2018年1月28日、東京・浅草橋ヒューリックホールにて、セガ・インタラクティブのアーケードカードゲーム『三国志大戦』の“公式頂上リーグ ~決勝戦~が行なわれた。ここではその模様をお届けする。

続出する名勝負を”MR三国志大戦”でディープに観戦!

 本大会は2017年4月から12月まで開催されていた、“『三国志大戦』頂上リーグ”の決勝戦。毎月ゲーム内で集計されていた“英傑ランキング”上位進出者による選抜決定戦を経て選ばれた君主たちがダブルイリミネーション制のトーナメントで戦うという、通常の全国大会とは違った、長いスパンで行なわれた大会だ。参加した君主は以下の16名。

スネ夫 君主
はやて軍団1 君主
真と偽 君主
チュウボク 君主
修平 君主
蟻恢◇ぽろぴ 君主
ああああ◇ 君主(◇はハートマーク)
或椿 君主
もんぎゃは団 君主
RED 君主
仁義なき青井 君主
リュック∞ 君主
張ゾ~ェ… 君主
きら@君主
舞姫君主
まきしま君主

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選抜決定戦を勝ち抜いてきた16名の君主たち。
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トーナメント表はくじに書かれた番号順に君主自身が場所を決めていく形式で決定。そのためデッキや対戦相手との相性、1回戦の後を見据えての場所取りなどの読み合い+君主たちの一喜一憂する姿が見られた。

 大会はトーナメント1回戦を1台進行で行なったのち、勝ち残った者どうしが戦うウィナーズトーナメントをメインモニター+大会用の観戦システムを駆使して作られた”MR三国志大戦”で配信、敗北した君主が回るルーザーズトーナメントは別モニターで表示、という形で進行。実況解説が付いていたメインモニターで目立っていたのは、デッキだとここ最近上級者の間では流行の兆しを見せていたという象兵、SR祝融やSR花鬘を軸にしたワラタイプ(6枚以上のカードで構成されたデッキ)。そしてデッキを操る君主、“人”で大きな注目を集めていたのは、仁義なき青井君主。使用率の高くない高コストの騎馬、SRカク昭と操作量の多いR荀彧の反計を駆使した立ち回りで、会場に集まった多くの『三国志大戦』プレイヤーに感嘆のため息をつかせていた。

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セガ開発の大会実況システム、”bi-e-Play”によって作られた、MR三国志大戦。ゲーム中のさまざまな情報を立体的に可視化してモニターに映し出す。
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観客は通常のゲームプレイでは確認できない細かな兵力、ダメージ量、城ゲージ差を把握したうえで対戦のゆくえを見守ることができた。
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部隊の武力が上昇すると、操作している君主の姿も巨大化するといったお遊び的要素(?)も搭載。
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試合終了後はカウントごとの征圧率、計略を使用したタイミングを表示したグラフ、任意の場面をすぐに映し出せるリプレイ機能を使い、解説の花田勝氏君主&ゲストの夏候橋君主が勝負のポイントとなった場面を紹介。
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象デッキの活躍が目立ちつつも高コストの騎馬を主軸に置いた従来のワラデッキ、魏、呉、蜀、漢軍の号令系デッキも1組以上が参戦。デッキのバリエーションは過去作の全国大会と比べても、豊富と言える大会だった。

 休憩を挟んで行なわれたルーザーズトーナメント準決勝からは、ふたたび1台進行でスタート。ここで対決したのは、初戦は落としたもののルーザーズトーナメントでは大会直前に完成したという3騎馬+R荀攸のデッキがハマり勝ち上がってきたはやて軍団1君主と、引き分け再試合も含めた象デッキどうしの戦いを制してきた真と偽君主。試合はデッキの枚数差を活かして序盤~中盤は真と偽君主が征圧戦で有利に立ち、先に城ゲージを削る展開で進行。しかし試合後に「早めに計略を使い過ぎた」と真と偽君主が振り返ったように、終盤ラスト25カウントを切ったころにははやて軍団1君主が理想的な状態で攻め上がって反撃。法具を絡めたR荀攸の計略、大水系で勝負は決まりと思いきや、ここではやて軍団1君主は真と偽君主のSR祝融を計略の範囲に入れ逃すという痛恨のミスを犯し、その結果勝利は真と偽君主のものに。

