『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』メーカーの垣根を越えた開発者クロストークインタビューを公開【第三回】

『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』のディレクター:森住惣一郎氏、プロデューサー:塚中健介氏の両名と、各メーカーのクリエイターを交えたクロストークを実施。メーカーの垣根を越えたクロスオーバータイトルの監修時のエピソードや苦労話、見どころをうかがってきた。第三回は『逆転裁判』シリーズのプロデューサーを努める、カプコンの江城元秀氏を交えてのクロストークをお届けする。

●メーカーの垣根を越えたクロストークインタビュー【第三回】

 『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』(以下:『PXZ2』)のディレクター:森住惣一郎氏、プロデューサー:塚中健介氏の両名と、各メーカーのクリエイターを交えたクロストークを実施。メーカーの垣根を越えたクロスオーバータイトルの監修時のエピソードや苦労話、見どころをうかがってきた。第三回は『逆転裁判』シリーズのプロデューサーを努める、カプコンの江城元秀氏を交えてのクロストークをお届けする。

[写真左]カプコン 第四開発部 プロデューサー 江城元秀氏
[写真中]モノリスソフト ディレクター 森住惣一郎氏
[写真右]バンダイナムコエンターテインメント CS事業部 プロダクションディビジョン 第1プロダクション2課チーフ 塚中健介氏

●他メーカー+他ジャンルからのクロスオーバー参戦

――まずはじめに『PXZ2』に『逆転裁判』シリーズのキャラクターを登場させようと思ったきっかけ、理由を教えていただけますか。

塚中 『逆転裁判』シリーズに関してですが、まず任天堂さんのハードでシリーズが展開されていたことから、『PXZ2』との親和性が高いと思っていました。じつは、前作の『PXZ』の頃から候補のなかには入れさせてもらっていたのですが、ちょうどその頃は『逆転裁判』とレベルファイブさんの『レイトン教授』とのコラボレーションがあったため、いったん見送りになったんです。ですので、『PXZ2』で、あらためてカプコンさんにお願いさせていただき、
満を持しての登場ということになりました。

森住 最初は矢張政志や狩魔冥、オバチャン(大場カオル)といった、『逆転裁判』シリーズの名物キャラクターたちもバトルに登場するものを考えていたのですが、これまでバトルに参加したことがないキャラクターを登場させるのは難しいかなと思ったんです。そこで、骨子として、みんなが見たことのある『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』(以下:『UMVC3』)のナルホドくんと真宵ちゃんをベースにさせていただきました。ただ、これをそのまま再現しても「『UMVC3』そのままじゃないか」と言われてしまうと思ったので、トノサマン、ヒメサマンといった『逆転裁判』シリーズのキーワード的なキャラクターや、絵的にも見栄えのする“サイコロック”も登場させ、バトルシーンを製作しています。

――そういった点からすると、『UMVC3』に出ていたからこそ、バトルシーンのイメージが掴みやすかったということですね。

森住 そういうことになります。そもそも、アドベンチャーゲームという、まったく畑が違う作品ですからね。ですので、『UMVC3』に登場して戦っていたのは、すごく助かりました。ユーザーの方にも「そういえばナルホドくん、マグニートーと戦っていたよな」といったように、すんなりと受け入れてくれると思いますしね。

江城 たしかに、アクションゲームに参戦していたのは大きいですよね。最初にお話をいただいたときも、「アクションゲームに出ているし、いいんじゃない」って社内的にもすんなりと通ったくらいですからね。これが成歩堂龍一と綾里真宵以外のキャラクターともなると、「どうやってアクションをさせるの?」という部分を詰めていかなくてはならないので、その場合はもっと難航したかもしれないですよね。狩魔冥は、鞭という武器を持っているので、戦いやすいかもしれませんが(笑)。

