『モンスターハンターダブルクロス』クリエイターインタビュー完全版――“己の狩り”を突き詰められる新たな『モンハン』!

週刊ファミ通2016年11月17日号(2016年11月2日発売)では、カプコンのハンティングアクションゲーム最新作『モンスターハンターダブルクロス』のスクープ記事を掲載した。記事内にて実施した、スペシャルインタビューの完全版をお届け。

●フレッシュパワー参戦! より盤石となった開発布陣

 週刊ファミ通2016年11月17日号(2016年11月2日発売)では、カプコンのハンティングアクションゲーム最新作『モンスターハンターダブルクロス』(以下、『MHXX(ダブルクロス)』)のスクープ記事を掲載した。記事内にて実施した、スペシャルインタビューの完全版をお届け。インタビューに応じていただけたのは、こちらの5人。

モンスターハンター』シリーズプロデューサー……辻本良三氏(文中は辻本
モンスターハンタークロス』ディレクター……一瀬泰範氏(文中は一瀬
モンスターハンターダブルクロス』プロデューサー……小嶋慎太郎氏(文中は小嶋
モンスターハンターダブルクロス』ディレクター……市原大輔氏(文中は市原
モンスターハンターダブルクロス』メインプランナー……平岡拓朗氏(文中は平岡

▲左から、一瀬氏、平岡氏、市原氏、小嶋氏、辻本氏。

――まずは、『モンスターハンターダブルクロス』制作陣の編成についてお聞かせください。『モンスターハンタークロス』(以下、『MHX(クロス)』)では一瀬さんがディレクターでしたが……。

辻本 僕は引き続きシリーズ全体をプロデュースし、小嶋も継続してタイトル(『MHXX(ダブルクロス)』)のプロデューサーを担当しますが、今回はディレクターを市原、メインプランナーを平岡が担当する形になっています。このふたりは『MHX(クロス)』でもガッツリ関わっていた人間で、『MHX(クロス)』をとても熟知しているんですよ。若い世代からのフレッシュなパワーが欲しいという気持ちもあって、今回はこのふたりにタイトルを引っ張ってもらい、完成を目指しています。

一瀬 シリーズ作品ではありますが、同じ人間が作り続けていても、それ自体の変化はやはり少ないと思うんですよ。当然若い世代を育てるという意味合いもありつつ、新しい『MH』の風を吹かせられないだろうか、というところで、本作では市原、平岡のふたりを中心にした布陣にしています。……まぁ若いと言いつつも、そんなに若くはないんですけどね(笑)。

一同 (笑)

小嶋 しっかりと制作の経験はちゃんと積んでいる年齢ではありますね(笑)。『MH』に関わっていなかった人間が突然入ってくる、なんてことではなくて、ふたりとも『MHX(クロス)』の開発にしっかりと関わっている人間です。このふたりをメインにしつつ、一瀬もバックアップもしていますので、“クロス”の進化形をユーザーの皆さんにしっかりとお見せできると思います。

――せっかくですので、市原さん、平岡さんのおふたりに自己紹介をお願いできますか?

市原 はい。市原大輔と申します。『MHX(クロス)』ではモンスターの制作、開発進行を担当していまして、今回『MHXX(ダブルクロス)』のディレクターをやらせていただくことになりました。お話をいただいたときは、プレッシャーでしばらく震えながら眠ることになりましたが(苦笑)。

平岡 平岡拓朗です。『MHXX(ダブルクロス)』でメインプランナーを担当しています。『MHX(クロス)』では、モンスターとクエストシステムを担当していました。『MH』シリーズにはけっこう長く関わっています。一瀬とも同じチームで長くいっしょにやらせていただいていますね。

一瀬 平岡は『モンスターハンターポータブル 3rd』から、市原は『MHX(クロス)』からシリーズに関わっているんですよ。

――期待が高まる布陣ですね。さっそく本題ですが、『MHXX(ダブルクロス)』の制作コンセプトをお聞かせください。

辻本 2015年、お祭り感と、より自分のスタイルで自由に“己の狩り”を楽しんでもらおうというコンセプトのもとで、『MHX(クロス)』が発売になりました。おかげさまで多くの方々に遊んでいただきましたが、『MHX(クロス)』は、さまざまな要素が“クロス”しているのが特徴であり、魅力でもあったので、それにさらにクロスするような要素を入れて、この『MHX(クロス)』をさらに広く遊んでもらいたいと思っていました。ですので、今回はクロスにさらにクロスしてくるということで、タイトルも“クロス”に“クロス”を重ねた“ダブルクロス”という形にしています。『MHX(クロス)』のときに構築した自分のスタイルを貫いてもいいですし、『MHXX(ダブルクロス)』で新たに“クロス”してくる要素を踏まえて、新しいスタイルを生み出してもいい。『MHXX(ダブルクロス)』のテーマでもありますが、より“己の狩り”を突き詰められる内容になっています。

