まるでアートのような『Everything』
2017年5月20日、21日に京都勧業館 みやこめっせにてインディーゲームの一大祭典“A 5th of BitSummit”が開催。20日のメインステージには、ダブルファイン・プロダクションズのGreg Rice氏が登場。Rice氏は、Kickstarterで300万ドル以上を調達したアドベンチャーゲーム『Broken Age』のプロデューサーとして有名な人物だが、社外のクリエイターが開発した、個性溢れるインディータイトルをパブリッシングする“ダブルファインプレゼンツ”の業務全般も行なっているという。ステージでは、そのうち3つのタイトルが紹介された。
[2017年5月22日 午前11時20分]金額の記載に関して誤りがありました。お詫びして訂正します。
まずは、David OReilly氏が開発した『Everything』がプレゼンテーションされ、Oreilly氏本人もステージに登場した。『Everything』は虫や植物、惑星や宇宙など、1000を超えるキャラクター……この世のすべてのものとなって操作できる壮大なシミュレーションゲーム。デモンストレーションで、Rice氏はバクテリアとなってプレイしていた。
『Everything』はSteamで販売されているが、日本向けにローカライズはされていない。また、海外ではPS4版もリリースされているとのことだ。
かわいいキャラクターが魅力的な『Ooblets』
つぎに紹介されたのは、まだ発売されていない『Ooblets』というタイトル。アメリカはニューハンプシャー州に住むふたりの開発者が制作中の作品だ。
Rice氏によると、「“ポケモン”のような要素もあり、庭づくりの要素もあり、『Stardew Valley』みたいな要素もあり……この世界でのお散歩中、『どうぶつの森』みたいにかわいいキャラクターとお話をしたり、キャラクターを捕まえてトレーニングすることもできたり、といった内容です」とのこと。デモンストレーションでは、電車に乗って村へ行ったり、かわいいキャラクターが仲間になるようすを見ることができた。「のんびり遊んで楽しむのがいちばん」というゲーム性のようだ。
ただいまアーリーアクセスで遊べる『Gang Beasts』
そして、Steamにてアーリーアクセスで配信中で、PS4版も準備されているという『Gang Beasts』も実演された。4人で遊べるマルチプレイゲームということで、Rice氏のほかに会場から3人のプレイヤーを募り、ステージで対戦することに。ちなみに、イギリスのシェフィールドに住む3人のきょうだいが開発している作品だそうだ。
内容は、自分以外のプレイヤーをボコボコにして、ステージから突き落とし、勝ち残るというもの。デモンストレーションでは、駅のホームでの戦いが繰り広げられた。電車が迫りくるなか線路に相手を突き落とすという、結構バイオレンスなバトルだが、抽象化されたビジュアルと、参加者のワイワイと楽し気な雰囲気とで、殺伐とした空気はどこへやらといった印象だ。
『Psyconauts 2』はいろいろな国でリリースしたい
さて、プレゼンテーションの終了後、今回が初来日というRice氏にインタビューする機会を得た。まずはプレゼンの内容を受け、今回紹介された3タイトルを含めて“ダブルファインプロダクツ”でパブリッシングするタイトルをどうやって発掘しているのかを聞いてみた。
Rice氏はアメリカやヨーロッパなど世界中のイベントをまわっていて、クリエイターたちと関係を築いているのだそうだ。「そこから直接、パブリッシングの話に結びつくこともあるし、ビジネスを離れたところでクリエイターに自分の経験からアドバイスを贈ることもあります」とのこと。ダブルファイン・プロダクションでは、サンフランシスコで“Day of the Devs”というディベロッパーのためのイベントを開催しており、優れた作品はそこで紹介することもあるのだそうだ。ちなみに、“BitSummit”会場でもゲームを探したいと思っていたものの、ひとりで来ているためにブースを離れることができず、ほとんど見て回れていないんだとか。
つぎに、同社が扱う作品の日本向けローカライズの予定を聞いてみたところ、「それも今回の来日の目的のひとつ」と打ち明けてくれた。「日本のファンがどういうゲームに興味を持っているか調べて、関心を示してもらえるタイトルがあれば、ローカライズしたい」との意向だ。
そこで、話題の『Psyconauts 2』の日本語版についてもたずねてみた。『Psyconauts 2』とは、ダブルファイン・プロダクションの自社開発によるアドベンチャーゲーム。同社の第1作目である『Psyconauts』の続編で、前作同様、個性的なキャラクターによるコミカルなストーリーが展開される作品となりそうだ。
Riceさんの答えは「プロジェクトがはじまったばかりなので、まだなんとも言えませんが、確かにいろいろな国へ持っていきたいと思っています」。まだ何も決まっていないということだろうが、可能性はなきにしもあらず……といったところか。ほんのり期待しつつ、まずは2018年に予定されている作品の完成を待ちたい。