『北斗が如く』インタビュー 原哲夫先生に聞く!「黒田崇矢さんのケンシロウ、どうでしょう?」

2018年2月22日発売予定のプレイステーション4専用ソフト『北斗が如く』。キーパーソンである原哲夫氏、黒田崇矢氏、佐藤大輔氏に、本作が生まれた経緯や新たなケンシロウについて語ってもらった。

 2018年2月22日発売予定のプレイステーション4専用ソフト『北斗が如く』(セガゲームス)。2017年8月26日開催の“龍が如くスタジオ新作発表会”でその開発が明かされ、大きな話題となっている本作だが、中でも注目すべきはケンシロウ役に、『龍が如く』シリーズの桐生一馬役でおなじみの黒田崇矢氏が起用された点だろう。本記事では、『北斗が如く』が実現したキーパーソンと言える、原哲夫氏、黒田崇矢氏、佐藤大輔氏に集まっていただき、本作が生まれた経緯、新たなケンシロウについて語ってもらった。

※本記事は、週刊ファミ通2017年9月14日増刊号掲載のインタビュー記事と同内容です。

『北斗の拳』 ×龍が如くスタジオ 夢のコラボを具現化させた3人に聞く

原 哲夫氏(文中は原)
 世界的な名作マンガ『北斗の拳』の生みの親。 美しさと迫力を併せ持つその画風は、ほかの漫画家にも大きな影響を与えた。 近作には『いくさの子 ~織田三郎信長伝~』がある。

黒田崇矢氏(文中は黒田)
 大河ドラマなどへの出演経験を持つ。声優としては、多彩なアニメ作品やナレーションなどを担当する。代表作はもちろん『龍が如く』シリーズの主人公である桐生一馬。

佐藤大輔氏(文中は佐藤)
 龍が如くスタジオのコアメンバー。『龍が如く』からシリーズ作の開発に携わり続ける。『龍が如く 見参!』や『龍が如く3』、『バイナリー ドメイン』ではディレクターを担当した。

──今回『北斗が如く』というゲームを作るに至った経緯を教えてください。

佐藤 これまで『龍が如く』というシリーズを10 年以上作ってきました。なかには時代物やゾンビ物というスピンオフ作品もありましたけれど、「そろそろ新しい挑戦をしてみてもいいんじゃないか」という話があって。そこで出てきたのが、『北斗の拳』とのコラボレーションという案だったんです。『龍が如く』のゲームスタイルやバトルシステム、ストーリー性など、多くの要素をイメージしたとき、『北斗の拳』との相性はよく、おもしろいものが作れそうだと感じられました。そこで、さっそく原先生にお願いをすることにしたんです。

──原先生は、そもそも『龍が如く』というゲームはご存知でしたか?

 詳しくはないですが、 映像は観たことがありました。 印象は、「とてもリアルなCGがカッコいいな」というものでしたね。僕自身、バイオレンス系というか、ちょっと不良性があるものは好きなので。そんな作品を作っている方たちが「こんなゲームはアリですか?」と企画を持って来こられたことには驚きました。

──黒田さんがケンシロウの声を担当されるということも、大きなニュースのひとつでした。

佐藤 僕らが作るからには、龍が如くスタジオならではの『北斗の拳』にしたいと思っていました。ストーリーもオリジナルで横山(横山昌義チーフプロデューサー・『龍が如く』シリーズの脚本担当)が書き下ろしているんですが、そのほかに龍が如くスタジオとのコラボ感を最大限に活かせるものは何かと考えました。そのとき、龍が如く』の声優陣が『北斗の拳』を演じたらいいんじゃないかと思ったんです。個人的に、黒田さんがケンシロウの声というのは、すごく合っていると思っていましたし。ただ、原先生のイメージに合わない方を無理に推してキャスティングするつもりはなかったので、「まずは原先生に聴いていただこう」と。そこでさっそく、黒田さんの声のサンプルを準備しました。

黒田 そんなことになっていると知らない私は、ドライブ中に横山さんの電話を受けたんです。 「新しい『龍が如く』のスピンオフ作品の話かな?」 なんて思ったら……答えはまさかの『北斗の拳』のケンシロウ。思わずクルマの中で叫びましたよ(笑)。なにしろ『北斗の拳』は、世代的にも憧れ中の憧れのマンガですからね。ケンシロウに影響を受け、これまでクソ硬派に生きてきた結果、52歳まで独身ですし(笑)。

 それはぜんぜん関係ないですよね(笑)。

──(笑)。原先生は、黒田さんの声をお聴きになって、どんな印象を持たれましたか?

