BitSummitらしい、ゆる〜いトークステージが実施
2017年5月20日、21日に京都勧業館 みやこめっせにてインディーゲームの一大祭典“A 5th of BitSummit”が開催。同イベントのメインステージにて、松浦雅也氏、吉田修平氏(SIE ワールドワイド・スタジオ プレジデント)、サカモト教授によるトークセッションが行われた。およそ20分の短いトークセッションだったが、ステージには大勢のファンが押し寄せて、盛り上がりを見せていた。ここでは、トークセッションの模様をお届けする。
開口一番に吉田氏は、「すごいKickstarterが始まりましたね」と切り出す。既報の通り、5 月15日に松浦雅也氏 ×『押忍!闘え!応援団』矢野慶一氏のタッグで贈る完全新作音楽ゲーム『PROJECT RAP RABBIT』のKickstarterでキャンペーンがスタートしたのは周知の通り。このゲームの舞台は、16世紀頃の日本と未来的な世界が融合した独特な世界が舞台。主人公であるウサギの少年”兎々兎丸(ととうまる)”は、現代のラップのような拍子物言いの不思議な力によって、戦の指揮をとったり、殿様を説得したりと、問題に立ち向かっていく物語になるとのこと。
本作では、フリースタイルラップバトル的な即興要素が入っており、歌詞に合わせてボタンを押すのが基本だった『パラッパラッパー』とは少し違ったシステムが採用される。松浦氏は、「フリースタイルのラップをゲームで実現したい」とアピール。吉田氏も「松浦さんの新作、矢野さんの新作だけでもすごいのに、おふたりがいっしょになってプロジェクトを始動させるのは、とても素晴らしい」と述べ、KickStarterの協力を呼びかけた。
なお、本ステージにはサカモト教授も登壇しているが、吉田氏はサカモト教授と話すのは初めてとのこと。「最近はどういった活動をしているのか?」との質問に対し、「よくJapanExpoといった仕事で日本国外に行くが、とりわけスウェーデンではチップチューン好きが多く、縁もあって国内外でゲーム楽曲を提供することもある」とのこと。吉田氏の「もっぴんさんが制作した『Downwell』も、8bitサウンドのかっこいいBGMだった」との意見に対し、ファミリーコンピュータソフト『8BIT MUSIC POWER』(非ライセンス)を制作した例をあげ、「8bitサウンドの音楽ブームが来るのかも?」と見解を述べた。
続いて、『ビブリボン』や『パラッパラッパー』を手がけてきた松浦氏は、リズムにのって正しくボタンを押すのでなく、もっと自由に、ゲームを介して自分を表現できたらいいと述べる。「やはり音楽や表現は本来自由なものなので、吉田さんのプレイがあり、松浦のプレイがあり、それらは比べられないと思う」とのこと。「ビデオゲームを作る際は、PCを用いたツールを使うのは必須。開発者が自分のイマジネーションを表現するツールでもあり、プレイヤーはそのイマジネーションをゲームを介して表現できたらいい」と語る。この松浦氏の考えは、『PROJECT RAP RABBIT』に強く影響しており、本プロジェクトにおいてどのように自己表現をするのかが気になるところ。これについて松浦氏は、「20年前に『パラッパラッパー』を発売したが、ユーザーから「『パラッパラッパー』はラップゲームではなくリズムゲームだ!」とおしかりを受けた」と明かし、今回の『PROJECT RAP RABBIT』ではラップゲームと自信を持って言える様、リリック(言葉/ラップにおける歌詞)自体をユーザーが作っていくシステムを採用することが説明された。
最後に松浦氏は、「ぜひ、皆さんにKickstarterキャンペーンに参加していただいて、『PROJECT RAP RABBIT』を成功させたいと思っています」と強くアピールし、ステージを締めくくった。