フィクションと現実の違いのわかるオトナのためのゲーム

 「午前3時、俺はただ眠りたいだけ。なのに隣の家の連中がパーティーでうるせぇ! こうなったら全員永久に騒げねぇようにしてやる!」

 Pinokl Gamesの『Party Hard』は、そんなブチ切れモードの主人公がパーティーに潜入するところから始まる2Dアクションゲームだ。プラットフォームはPCで、tinyBuild GamesのパブリッシングによりSteamで配信中。価格は1289円。9月1日まで発売記念セールで23%オフの992円で販売されている。

 ゲームとしては往年のウルトラバイオレンスアクションである初代『ポスタル』を、まさにパーティー仕様にしてギミック盛り盛りにした感じ。プレイヤーはナイフを持ってスタートし、マップ内に設置されたデストラップや抜け道を活用しながら、盛り上がるパーティーピープルをひとり残らず片付ければオーケー。
 ボディが発見されるとちょっと騒ぎになって警察がやってくるが、直接犯行を目撃されるか、毒でやられた人の側にいて重要参考人とならなければ問題はないし、パーティーも“最後のひとり”が消えるまで続行される。プレイヤーがトラップや爆発に巻き込まれて死亡したり、警官やセキュリティに逮捕された場合はリスタート。

 木陰でイチャイチャするカップルをナイフ片手にサクッと片付け、居間のドリンクに毒を入れ、フィーバーしすぎた連中が眠りこけている奥の部屋にガソリンを撒いて、通りすがりの闇の商人から手に入れた爆弾でリア充を爆破(物理的に)。まぁそういう、雑かつバカな、フィクションと現実の違いがわかるオトナのための悪のゲームである。

怒りの全米横断パーティー破壊ツアー

 コトは一夜だけのことで終わらず、バイカーの集い、ラスベガスの豪華パーティー、ビルの屋上でのパーティー、船上パーティー、野外パーティーと、アメリカ全土のパーティーをツアーする連続した事件へと発展していく。当然、各パーティーのマップにはそれぞれ特徴的なトラップが用意されていて飽きさせない。

隣の家のパーティーがうるさくて眠れねぇ! ブチ切れた男が引き起こす惨劇を描いたバイオレンスアクション『Party Hard』_03
▲理性のタガが外れちゃったのか、パーティー破壊野郎、怒りの全米ツアーを敢行。ステージの合間には、犯人を追っているらしい刑事と事情を聞いている男の会話が挿入される。ちなみにプレイしていくと眠れないマン(仮称)以外でもプレイ可能に。

 さらにプレイするたびにマップの細かい部分がランダムに変更される自動生成風の要素もあって、毎回新鮮にプレイできる……のはいいのだが、配置されるデストラップにより難度が大分変わってしまうケースがあるのは困りモノ。有利なトラップが出た回で失敗し、次に出てきたのがショボショボの内容だったりすると一気に萎える。

隣の家のパーティーがうるさくて眠れねぇ! ブチ切れた男が引き起こす惨劇を描いたバイオレンスアクション『Party Hard』_02
▲最強コンボが出てしまう屋上パーティー面。電飾入りのダンスフロアーの電源をぶっ壊すと……。

 また、トラップを使い切った後の終盤のプレイが、いい感じに人がバラけるのを待つだけになっていくのも、なんとかならんかなぁという部分。やはり5人ぐらいで人に固まられると、アイテムやトラップなしで通報されずに片付けるのは厳しい。終盤にアイテムを取っておくのがいいんだろうが、せっかくのおもちゃを後まで取っておけるような計画的な性格だったらこんなゲームしないんじゃないですかね?

 ちなみに、ダンスボタンを使って主人公自ら踊ることで、滲み出るダサパワーでも発してるのか、「マジ盛り下がったわー」と人を蹴散らせる場合がある。うまくいった時は、「だからパーティーは嫌いなんだよ!」と泣きながら処理しよう。

隣の家のパーティーがうるさくて眠れねぇ! ブチ切れた男が引き起こす惨劇を描いたバイオレンスアクション『Party Hard』_01
▲ダサいダンスパワーを見よ! みるみる捨て台詞とともに人が去っていく。

視聴者との連動機能もアリ!

 ユニークな要素として、ゲーム映像生配信サイトTwitchのチャットと連動した視聴者参加機能もついている。これはマップが開始するたびに「#1商人 #2クマ #3サイコさんキラー」といった3択を提示し、一番票が多かったキャラクターが登場し、有利になったり不利になったりするというもの。多重投票が可能というガバガバな機能だが、まぁ馬鹿ゲーなので細かいことを気にしてもしょうがない。

 そんな感じに、イラッとする部分はいくつかありつつも、背徳的な快感を否定できずについ遊んでしまう本作。収録されているBGMもハービー・ハンコックの「Rockit」やニューオーダーの「Bizzare Love Triangle」など、クラブミュージックの往年の名曲をモチーフにしたニヤッとさせるアレンジなので、そんなに騒げない年齢になってしまった元パーティー野郎にもコッソリとオススメしたい。