 前提として、僕はケンシロウの声って体格のいい人が出すのが適しているんだろうなと思っていて。ケンシロウと同じような体格、骨格をしている人が出す声というのは、聴く人にもわかると思うんですよ。

佐藤 サンプルボイスを聴いた原先生が「この人、身体が大きくないですか?」とおっしゃって。琴線に触れるものがあったんだと思います。

 いままで出会えなかった人に出会えた感じがしたんですよ。本物の強さが出ているというか。聞けば、実際に格闘技もやってらっしゃるということだったので、そこも高評価でしたね。声は、なんだか松田優作を彷彿とさせるところもあって。総じてよかったです。

黒田 私は、同じ劇団の後輩だったんですよ。

 そうでしたよね。運命的というか、理想のケンシロウに出会えたと思いました。サンプルの時点で、世界観がわかってらっしゃる感じはしていて。ケンシロウは正義の味方なんだけど、ただのいい子ちゃんじゃなくて、不良っぽさがあるキャラクター。黒田さんの声は、それを体現するような声だったので、その時点で合格というか。出会えてうれしかったですね。 そこにプラスで、「こう演じてほしい」というものは伝えましたが。

──具体的にどういった部分ですか?

黒田 アニメも見ていたので、「アタタタタ」って言うときに「ここでは高音を出さないといけないのかな?」ってずっと思っていたんです。そうしたら、原先生に「高音と言ってもそうじゃない、野生動物のような感じ」と。それを聞いて「原先生はそういったものを求めていたのか!」 と思いました。と同時に、私が格闘技をバリバリやって、アニメ化される前の『北斗の拳』を読んでいたときに感じていたイメージやリアリティーに近かったんです。肉体的にはきつい芝居なんですけど、そっちのほうが自分としてもやりたいものだったので、やり甲斐があります。

──収録された声を聴いて、いかがでしたか?

 かなりよかったです。ただ、怪鳥音のところはまだ人間っぽさが残っていて。もっと野性の猛禽類のようなソプラノっぽい声を出してもらえるといいなと思っています。有名なブルース・リーの怪鳥音とはちょっと違うんですが、ゴリラみたいなうなり声の低い声から怪鳥音に変化していくようなイメージですね。

──我々が思っているよりも、原先生がイメージしている声は動物的だったのですね?

 そうですね。動物的というか、どちらかと言えばターザンに近いかもしれません。

黒田 『北斗の拳』は有名すぎる作品なので、皆さんが持っているケンシロウのイメージがそれぞれにあると思います。それを壊したくないとは思っているんですが……どうやったら壊さないのかはわからない。そこで少なくとも、原先生が持っているイメージに対して忠実に演じようと思いました。

 いまのところ僕のイメージ通りですね。

──具体的なゲームの内容のお話なども原先生にされたと思うんですが、原先生からゲーム部分に対して、希望されるものはありましたか?

佐藤 ほぼなかったです。

 ゲームに関しては、『龍が如く』の世界観でやって欲しいんですよ。『北斗の拳』も来年が35周年ですからね。イチから新しいエネルギーを入れなければ、さらに長く皆さんに愛していただける作品にはならないと思っています。

佐藤 今回の作品のコンセプトには、「こんなケンシロウ見たことない」というものがあります。 たとえばケンシロウが黒のスーツを着てバーテンダーをやっていたりという、『龍が如く』ならありそうだな、という世界観を持ち込んでいるんです。正直、断られるかもしれないなと思いながらご提案したんですが、そこに関しても「おもしろいね」という感じでご快諾いただいて

