両コンテンツの魅力とコラボ内容を紹介
世界最大の1on1ブレイクダンス・トーナメント“Red Bull BC One 2016”と、格闘ゲーム『ストリートファイターV』が、コラボレーションを実現。2016年4月28日に、都内で記者発表会が開催された。その模様をお届けしよう。
ステージではまず、映像を交えながら、“Red Bull BC One 2016”の概要が説明された。同大会は、2004年よりスタートしている、ブレイクダンス・トーナメント。2015年には世界70都市以上で予選大会が開催され、公式Facebookページには191万人以上が登録、また世界中から約95万人以上がライブストリーミングを視聴するなど、強固なコミュニティを形成している。なお今年の世界大会は日本開催となり、2016年12月3日に、愛知県体育館で行われる予定だ。
続いては、同イベントのコラボレーションパートナーとなる『ストリートファイターV』の概要が、こちらもPV映像とともに紹介された。『ストリートファイター』シリーズは、これまで全世界で3700万本以上を売り上げた人気コンテンツで、ブレイクダンス同様に国を超えたファンコミュニティを形成している。今年開かれる、アメリカ最大級の格闘ゲーム大会“EVO 2016”の『ストリートファイターV』部門は、参加者がすでに4000人を超える人気ぶりだという。
最大の大会イベントである“CAPCOM CUP”は、2015年の世界大会賞金総額が25万ドル(約3000万円)と破格。またレッドブル主催の大会“Red Bull Kumite”の2016年大会は、約130万人がライブストリーミングを視聴するなど、eスポーツのコンテンツとしても高い注目を集めているタイトルだ。
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注目のコラボ内容に関しては、12月3日のワールドファイナルに向け、キービジュアル、コラボビデオクリップ、アレンジコスチュームなど、多角的なコラボレーションが展開される予定となっている。詳細は決まり次第、順次発表されるとのこと。続報に期待しよう。
カプコン開発陣がコラボの意義をアピール
コラボレーションの概要紹介の後は、最初のゲストが登場。ここではカプコンの『ストリートファイターV』プロデューサーである杉山晃一氏と、同アシスタントプロデューサーの綾野智章氏が、『ストリートファイター』シリーズについてのトークを展開した。
まず今回、なぜこうしたコラボを展開することにしたのかという点について、杉山氏は「“CAPCOM プロツアー”というリーグ大会で、スポンサードしていただいたりと、レッドブルさんには以前よりお世話になっていたんです。ですので、お話を受けたときには、ぜひ! という感じでした」と説明。そこで改めて“Red Bull BC One”を調べてみたところ、格闘ゲームと多くの共通点を感じたという。綾野氏もそれには同感とのことで、「出場者が並ぶスライドは、格闘ゲームのキャラクターセレクトだな、と思いました」と語った。
「世界中で予選をやって、最後にどこかで決勝戦をやるというスタイルも、『ストリートファイター』シリーズの世界観と似ています。また各キャラが必殺技を駆使して戦うところも、同じですね」(杉山氏)。
「ダンスの選手たち、リアルに竜巻旋風脚を出していますもんね(笑)」(綾野氏)。
またコラボの狙いという部分に関しては、ブレイクダンスのメインターゲットである若者にも、『ストリートファイターV』を広げていきたいという思いがあるという。
「『ストII』はさすがに、皆さんご存知かとは思うんです。でも今回『V』とのコラボで、もう『V』かよ!? というイメージを持たれている方も多いかもしれません。僕らの反省点でもあるのですが、『III』から『IV』は、10年くらいシリーズ作を出さなかったんですね。だから、若年層を育てきれてなかったんじゃないか、と」(綾野氏)。
「『ストII』にハマった往年のファンといっしょに走ってきたというところが、どうしてもありました。今回は、若者に向けたカルチャーという部分では、ダンスも格闘ゲームもお互いに目指すものはいっしょということで、コラボに挑むことにしました。ゲームという枠を超え、『ストリートファイター』シリーズを、ひとつの文化としてさらに根付かせていきたいと思っています。ぜひ皆さまにも、応援していただければと思います」(杉山氏)。
ダンサーとゲーマーによるクロストーク
後半のゲストコーナーは、ブレイクダンサーのTaisuke氏と、格闘ゲーマーのボンちゃんによるトークセッション。Taisuke氏は、名実ともに日本No.1のB-BOY(ブレイクダンサー)。今回の“Red Bull BC One 2016”にも、2年ぶり7度目の出場を決めている。いっぽうのボンちゃんは、『ストリートファイターIV』において、“Red Bull kumite”優勝、“EVO 2014”準優勝と、国内外の大会ですばらしい成績を残している格闘ゲーマーだ。
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MCがまずふたりに尋ねたのは、今回のコラボの感想について。Taisuke氏は「ダンスもストリートから生まれたカルチャーなので、俺たちダンサーは、リアル“ストリートファイター”だと思っています」と語り、ボンちゃんは「格闘ゲームは基本、相手のHPをゼロにすれば勝利なのですが、ダンサーとチームを組んでパフォーマンスで競うような、そういった可能性が今後はあってもいいと思います」とコメントした。
トークの話題は、プレイスタイルや大会での戦い方など多岐にわたった。「プロである以上、大会では結果が優先するのですが、自分がどんなスタイルで戦うかは、自分のそのスタイルがファンに信頼されている部分もあると思いますので、それを裏切るようなプレイをしないように心がけています」と語ったのはボンちゃん。また大会を勝ち進むための心意気について、Taisuke氏は「“自分”を持っているプレイヤーは強いですね。ファイナルともなれば、誰が勝ってもおかしくない。そこで自分を発揮できる人間は、メンタルも強く、いちばん目立って勝ってやろう、という意思を持っています」と語った。
そして“プロ”というテーマについては、ボンちゃんは「格闘ゲームに関しては、日本に10人もいないくらいだと思います」とコメント。いっぽうTaisuke氏は、「プロのB-BOYって、実際はいないと思うんです」と、現状の課題を指摘。「自分も、インストラクター業をやっていました。でもプロのサッカー選手や野球選手で、インストラクターもしている人っていませんよね。子どもに夢を与えないといけません。そのために電車通いをやめ、無理してクルマも買いましたよ」(Taisuke氏)。現在はインストラクターをやめてB-BOY1本で、大会に臨んでいるという。“Red Bull BC One 2016”での活躍にも期待がかかるところだ。
発表会はここで終了となり、最後はフォトセッションが行われて幕となった。ブレイクダンスと格闘ゲーム。一見すると対極の存在だが、世界中にファンを持つ1on1カルチャーという点では共通している。いずれも強烈なコンテンツがタッグを組むことで、どんな相乗効果が生まれるか注目だ。