――なるほど。まさに正統進化形になりそうですが、これまでのアッパーバージョンのように、タイトルに“G”が付かないのには、何か理由があるのでしょうか。

辻本 そもそも、僕らの中では“クロス”という文字は特別なんですよ。もちろん『MH』シリーズの作品ではあるのですが、独自の要素を多く持つ特別なタイトル。そして、そんな『MHX(クロス)』をさらに広げるとなったときに、『MHX(クロス)』というタイトルを付けたときと同じ考えで、これまでとは違う、特別なタイトルを付けたいなと。前作の時にお祭り感のある独自の要素を持つタイトルなのでクロスと、いままでとは違うネーミングにしたので、今回もそれを踏襲してクロスならではのタイトルをつけたいと。

小嶋 いろいろな名称候補もあったのですが、やはり『MHX(クロス)』ならではと言えるような、文字力のあるタイトルがいいと考えました。いろいろな意味合いと、そして“X”が並ぶと絵的にも格好いいですし、ロゴデザイン上で見栄えがするというのも決め手のひとつになりましたね。

●ひと筋縄ではいかない、圧倒的存在感を持つ2頭の新メインモンスター

――迫力あるメインビジュアルにとても目を引かれます。こちらはどのようなコンセプトで作られたのでしょうか。

小嶋 『MHX(クロス)』では4大メインモンスターの存在が特徴のひとつでしたが、『MHXX(ダブルクロス)』でも、その4頭に負けないインパクトを持ったモンスターを生み出さなければならないな、という考えが土台にありました。それで今回は、2頭の新メインモンスターが登場するのですが、そのうちの1頭が大きく描かれているメインビジュアルになっています。

市原 新メインモンスターの翼が映えるような構図を、全面に押し出した作りになっています。注目していただきたいのが、ハンターたちが装備している武具です。これは、それぞれ『MHX(クロス)』のメインモンスター4体の素材から作れる武器や防具なんですよ。前作の4頭を狩猟したハンターが挑む、要は新メインモンスターが前作の4大メインモンスターをも凌ぐ存在であるというイメージが込められています。

――何かとんでもなく強大な予感がしますね! では、そんな新メインモンスターの1頭、“天彗龍 バルファルク”についてお聞かせください。

小嶋 超高高度の地域に生息することが確認された、古龍種のモンスターです。研究されるまでは空を飛行している形状から彗星のように思われていた存在ですね。

市原 “バルファルク”が最初に発見された場所が、『MHXX(ダブルクロス)』で初登場の新フィールド“遺群嶺(いぐんれい)”です。“遺群嶺”の存在自体は、龍歴院(モンスターの生態調査を行っている研究機関)も把握していたのですが、あまりにも高所にあるため、これまでは調査に行けなかったんですね。それで今回、新拠点でもある“龍識船(りゅうしきせん)”ができたことによって調査が可能になり、何かヤバいモンスターがいるぞと。

――大空を自由に飛ぶタイプのモンスターのようですね。何やらレーザーのようなものが……。

市原 ほかのモンスターでいう、ブレスのようなものですね。翼からエネルギーを噴出させ、その力で空を飛んでいます。胸部の器官から空気を取り入れて、それを翼から噴出させられるようになっています。実際に翼の骨の内部にまで肺(正確には気嚢)がある鳥類がいるので、そこをモチーフにさせていただきました。

小嶋 翼のことを“翼脚(よくきゃく)”と呼んでいるのですが、それをいろいろな形に変える……開いたり、閉じたり、前方に持ってきたりしつつ、さまざまな攻撃を行うモンスターになっています。

辻本 “バルファルク”という名称にも、ちゃんとした意味があるんですよね。

市原 ええ。武勇、豪胆を意味する英語“valor”に、“ファルコン”(隼)を掛け合わせて、“バルファルク”ですね。名称に関しては、既存のものと語呂が被らないようにする以外にも、“文化圏の違い”が感じられるように、という点を意識しました。

