全4エピソードで描く極寒の世界のミステリー

 『Kôna』は、カナダのケベック州にあるゲームスタジオParaboleによる一人称視点のサバイバルアドベンチャーゲーム。プラットフォームはPCで、全4エピソードでの展開を予定している。言語はフランス語と英語を軸に、スペイン語/ドイツ語/イタリア語にも対応予定。今回、アメリカのシアトルで開幕したビデオゲームイベント“PAX PRIME 2015”でデモをプレイしてきたので、その内容をご紹介しよう。

先住民族と実業家の揉め事の中で起こった失踪事件。

 舞台は1970年の冬、一面が雪に覆われた北ケベックのとある村。主人公である退役軍人の私立探偵カールが、地元の名士である依頼人ハミルトン氏のもとを訪れるところから始まる。鉱山関係の実業家である同氏が環境問題で先住民クリー族と揉める中、別荘が荒らされるという事件が発生。クリー族の仕業に違いないと踏んだハミルトン氏が、調査のためにカールを雇ったのだ。
 しかし、待ち合わせ場所にハミルトン氏は訪れなかった。カールはやがて、一帯から完全に人影が消えていることに気がつく。人々はどこに行ったのか、そしてこれもクリー族が関わっているのか? 降り積もる雪の中でカールは調査を開始する……。

白銀の世界に消えた依頼人と村人たち。雪に閉ざされた村で始まる一人称視点の探偵アドベンチャー『Kôna』【PAX PRIME 2015】_01
▲一面の雪の中で静まり返った世界。

極寒の中での調査とサバイバル

 ゲームとしては、ハミルトン氏らの消息を追う探偵アドベンチャーであり、同時に極寒の北ケベックの中で生きるサバイバルアドベンチャーでもある。
 カールには体温や体力などのステータスがあり、凍死や狼などの危険から身を守らなければならない。民家のストーブで火をおこして暖を取ったり(サバイバルアドベンチャー『The Long Dark』のように燃料や着火剤が必要)、エサとなる肉を投げて狼を追い払ったり、時には銃や手斧などを手に取ったり。舞台となる地域は2キロメートル四方ほどあるため、カールの愛車であるピックアップトラックやスノーモービルなども、白銀の世界での移動に欠かせない。

 HUDなどの情報表示を極力配し、ひと気のない雪景色を全面に押し出したスタイルは美しく、探偵アドベンチャーとしてのミステリーの予感と、サバイバルゲームとしての孤独感の演出にも多大に貢献。VRヘッドマウントディスプレイでプレイするのも楽しそうだ(今回のデモは普通にディスプレイでプレイしたが、VR対応を表明している)。
 ファーストエピソードは“Kôna: Day One”というタイトルで、カールが訪れた初日の出来事を描くという。この話がどのように転がっていくのか、今後に注目したいタイトルだ。

白銀の世界に消えた依頼人と村人たち。雪に閉ざされた村で始まる一人称視点の探偵アドベンチャー『Kôna』【PAX PRIME 2015】_02
▲システムメッセージがカウンターなどに沿って表示されるのがオシャレな感じ。