 おもしろいのがいちばんですから(笑)。

佐藤 『北斗の拳』の世界観をそのままということではなくて、『北斗の拳』と『龍が如く』の世界観をそれぞれ立てて合わせたというイメージで考えていただけるといいかもしれません。

 そうじゃないと意味がないですしね。「楽しんで作っているな」とか「『北斗の拳』が好きなんだな」ということが画面や絵から伝わってくるものであれば、僕はもうそれでオーケーなんですよ。本当にやりたいことをやってくれているかどうかが、ひとつの判断基準かもしれません。それが正しいかどうかではなくて、好きかどうかというのがいちばん大事ですからね。

佐藤 非常にありがたいお言葉です。じつは、初めて原先生とお会いするに当たって、名越や横山らとお食事をさせていただいたんです。その場で感じたのは、原先生とエンターテインメントに対する考えかたが、龍が如くスタジオと合うということ。それならば「思いつく限りの楽しいことを詰め込んだほうがいいはずだ」という確信が得られました。『北斗の拳』をそのまま作るなら、我々がやる必要はないですから。

──確かにそうかもしれません。

佐藤 正直な話をすると、いま我々がケンシロウを演じたらいちばん格好いいと思ったからこそ、黒田さんを推した部分もあって。黒田さんの声がNGだったら、もしかするとこの作品はなかったかもしれません。桐生一馬をやってきた黒田さんがケンシロウをやるというのは、本作における「偉大な第一歩」だったんですよ。

黒田 本当に恐れ多いことですね。

──本作にはケンシロウなどの原作に登場する人物以外に新キャラクターも登場しますが、 彼らの立ち位置はどんなものに?

佐藤 原作の時系列もある程度踏まえながら作っているので、原作ファンの方にも楽しんでいただけると思います。そのうえで完全に新しいストーリーになっているので、原作に出てこないキャラクターが登場して、物語を牽引していくことになります。ゆえに、いままで『北斗の拳』にあまり触れてこなかった方や、若い世代の方でも楽しめるお話になっていると思います。

──『龍が如く』らしさは、どんなところに発揮されることになるのでしょうか?

佐藤 さまざまなプロモーション展開を検討しています。 あとは、『龍が如く』らしいバラエティー感ですね。いろいろなミニゲームやプレイスポットを考えているので、今後の続報をご期待ください。ゲームとしての仕掛けは、龍が如くスタジオが得意としてきたやりかたで、ケンシロウとのマッチングがいいものを正しく、たくさん入れるつもりでいます。

──では最後に、おひとりずつ、ファミ通の読者に向けてのコメントをお願いします。

佐藤 くり返しになってしまいますが、『北斗が如く』は原作をそのままゲームに落とし込んだわけではありません。完全なオリジナルのストーリーですし、龍が如くスタジオとコラボすることによって、原作やほかの作品では見られないケンシロウが見られるものになっています。 原作ファンの皆さんには、そこに期待していただきたいです。もちろん、『北斗の拳』に触れてこなかった方々も楽しめる内容になっています。

 ひと言で言えばケミストリー。化学反応が起きるのを楽しみにしています。黒田さんの声もそうですけど、新しいケンシロウとして、パワーアップして帰ってくると思うので、皆さん楽しみにしていてほしいですね。それと、新しい『北斗』として、ちょっと神室町感が入ってくるのでそのあたりも期待してください。ほかにもいろいろとワクワクする要素があると思うので、楽しみにしていただければ。

黒田 大好きだった作品の、しかもいちばん好きだったキャラクターを演じる機会を与えていただきました。舞台、テレビ、声を合わせれば、いままでとんでもない数のキャラクターを演じましたが、『北斗の拳』のケンシロウは、好きすぎて「これを演じたい!」って思うこともしなかったような役。黒田崇矢のケンシロウを、命かけてやるつもりで、魂入れて演じているので、ぜひとも皆さんに見ていただきたいですね。また、『北斗が如く』は龍が如くスタジオが作っているので、いままでの『北斗の拳』とは違うおもしろさがあると思います。そのあたりもゲームとして楽しんでいただければと思っています。



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