360度+空間体験ができるVRデバイスの本命“HTC Vive”が到着!
さまざまなVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)のデバイスが登場することで、にわかに活気づいている2016年のPC・ゲーム業界だが、本格的な仮想体験が可能となるVRデバイスのひとつでもあるHTC Viveの製品版が編集部に到着した。どのようなセット内容となっているのか、さっそく開封の儀をお届けしよう。
2016年4月5日、台湾の電器メーカーHTC社とゲーム開発会社であり、現在PCゲームプラットフォーム”Steam”を提供しているValve社が共同開発したVRデバイスである“HTC Vive”の発送がいよいよ開始された。HTC Viveといえば、室内空間を歩きまわるといったルームスケールのVR体験が可能な最新デバイス。多くのVR機器は、ヘッドトラッキングとモーションセンサーによって、装着者が右を向けば、その動きに追従するようにヘッドマウントディスプレイ(以下:HMD)内の視界も右に、上を向けばHMDの視界も上になるといった具合に、VR空間のなかで360度方向の体験を味わうことができる。ただし、これはすべて座った状態での体感が基本となっている。
ところが、HTC Viveはこのヘッドトラッキングの動きに加えて、BASE STATIONと呼ばれるふたつのセンサーを室内に設置することで、空間のトラッキング情報までも取り入れている。このことにより、装着者の頭の向きだけでなく、立つ、しゃがむ、前に歩く、後ろに下がる、(対象物を中心に)回り込む等といった、移動の概念まで取り入れた、空間内でのVR体験をもたらしてくれるのだ。
文章での説明だとイメージが掴みにくいかもしれないが、既存のVR機器は座った状態で360度のVR空間を楽しむのが基本スタイル(いわゆる球体の中心に自分がいる状態)であるのに対し、HTC Viveは座った状態はもちろん、立って歩きまわるという、球体から解き放たれた空間を楽しむことができるというわけだ。
HTC Viveの機能はゲーム系エンタメに最適なのはもちろん、モデルルームで実際に部屋のなかを歩きまわる体験ができたり、カーディーラーで自動車の周りを歩きまわっていろいろな方向からクルマ眺めたり大きさを体感する、といった商業的利用にも最適で、これぞまさに新時代の仮想現実体験といっても過言ではないだろう。
以下に、HTC Viveのパッケージに記載されていた主な製品概要を紹介する。
特徴:Steam VR採用のSteam VR Tracking 1.0テクノロジーおよびシャペロガイダンスシステム搭載。ワイヤレスモーショントラックコントローラ×2、ワイヤレス同期ベースステーション×2、ヘッドセット×1(フロントカメラ、内臓マイク、3.5mmヘッドフォンジャック、USB2.0ポート搭載)
コントローラ:充電式リチウムイオン電池(960mAh)を内蔵
同梱物:Viveヘッドセット、ワイヤレスコントローラ×2、ベースステーション×2、リンクボックス、イヤホン、Viveアクセサリ、安全ガイド、保証書
ディスプレイ:解像度2160×1200(片方あたり1080×1200)、低残光性、大域証明、AMOLED 90hzディスプレイ
調整:大部分の標準的な眼鏡に適合可能。フェイスクッションオプションおよび調整可能なストラップ付属。瞳孔間距離およびアイレリーフを調整可能。
推奨PC環境:GPU Nvidia GeForce GTX970またはAMD Radeon R9 290以上/CPU Intel Core i5-4590またはAMD FX 8350以上/RAM 4GB以上/映像出力 HDMI 1.4、DisplayPort 1.2以上/USBポート USB2.0以上1ポート/OS Windows7SP1、Windows8.1以降、Windows10
追加要件:Steam利用規約の規定に従ったSteamクライアントおよび無料のSteamユーザーアカウントを実行するコンピュータ
http://store.steampowerd.com/subscriber_agreement(⇒こちら)
■いよいよHTC Viveを開梱!
