitchが全世界のゲーマーに使われていることは「夢の状態に近い」と語る。しかしながら、現在のネットワーク技術ではラグやPingの問題を解決できていないため、今後のストリーミング技術の発展には通信技術においてのブレイクスルーが必要だと述べた。

 “Project Gaming Girls”のオフラインイベントや“League of Legends Japan League”大会会場と、ゲーム大会やイベントで使用される同施設。オープンな作りでかってがよく電源や通信環境は一通りのそろっているので、コミュニティ主催の小規模イベントにも適していると思われる。施設の使用料金などは明かされなかったが、今後は中野でゲームイベントが多数開催されることに期待したい。

レッドブルアスリートのプロゲーマー・ボンちゃん選手の姿も。