2017年9月2日に行われた『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の公式Web番組に、人気ロックバンドGLAYのTERUが生出演。吉田直樹プロデューサー兼ディレクターとのトーク内容をリポートする。

FFXIV』の“4周年記念14時間生放送”に、人気ロックバンドGLAYのTERUが出演。“直樹の部屋”と題して、吉田直樹プロデューサー兼ディレクターとコミュニティーチームの室内俊夫氏とともに、『FFXIV』にまつわるトークを展開した。

 周知の通りGLAYは、2017年4月から5月にかけて放送されたテレビドラマ『FFXIV 光のお父さん』の主題歌を担当。それをきっかけに同作をプレイし始めたTERUは、いまや立派な光の戦士(プレイヤーの呼び名)に成長したのだ。Twitterなどで頻繁に発信を行うほど『FFXIV』に没頭しているTERUは、『FFXIV』をどのように楽しんでいるのか……ついにその内実が、ご本人の口から明かされる時が来たのだ。

4周年を記念してTERUが吉田氏にシャンパンをプレゼント。ラベルには、TERUがマスターを務めるフリーカンパニー(大規模コミュニティー)のエンブレムが!

“直樹の部屋”は、この日3回に分けて実施されている。本記事では、“直樹の部屋 Part3”の中から、TERUのプレイスタイルにまつわるトークを中心にお伝えする。

●現実世界のツラさを語り合える環境を作るために

 プロデューサー兼ディレクターの吉田氏は当初、『FFXIV 光のお父さん』の主題歌のオファーを、GLAYは受けてくれないだろうと思っていたそう。予想に反し、前向きに検討しているという報告を受けた同氏は、「ぜひに」と即答。じつは、GLAYのメンバーであるHISASHIとTAKUROは、吉田氏と同じ高校のひとつ先輩。しかもHISASHIにいたっては、「中学校までいっしょ」。同郷出身のヒーローとして、かねてよりGLAYをリスペクトしていた吉田氏は、ドラマのプロデューサーであるぴぃさんとともに、偶然の一致が多い状況に驚いて、『FFXIV』のドラマ主題歌はGLAYしかないと思ったそうだ。そうして、ドラマを観て「ちょっとやってみたい」と思っていたところに吉田氏から『FFXIV』のパッケージを贈られたTERUは、さっそくゲームに挑戦。アウラ族の女性を選択して、本格的な冒険に乗り出したという。

小学生のころからゲームに親しんできたTERUは、当初マップなどを書き記したうえでプレイ。最近は初挑戦時の感覚を楽しむために、あえてこのような準備を省略しているとか。

『FFXIV』は、大勢のプレイヤーが同じ世界で冒険をくり広げるMMORPGというジャンルのゲーム。キャラクター名を始めとするプロフィールが丸ごと他人の目に触れるため、大多数の人は自身の“リアル”を隠し、かりそめの“もうひとりの自分”でプレイしている。

 ここで想像してみてほしい。“もうひとりの自分”で溢れる世界に、超有名人がログインしてきたときの様子を。TERUが操るキャラクターの周囲に大勢のプレイヤーが集結し、収拾がつかなくなるのではと思うはず。実際に吉田氏も、「せっかくゲームを始めてくださって楽しんでる雰囲気がある中で、いろいろな方に話しかけられた結果、もしかしたら嫌がらせを受けてプレイをやめてしまうのではないか」と当時の不安を吐露。しかしTERUは、そうした心配を杞憂に変えるほどのカリスマの持ち主だったのだ。

 放送中にTERUは、「GLAYのTERUとファンの子という関係ではなく、むっきーちゃん(TERUが操作する冒険者の名前)とそれぞれのキャラクターというところでコミュニケーションが取れているので。もう1個のセカンドライフみたいな感じで楽しめていますね」と説明。そのうえで「GLAYという母体があって、ファンの子たちとのコミュニケーションをちゃんとしてきたからこその結果だと思うんです。そういうのがなくて、ふつうにゲームを始めてしまっていたら、たいへんだったと思います」と長年の活動に基づく自身の考えを述べたのだ。

TERUは、ゲーム内で起きた出来事や自身の『FFXIV』に対する考えかたを終始笑顔で語っていた。

 一方でTERUは、『FFXIV』の中で初心者がスムーズにゲームになじめる環境の構築を目指した。いわく「初心者の人たちは、迷惑をかけたくなくてパーティを組まないのが多いんですよね。だから、そういう子たちに何とかして気楽に組めるような環境を作ってあげたい」という一念から、フリーカンパニーを設立。大規模グループのマスターに就任し、有志を集めることにしたのだ。そのうえで、知識や経験に応じてオフィサーやアドバイザーなどの役職に就いてもらい、初心者支援の活動を本格始動させたという。

 その狙いは、初心者が上級者に手助けをお願いできる環境を構築するため。さまざまな“リアル”の生活を送っている人どうしが、お互いの気持ちを通じ合わせられる状況作りを目指したのだ。実際にTERUは、「家でずっと遊んでいる人もいれば、仕事から帰って来て短い時間だけプレイする人もいて。そういうところでお互いの生活などを照らし合わせて会話することによって、苦しみやツラさというのをいろいろ相談し合いながらゲームを楽しめたらな……というのもありますね」と語っている。MMORPGを遊び始めてわずか数ヵ月のプレイヤーが、このジャンルのゲームが持つ楽しみの神髄を正確に見極め、かつ大勢の仲間を巻き込みながら、それを大規模に推進しているのだ。この洞察力と実行力こそが、スーパースターたるゆえんだろう。

 ちなみに、TERUのフリーカンパニーは瞬く間に400人を超える大所帯となり、上限500名という仕様から、いまは加入申請を中止している。加入希望者はまず加入待機リンクシェルに参加し、フリーカンパニーの“空席”を待つしかない状況だ。それほどの人気を誇る理由は、ここまでの記事を読んだ方であればおわかりかと思う。筆者は『旧FFXIV』時代を含めると約7年間本作をプレイし続けているが、これほどまでにコミュニティーを適切に運営し、かつメンバーを大切にしているマスターにほとんど出会った経験がない。この事実から、我らベテランプレイヤーもTERUから学ぶべき点がすごく多いことがわかる。高難度のバトルコンテンツで最強の武具を収集することだけが『FFXIV』の楽しみではない。困っている人を助け、仲間と楽しく過ごすための環境を作り上げることもMMORPGの大きな魅力なのだ。今回の放送を通じて、はるか昔に初めて感じた、どこか別の場所で暮らす誰かとモニター越しに語り合うあのワクワク感をなぜか思い出した。