自分の手足・視覚・聴覚でVR世界へダイブ!
Cloudhead Gamesの『The Gallery』は、Valveによる“Steam VR”を採用したVRヘッドマウントディスプレイ“HTC Vive”に対応したアドベンチャーゲーム。2015年冬に全4話中の第1話“Call of the Starseed”が配信され、順次Oculus RiftやProject MorpheusなどのVRヘッドマウントディスプレイ向けにもリリース予定だ。
今回、アメリカのシアトルで開幕したゲームイベント“PAX PRIME 2015”で体験してきたのだが、これが思わず笑っちゃうレベルでスゴかった!
デモはHTC Viveとヘッドフォンをかぶり、両手にViveのモーションコントローラーを持ってプレイする。ゲーム中はモーションコントローラーの位置に手のモデルが見えており、各種ボタンを使って物を拾い上げたり、銃などはトリガーを引いたりすることが可能。さらに一定範囲内を歩き回ることもできる。
PAXデモではさまざまな“おもちゃ”が用意されていて、打ち上げ花火を手に取って焚き火にかざして着火したり、ソーダ缶を地面に投げつけて中身を噴出させたり、瓶をブン投げて割ったり、信号弾を撃ったりして遊びまくり。
あくまで、掴む動作をするボタンを押しながら手を近づけるとアイテムがキュッと手に吸い付くという擬似的な操作なのだが、一瞬コントローラーを持っているのを忘れて落としかけるぐらい、自分の手がVR世界内に非常に正確な位置に表示されて狙った通りのアクションができるので、これがもうメチャクチャ楽しい。
アドベンチャーゲームとしてのポテンシャルを示すための謎解きの要素も入っていて、物を投げて上の棚に乗っているアイテムを落としたり、手紙を拾い上げて顔に近づけて読んだりといった要素を確認(文字が読めるほどの解像度の高さは素晴らしい)。自分の身体を駆使して正解を見つけ出せた時の達成感はハンパじゃない。
さらに、インベントリーは肩の辺りに手を持っていって掴み動作をすることでバックパックを降ろして開けるという仕組みだし、再生中のカセットプレーヤーが聞こえづらければ、耳元に持っていけば3Dサラウンドで聞こえ方が変わる。ゲーム的な都合も自分の身体で解決するのだ!
“現実の壁”を超えるためにワープ方式を採用
VR世界内をプレイヤーが歩ける場合、部屋の壁などの現実の空間の限界をどうするかという課題があるが、『The Gallery』では、左コントローラーとヘッドマウントディスプレイを使って移動したい場所や向きたい角度を指定するという方法で解決(詳細は公式ブログを参照されたし)。一瞬ブラックアウトしてワープするので酔ったり没入感が途切れるかと思ったが、意外にも自然ですぐに慣れたのが驚き。ちなみに寝不足と疲労もあってか、デモ終了後もしばらく“左手でワープ起動”を現実でやろうとしてしまう始末。
この方法ならば、Viveよりもプレイヤーの移動可能な範囲が相対的に狭いOculus RiftやProject Morpheusでも、本作の全身で没入するVRアドベンチャー体験を実現可能なハズ。
体験者自らが不思議な世界に迷い込み、自分の身体を使って謎を解き、冒険するという、VR時代ならではのアドベンチャーゲーム。PAXデモでは30分に満たない短い時間ながら、そこに秘めたポテンシャルの大きさを実感させる素晴らしい体験ができた。あえて難点を挙げるとすれば、これだけ世界との一体感があると、英語や日本語の字幕でプレイするのではなく、母国語の吹き替えで遊びたいというところだろうか。