森住 オバチャンもビームガンがありますよね(笑)。

江城 でもあれビーム出てないですけどね(笑)。

森住 ほかにも矢張は、殺人に使われた考える人の像を投げつけるとか、いろいろ考えていたんですが、そうするとシナリオ的な説明も必要になってくるんですよね。そう考えた結果、『UMVC3』に登場していたナルホドくんと真宵ちゃんのふたりで行かせていただこうという形になりました。

江城 結局、シンプルにナルホドくんと真宵ちゃんに絞ってもらえたことで、話もわかりやすくなったし、それでシナリオ面ではほかのキャラクターが引き立つようになったんじゃないかなと思います。『逆転裁判』シリーズとして参加させてもらうには、このふたりのほうが、ちょうどいいバランスだったということですよね。

――本来であれば戦わないはずのふたりが活躍するバトルシーンなど、アクション面においての監修はいかがだったでしょうか。

江城 アクション面に関しては、先ほどお話しに出た『UMVC3』がベースになっているということもあり、それをもとに再現されているので、アニメーション動画を「こんな感じです」って見せていただいて、こちらも「いいんじゃないですか」といった形で、スムーズに進行しました。弊社ももともとドット絵のゲームをたくさん出していますし、僕自身、ドット絵の思い入れが深いので、「こんな感じで動いているんだ」と、感慨深く見ていましたね。どちらかというと『逆転裁判』シリーズのファンの方は「ナルホドくんって、こんな言い方しないよ」って、言い回しの部分に引っかかることが多いんじゃないかと思うので、そちらのほうを重点的に監修させていただきました。

森住 そうですね。シリーズによって微妙に言い回しが変わっていたりもするので、そのあたりを統一するためにたくさんのメモを取らせてもらっています。

江城 そのあたりはしっかりと監修をさせてもらったので、『逆転裁判』シリーズのファンの方が遊んでも「確かに『逆転裁判』だ」って言ってくださるんじゃないかなと思います。

――『PXZ2』の発売タイミングが、ちょうど『大逆転裁判』と『逆転裁判6』のあいだといったところも、タイミング的にはバッチリですよね。

江城 確かに、ちょうどいいタイミングですよね。

塚中 我々もそこまでの情報を知っているわけじゃなかったので、本当にたまたまですよ(笑)。

――他ジャンルの作品に『逆転裁判』シリーズのキャラクターが登場するにあたって、監修面で苦労された点などはありましたか。

江城 大変というか、先ほども申し上げたとおり、監修自体はそれほど大きな修正もなかったですね。ただ、スケジュール面がけっこうギリギリの進行で、刺激的でしたよね(笑)。

森住 かつてないほどタイトな監修になってしまって、本当に申し訳なかったです(笑)。

塚中 監修をお願いしているのがゲームの分野と異なる会社さんだったりすると、スケジュール感が違っているため、それほど逼迫した状況は伝わらないのですが、同じゲーム会社さんだと、「この時期にやりとりをしていて、締め切りは大丈夫かな」って言うのがわかるので、お互いに緊張感が高まってしまうんですよね。

森住 ただ、監修自体は台詞の語尾であったり、ちょっとした言い回しの部分でご指摘をいただきましたが、基本的にはこちらの書いたシナリオの通りに進めさせていただきました。懸案だったバトルシーンも、ほとんどチェックは入らなかったのは、本当にありがたかったです。

江城 そうですね。ほぼ一発OKでしたね。

――ちなみに今回『PXZ2』に登場するナルホドくんと真宵ちゃんですが、これは『逆転裁判』シリーズでいうとどの辺りのタイミングになるのでしょうか。

森住 こちらからは、『逆転裁判2』の終了時あたりというお話で提案させていただきました。『逆転裁判3』になると、だいぶ円熟期に入ってきてしまうので、その直前くらいのイメージでシナリオを書いています。

塚中 シナリオ上の絡みとしては、『逆転裁判』シリーズはけっこうおもしろい立ち位置になっています。第2話で登場するキャラクターなので、現在配信中の体験版でもしっかりと触れることができます。最初の登場の場面が『龍が如く OF THE END』の神室町なんですよ。