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最終的には1コストの攻城ダメージが勝敗を分けるという接戦で終了。

 ルーザーズトーナメント決勝は、今大会の主役ともいえる象デッキの潮流を作ったひとりと言われる蟻恢◇ぽろぴ君主と、真と偽君主の戦い。内乱1回の差で勝負が決まることが多い象デッキどうしの戦いのため、試合はじりじりとした玄人好みの展開になるかと思いきや、開幕は真と偽君主の伏兵配置を完全に読み切ったかのような進軍を蟻恢◇ぽろぴ君主が見せ、最初の攻めで内乱ダメージを獲得。城ゲージ差で見ればわずか、しかし試合展開的には圧倒的なアドバンテージを確保した蟻恢◇ぽろぴ君主は続く攻めでも内乱を決めたうえ、真と偽君主に低い位置でSR祝融の計略を打たすことに成功。真と偽君主も一度は内乱を取り返すも、最後まで主導権を握ることは叶わずに敗北。グランドファイナルは、ウィナーズファイナルで仁義なき青井君主に敗退した、蟻恢◇ぽろぴ君主が再度挑む形になった。

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SR祝融の計略をどの位置、状況で打つか(打たされるか)が勝敗の分かれ目になった印象が強い試合だった。

 頂上リーグの最後を飾るグランドファイナル、1戦目は負ければ即敗退となる蟻恢◇ぽろぴ君主が奮起。開幕こそ押し込まれるものの、城ダメージを受けずに押し返すことに成功。逆に残り70カウントを過ぎたあたりからは攻勢に転じ、内乱によってリードを獲得し、その後は相手のキーカード、SRカク昭を中心に徹底的にマーク。仁義なき青井君主が理想的な形で攻め上がれる時間を最後まで作らせず、残り5カウントまで攻城も内乱も起こさせない立ち回りで封殺。勝敗を1-1のイーブンに戻し、蟻恢◇ぽろぴ君主がグランドファイナル2戦目へと持ち込んだ。

 ウィナーズファイナルを含めるとこの日3度目の対決になった両者の戦いは、先ほどの戦いで失敗した開幕直後の内乱獲得を仁義なき青井君主がもぎ取ったため、蟻恢◇ぽろぴ君主が不利な展開で進行。蟻恢◇ぽろぴ君主はそれでも残り40カウントあたりで内乱を取り返して一時は逆転するが、これはどちらかというと仁義なき青井君主があえて“取らせた”城ダメージ。残り30カウントあたりからは、内乱の攻防中に全武将の足並みを揃えて理想的な形で攻め上がった、仁義なき青井君主のターンへと移行。敵陣近くで張姜子の計略を荀彧の反計で無効化すると、続いて放たれた蟻恢◇ぽろぴ君主の法具、連環の法は速軍の法でほぼ相殺。すると、盤面のほとんどが仁義なき青井君主の征圧地域になるという、完全有利な状況へと変化。最後の最後で起こった不確定要素、一騎打ちも制して2度目の内乱を獲得すると、ここで勝負あり。そのまま仁義なき青井君主が勝利し、長きに渡って開催された頂上リーグの初代覇者となった。

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負ければ勝ちに暗雲が立ち込めたであろう一騎打ちも冷静に対処。グランドファイナル2戦目は、終始試合をコントロールした仁義なき青井君主に軍配があがった。

仁義なき青井君主インタビュー

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――まずは優勝した率直な感想からお願いします。

青井 頂上リーグで始まる前にデッキで悩んでいて、まさか優勝できるとは思ってなかったです(笑)。

――デッキは頂上リーグの選抜決定戦を抜けた時からは変わってないですよね?

青井 はい。決勝前に1個いいデッキを思いついてはいたんですけど、ここで変えるよりはいまのデッキのほうが好きで、そのよさも見せたかったのでカク昭、荀彧の方で出ました。

――今日始まる前に当たると嫌だなって思っていたプレイヤーは?