平岡 企画初期から、新メインモンスターのひとつは古龍種にしよう、という話が出ていました。『MH』の世界で特別感のある古龍種なので思い切りましたね。設定面でも踏み込んでいけるというのがあったので、エネルギーの噴射や翼脚の形状変化など、通常のモンスターでは想像できないような要素をたくさん盛り込んでいます。

――どんな無茶(笑)が盛り込んであるのか、いまから楽しみです。続いて、2頭目の新メインモンスター、“鏖魔ディアブロス”の解説をお願いします。

小嶋 こちらは二つ名持ちモンスターの筆頭と呼ばれるモンスターです。強力な二つ名持ちモンスターの中でも、より危険度の高い存在ですね。

市原 『MHX(クロス)』で登場した要素である二つ名持ちモンスターを、本作ではより広げることにしました。それにあたり、(コアなユーザーに向けた)開発側が示す最強のモンスターというコンセプトで生み出されたモンスターです。

――二つ名の“鏖魔(おうま)”とは、いったいどこから?

市原 まず“鏖”という文字なんですが、これって“みなごろし”とも読めるんですよ。

――(手持ちのノートPCで打ってみる)“みなごろし”と……あっ、“鏖”に変換できました!

市原 単漢字で変換できます(笑)。それほど凶悪な強さを持つイメージから付けられた二つ名です。

――角がとても特徴的ですね。一本が大きく、もう一本が歪んでいるような。

市原 通常のディアブロスも非常に立派な角を持っていて、それがハンターの目標になることが多いんですね。それで、若い個体が片角を折られ、ハンターへの復讐心が、あのような異形の角に顕れたのでは? というのが、目撃者の間でまことしやかに噂されていたり(笑)。

――バルファルクと同じく、かなり強そうですね! やはりほかの二つ名持ちモンスターのように、集会所でクエストを受注できるのでしょうか。

市原 はい。前作の集会所にあたる“集会酒場”で“鏖魔ディアブロス”のクエストを受注できます。また、“集会酒場”にいるキャラクターと関係したストーリーも用意されています。

――メインのストーリーに大きく関わってくる?

平岡 そうですね。ただ、二つ名持ちモンスターなので、“集会酒場”のクエストをかなり進めていただいたうえでの登場、という形にはなりますが。

小嶋 “バルファルク”と“鏖魔ディアブロス”、それぞれにまつわるお話が、本作のメインストーリー。“バルファルク”が龍識船、“鏖魔ディアブロス”が“集会酒場”を舞台とした話になります。

辻本 2頭とも、これから順次情報をお出しする予定ですので、ぜひ期待していてください。

――情報が待ち遠しいです。モンスターといえば、『MHX(クロス)』には登場しなかった、過去シリーズからの復活モンスターも多数いるようですね。

市原 第1報では、“ベリオロス”、“ディアブロス”、“ボルボロス”の3頭を発表させていただきました。このうち、“ベリオロス”と“ボルボロス”に関しては、2011年に発売された『MH3(トライ)G』以来の登場になります。その頃から遊ばれているユーザーさんには懐かしさを、最近シリーズに入られた方には新しさを感じていただけるだろうと、復活するにいたりました。

平岡 復活させた理由としては、狩猟スタイルや狩技など、ハンターのアクションも大幅に進化しているので、「過去とはまた違った狩りができるのでは?」という考えもありました。僕自身、「ベリオロスに対してブシドースタイルで挑む場合、どのように立ち回ればいいだろうか?」と楽しみになりましたし。

――チャージアックスと操虫棍を使って挑むのは、『MHXX(ダブルクロス)』が初になりますしね。

平岡 そうなんですよ。新しい武器種なら、新鮮な気持ちで狩猟に臨んでもらえると思います。

市原 女性ハンターのベリオロス装備を待ち望んでいたユーザーも多いでしょうしね(笑)。じつは、キリン装備に次ぐ人気装備だったりしますので。

一瀬 『MHストーリーズ』で知った人もいらっしゃるでしょうし、続けて楽しんでもらえれば。

――『MHストーリーズ』ではヒョウガというベリオロスが物語に関わってきましたね。“ディアブロス”は、ほとんどのシリーズ作に登場している常連のイメージです。

辻本 シリーズ作品では、『MH4』と『MHX(クロス)』のみ未登場で、それ以外は皆勤賞ですね。やはり“鏖魔ディアブロス”が出るのに通常種が出ないというのはあり得ないですし、通常種がいてこそ、二つ名持ちの存在がより大きなものになるという狙いもあります。

▲バルファルク

▲鏖魔ディアブロス