森住 『PXZ2』では、すでに『龍が如く OF THE END』の真島吾朗の弁護をしたことがあるという設定から物語が始まります。

江城 真島吾朗の弁護ですよ。そんな激アツなシチュエーション、なかなかないですよね(笑)。

塚中 さらに、新たな依頼人が『鉄拳』シリーズの三島平八なんです。どんな裁判でもやるんですね(笑)。

一同 笑

森住 『PXZ2』のなかでは、絶賛売り出し中の弁護士という扱いにしています。それと、戦闘系のキャラクターではないことから、常識人という立ち位置になっています。ほかのキャラクターたちは異世界の怪物やタイムスリップといった展開にたいして、深く考え込まない人たちが多いですからね。

――確かに、『ストリートファイター』のリュウやケンたちはどんな世界に送り込まれても疑問は持たなそうですよね(笑)

森住 「おもしろそうな世界だな」って言って、ノリノリで戦っちゃいそうな人ですよね(笑)。そういったキャラクターが多いなかで、「え、全然おもしろくないでしょ、どうやって帰るんですか」って、常識的な立場でいるのがナルホドくんたちなんです。その代わりと言ってはなんですが、敵がポロッと漏らした情報から「あれ、いまの話、おかしくないか」と、言葉の矛盾点をついて、相手の企みを見破ったりと、会話ベースで戦うイメージを意識しています。原作の『逆転裁判』シリーズが、「相手の言葉からムジュンを見つけて逆転する」という法廷バトルが主題になっていますからね。

――そういえば、もともと『逆転裁判』シリーズって法廷バトルアドベンチャーでしたよね。そういう意味では、会話でバトルをしていてもおかしくないんでしょうね。

江城 たしかに、言葉でやりあうバトルですからね。

塚中 そういった部分からみると、物語の導き手としての役割を持ったナルホドくんと真宵ちゃんは、活躍の機会が多いかもしれないです。

――常識人という以前に、『PXZ2』に登場する普通の人間って、そんなにいないですよね。

森住 リュウやケンを普通の人間と言わないのであれば、少なくなりますよね(笑)。

一同 笑

江城 そう考えてしまうと、普通の人間はナルホドくんと真宵ちゃんくらいしかいないかな(笑)。

森住 とくに格闘技などもやっていませんし、武器も持っていないという意味ではそうかもしれませんね。

塚中 普通の人間ではありますが、原作の『逆転裁判』シリーズは、個性湓れるキャラクターたちが登場するので、それらが今回のオールスターに置き換わったと考えてみれば、意外としっくりとこないですかね。

――それにしても、『PXZ2』は変なキャラクターが多すぎますよ(笑)

江城 『逆転裁判』本編には絶対出てこないような人たちばかりですからね(笑)。

――そもそもになりますが、ふたりいるのにソロユニットにされたのはなぜなんでしょう。このふたりならペアユニットでもよさそうだと思いますが。

森住 ペアユニットにしてしまうと、それぞれのキャラクターのワザを大量に用意しなくてはならないんです。

塚中 原作としてワザが多い作品であれば成立するんです。でも、そうじゃない場合、オリジナルのワザを大量に用意しても、キャラクターのオリジナリティが損なわれてしまいますからね。

森住 最初はナルホドくんひとりをソロユニットで登場させようというアイデアもありました。これは、バトル中に真宵ちゃんを呼び出すという、『UMVC3』の考え方ですね。ただ、真宵ちゃんが出たり引っ込んだりするよりも、ふたりでいっしょにいて掛け合いをしていたほうが『逆転裁判』シリーズの世界観を再現しやすいんですよ。また、ふたりはシナリオ面で活躍してもらう存在でもあるので、ふたりでソロユニットという形になりました。ほかのキャラクターたちが格闘家であったり、剣士であったりと、戦う人たちのなかで、アドベンチャーゲームからの客演という特別な存在ですからね。