青井 ああああ◇君主(◇はハートマーク)とチュウボクくん、もんぎゃはさんですね。とくにチュウボクくん、もんぎゃはさんには10回やったら10回勝てないと思うので。それが3人ともブロックの片方に固まってくれたのが大きかったかなと。

――今日の試合は結果、内容ともに文句なしというかどれも名勝負という感じでしたが、戦ってつらかった試合はありましたか?

青井 負けたなと思ったのは張ゾ~ェ…さん戦ですね。開幕きれいに特攻戦法までつなげられて。ただカウンターに行った時に思ったより(自分の城ゲージが)削られてなかったので逆転できました。あと反計が決まったのもデカかったですね。あそこは荀彧の方じゃなくて程昱の方の範囲にたまたま入っていただけなので。運がよかったなと。

――あれだけ反計が決まる秘訣は? ふつうだとマークすべき計略が2、3種類あると通しちゃう気がするのですが……。

青井 たとえば3択になってる場面だったら、まず1個目は通したら絶対ダメな“位置”にいるカードをマーク、つぎは止めたいけど通してもまあいいかなと思える武将、最後はがんばろうの位置(荀彧から最も遠い位置)を見るという感じです。やっぱり通したらダメなカードを見ることですね。あとは心理戦になる部分も多くて、修平くんとの試合なんかは向こうが深読みして正面から出てきたおかげで反計できました。あの時こっちは「程昱の体力がヤバい」と思ってそっちにしか頭がいってなかったので(笑)。大会だと反計は強いですね。

――心理戦になるということは、同じ相手と連戦になったりすると見る位置を変えたりしますか?

青井 ありますあります。やりづらくなる、やりやすくなるは相手によって変わるんですけど。開幕うまくいって勝つとつぎの試合もそのままの勢いでうまくいくことが多いんですけど、1回負けちゃうとこっちが○択にかけられているように感じますね。

――今日の決勝がまさに負けた後の試合でしたが、蟻恢◇ぽろぴ君主との2戦はどうでしたか?

青井 ふだんから蟻恢さんとは全国対戦でも当たっていて、基本はずっと祝融だけを打ってくるイメージだったんですけど、1戦目で花鬘を打たれたところで焦って、あそこで無駄な援軍を打たされてやられましたね。2戦目は自分で言うのもなんなんですけど終始落ち着いてやれたと思います。中盤でカク昭が端攻城にいったところなんかでそう感じましたね。

――今日の大会というか『三国志大戦』全体の環境の話になりますが、象が流行ったのっていつぐらいからなのでしょうか? 去年の終わりにR陸抗が流行ったぐらいまでは知っているのですが……。

青井 蟻恢さんがいまのデッキを使い始めたあたりからですね。頂上リーグに出るようなプレイヤーのランク帯では全国対戦でもふつうによく当たります。そこからみんな「このデッキは強いな」と思い始めて流行りましたね。最上位だと陸抗や朱儁皇甫嵩は対策されすぎてて、いまは逆に少なくなってます。

――今回のデッキもですが、青井さんはUC程普で頂上決戦のリプレイに登場したりと、言ってしまえば変なデッキで勝っているイメージが強いです。これは開発側の人間でもあるから露骨に強いカードは使わない……みたいな考えがあったりするからですか?

青井 (わざわざ変なデッキをつかっている)そんな意識はないんですけど、開発に携わっている以上、使われていないカード、今回で言えばカク昭みたいな日の目を浴びていないSRを使って強さを見せたい、知ってほしいというのはありますね。あとは元々昔から使われていないカードで勝つのが好きというのもあります(笑)。

――では最後に青井さんの目標……よりは今後の『三国志大戦』についてのコメントで締めてもらったほうがいいですかね。お願いします。

青井 ぼくはイベントを見るのも好きなんですけど、参加するのもやっぱり好きで。実際に参加するとおもしろいなと改めて思いました。もっともっと店舗大会に参加する人が増えてくれて、エリア大会をその地域の人が集まって見てくれる……それがルーティーンになるというか、定期的に行なえたらと、個人的には思っています。