「全力の走りをお届けしたい」

 2015年10月より開幕した舞台『弱虫ペダル』最新作、“舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR~2つの頂上~”。10月22日(木)からTOKYO DOME CITY HALLにて幕を開ける東京公演に先駆けて、10月21日(水)、報道陣・関係者向けのゲネプロ公演が開催された。

舞台『弱虫ペダル』最新作は「出会ってつなげる」巻島&東堂の物語――ゲネプロ公演&囲み取材をリポート!_03

 原作は、言わずと知れた渡辺航氏による人気コミック『弱虫ペダル』。舞台版は気鋭の演出家・西田シャトナー氏の斬新な演出技法と若手俳優陣の熱演が話題を呼び、2012年から計6作が上演されてきた。

 インターハイ“3日目”の激闘が描かれた前作“インターハイ篇 The WINNER”に続く本作は、総北高校の巻島と箱根学園の東堂、ふたりのクライマーを主人公に据えた作品。激闘のなかで果たされた彼らの“約束”とは? また、孤高に頂点を目指して走り続けてきたふたりが出会うまでに、いったいどんな物語があったのか……。後輩へと受け継がれる先輩としての“想い”が、約2時間30分ノンストップ(!)で、息つくひまもなく描かれる。

 ゲネプロ公演リポートの前に、まずは囲み取材の模様をお届け。廣瀬智紀(巻島裕介役)、北村諒(東堂尽八役)のほか、植田圭輔(真波山岳役)、そして本作より小野田坂道役として参加する小越勇輝が出席した。

――名古屋公演を終えての東京公演となりますが、まずは名古屋公演を終えての感想をお願いします。
廣瀬智紀(以下、廣瀬) 今回の公演は僕と北村くん、東堂と巻島をメインに描いている作品なので、より一層身の引き締まる思いで臨んだ公演でした。名古屋では、いままでにない大きな劇場で、待っていただいていたお客様の前で上演できたことが本当にひと安心というところでした。少しも気の抜けない舞台で、いいスタートを名古屋で切れたので、それを東京、大阪、福岡につなげていける公演になればなと思って、全力で臨みました。すごく気持ちよかったです。

北村諒(以下、北村) インターハイ3日目というひとつの山場を越えて、また舞台『新しい弱虫ペダル』をやれるということで、僕らにもどういう感じになるかという予想がつかなくて。ですが、東堂、巻島がメインで描かれることがうれしくて、すごく全力でやらせてもらい、名古屋のお客さんの温度も感じることができたので、その温度を持ってきて、東京でしっかりと走れたらいいなと思っています。

小越勇輝(以下、小越) 今回初参加させていただきますが、稽古場からどういう風になるんだろうと不安もありながら稽古をしてきました。初めての経験もたくさんありましたが、やっと名古屋で公演をして、舞台上に立ったときに「ああ、この作品はこうしてお客様といっしょに作り上げてできあがっているんだな」と実感したので、すごく楽しく舞台に立つことができました。東京もがんばります。

植田圭輔(以下、植田) シリーズ最大規模の劇場、シリーズ初の名古屋公演ということで、本当に身の引き締まる思いでした。初めてふたりの座長ですが、舞台『弱虫ペダル』というのはお客様と作り上げる作品なので、名古屋で初日の幕を開けてベースを作り、東京公演は東京公演にしかない『ペダステ』になるんじゃないかと思います。名古屋の想いを背負って東京、大阪、福岡も走りたいと思います。

――公演の見どころを教えてください。
廣瀬 自分自身の役柄で言うと、巻島・東堂の過去もいっしょに描かれているので、より深くキャラクターを演じることができているかなと自分の中でも認識しています。そこはもちろん見どころになりますし、やっぱり今回は“つないでいく”ということがテーマ。坂道や山岳、巻島・東堂の横で走ってくれているほかのキャストもそうですが、自分自身の尊敬できる役者さんたちが周りで支えて走ってくださっているので、僕たちはより一層、座長として自分たちの全力の走りをお届けしたいという気持ちです。

北村 いま巻ちゃん、廣瀬くんも言ってくれたんですけど、“出会ってつなげる”というのがテーマにあって、それは総北高校の巻島裕介と箱根学園の東堂尽八、お互いにもあります。総北と箱学のチームカラーの違いも見えると思うので、色の違いを見せられたらなと思います。

小越 今回ふたりの先輩のお話なので、ふたりの関係性……戦ってきたことだったり友情であったり、絆もすごく見どころです。その先輩たちが僕坂道だったり真波山岳といった、つぎにつなげていくバトンであったり、もちろんふたりだけじゃなくて先輩がたがつぎの世代に渡していくというところも詰まっているので、そういうところを観ていただけたら、役もそうですし、ふだんの関係性も見えるんじゃないかなと思います。

植田 3人とも言っている通り、“つないで託されて”というお話が主になっていますが、それは、『ペダステ』のカンパニーにも通ずるもので。毎回毎回新しいカンパニーができあがって、新しいチームで戦って……という、お芝居にも通ずるものがあるんじゃないかなと思いながら、いつも参加しています。今回はより一層、お芝居の部分で勝負しているところが多いと思いますので、ぜひ皆さんに観ていただきたいです。あとは僕自身真波としては、新しい相棒の坂道くん、小越くんを迎えて、自慢のライバルだと胸を張って言えますので、そこも楽しみにしていただけたら。

――最後に、楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします!
植田 公演数も最多で、観にきてくださる方から体の心配をされる役者もなかなかいないと思うんですけど(笑)、私たちはそのような集団でございます(笑)。そんな熱量であったり、本気で走っている姿や汗は、僕らが一生懸命になればなるほど皆様にも届くと、それだけを信じてやってきました。今回はふたりの座長の背中をしっかり追って、作品のタイトルにもある頂上を目指してがんばっていきたいと思います。

小越 名古屋が終わって約1週間空いたんですけど、ここからずっと続いていくので、名古屋で感じたものを背負いながら最後までみんなで舞台『弱虫ペダル』のよさを全力で伝えていきたいと思います。

北村 僕らにできることをひとつひとつ全力でやって、しっかりと客席を包み込んで、みんなで全員で、客席も含めて走れるような、そんな公演にしたいです。皆さんぜひよろしくお願いします。

廣瀬 今回の公演は、初演の僕がまだ出ていなかったときからも含めて、今作が7作目となっています。インターハイ3日目までの集大成としても自信を持ってお見せできる作品となっております。そして、自転車は……過酷さも……なんだっけ(笑)。

北村・植田 「困難も」(笑)

廣瀬 (笑)。困難も、本当に楽しさに変えてくれるんです。皆さんが応援してくださるパワーや、自転車の楽しさを皆さんにお伝えできたらなと思っています。

 続いてのページでは、劇中カットを含めて本作をリポート。物語の核心には触れないものの、ネタバレNG派の方はご注意を!