製品版パッケージの蓋を外すと、なかは3つの区画+蓋付きのLINK BOXスペース(内箱の右上部分)に分けられており、それぞれにHMD本体、コントローラー、BASE STATION、各種アクセサリー類が収められている。全部一気に出してしまいたいというはやる気持ちを抑えて、セット内容をじっくりとチェック開始。
まずはHTC Viveの顔ともいうべきHMD部分。こちらはこれまで何度も紹介してきているが、実際に手にしてみると、見た目のごつさとは異なり比較的軽量にできているので、装着によって首が疲れると言ったことはなさそうである。各種センサーのために用意されている凹みのあるデザインが、どことなく士郎正宗の世界に登場しそうなサイバーパンクな雰囲気を醸し出しているところも、個人的には○。
つぎに取りだしたのは、独特の形状を持つふたつのコントローラー。基本的に手元が見えない状態で操作することになるので、コントローラーを握るとちょうど親指の位置にトラックパッドボタンが、背面の人差し指の位置にトリガーが自然にくるといった具合に、指の届きやすい位置にボタンやパッドが配置されており、シンプルかつ直感的な操作が行える。それ以外にも、トラックパッドの上にシステムボタン、下にメニューボタン、握り手の左右にグリップボタンと、とくに手元を視認しなくとも各ボタンは容易に操作することができるだろう。
とはいえ、ボタン類はどちらかというと補助的な意味合いが強く、基本的にコントローラー自体を動かして操作をすることのほうが多くなってくる。このコントローラー自体がVR空間のなかで、ときにはプレイヤーの手となり、武器になるというわけだ。
続けて、HTC Viveの最大の特徴であるルームスケールを再現するためのBASE STATION部を確認。このセンサーがなかなかの優れもので、これを部屋の対角線上に設置することで、HMD装着者の動きをミリ単位まで追随することが可能になるというわけだ。センサー感の設置距離は最大で5メートルということで、おおむね8畳程度の部屋の広さに相当する。なお、既存のVRデバイスのように座った状態でのプレイだけを行うのであれば、BASE STATIONはひとつだけの設置でも問題ないとのこと。
そのほかの付属品として、HMDとPCとの接続を仲介するリンクボックスと、インナーイヤー型ヘッドホン、クリーニングクロス、HDMIケーブル、USBケーブルといったアクセサリー類が同梱。HMDのフェイスクッションも予備がひとつ用意されている。
以上、駆け足でHTC Viveの商品構成を紹介してきた。ルームスケールを再現するためのBASE STATIONが用意されていることで、必然的にセット内容物が多くなっているが、基本的には一度設置さえしてしまえば、HMD部とコントローラー以外はそのままにしておくものになるので、用意が煩わしいということはほとんどないはずだ。強いて言うならば、5.1chサラウンドのホームシアターシステムを導入するのに、どこか似ているかもしれない。どちらも、最初の手間を面倒と考える人は多くいるかも知れないが、何物にも代えられない極上の体験を味合わせてくれるという部分も共通している。こういった魅力を言葉で伝えるのは難しいが、一度体験したらその凄さは誰しもが感じることができるだろう。
今回はHTC Viveの製品版が到着したばかりで、取り急ぎ開封の儀としてセット内容の紹介を行ったが、次回は実際にPCに接続してセットアップし、じっくりと触ってみたHTC Viveの魅力をお届けしよう。
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ちなみに、4月9日から5月8日までの間、東京・名古屋・大阪のドスパラ店舗にて、”HTC Vive“を用いた『マブラヴ オルタネイティブ』の体験展示が実施される。実際にHTC Viveでどれほどの体験ができるか気になる人は、ドスパラまで足を運んで体験してみるのもいいだろう。『マブラヴ』体験展示の詳細は、下記ホームページまで。
・【ドスパラよりお知らせ】最新のVRデバイス『HTC Vive』で『マブラヴ』の世界を体験!ドスパラ各店にてデモを展開
http://www.dospara.co.jp/5press/2016/0404(⇒こちら)