ゲームの生配信とプレイ動画を統合した、ゲーム特化の映像配信サービス“YouTube Gaming”がスタート。早速使って“Twitchキラー”ぶりをチェックした

Googleが、映像配信サービスYouTubeをビデオゲーム特化させた“YouTube Gaming”をローンチ。競合であるTwitchとの違いは?

●生配信とプレイ動画を統合したゲーム特化サービス

 Googleが、映像配信サービスYouTubeをビデオゲーム特化させた“YouTube Gaming”をローンチさせ、アメリカとイギリスで視聴用のiOS/Androidアプリも配信開始した。
 YouTube Gamingは録画されたプレイ動画と生配信が統合されており、最大で1080pの秒間60フレームの配信にも対応。ビデオゲームのプレイ動画投稿によってPewDiePieを始めとする“YouTuber”を生み出したYouTubeは、配信分野で先行するAmazon傘下のTwitchに追いつくことができるだろうか?

▲Web版とスマートフォン/タブレット版アプリ(現在はアメリカとイギリスのみ)で視聴可能。

●最大の資産を活かしつつ、先行するTwitchをよく研究した作り

 まずは視聴者用のインターフェースは、先行するTwitchのそれを研究しつつ、自身の強みであるYouTuberなどの実況勢や、メディアも含めた大量のプレイ動画・解説動画などのアーカイブを活かした設計となっている。

 例えばホーム画面では、Web版、アプリ版ともに、左に登録したゲーム、右に登録したチャンネル(配信・投稿者)が並んでいて、チャンネルを軸にしても、個別のゲームタイトルを軸にしても、見たい配信・動画を探すことができる。ゲームとチャンネルのどちらでも探せるというのはTwitchと同じ方式なのだが、後発なだけあって、より洗練されたインターフェースで使いやすい。

▲ホーム画面。ゲームを軸にしてもチャンネルを軸にしても見たいものを探せる。

 そしてゲームごとのページでは、現在配信中のストリーム、“Let's Play”などのプレイ動画、レビュー動画、そしてゲームによっては公式動画を細かくタブ分け。プレイ動画を見る専門の人も、プレイや購入を検討するためにレビューを見に来た人も、TIPS(コツ)を学びたいプレイヤーも一括して扱える構成になっている。

 もちろん配信後にはアーカイブされた映像がさらにガンガン並んでいくわけで、これはアーカイブをあまり残さない仕様というTwitchの弱点をつきつつ、膨大なプレイ動画の蓄積という自身の長所を活かす凶悪な設計。
 配信者側にとっても、これまで「配信はTwitch、アーカイブはYouTube」という使い分けをしていた人が少なくないと思うが、今後YouTubeなら同じ場所で一括した資産にできるのがメリットとなるかもしれない。

▲YouTube Gamingでの『League of Legends』のページ(左)と、Twitchでの『League of Legends』のページ(右)。どちらも配信中のストリームとアーカイブ動画などをチェックできるが、YouTubeは細かいタブ分けがされており、大会配信、一般のストリーム、メディアによる解説ビデオ、レビュー、そして公式ビデオなどを横断的にチェックできる。

▲配信者別のチャンネルページ。録画をシリーズごとにまとめてタブを作れたり、まぁ基本はYouTubeと一緒なのだが、ゲームのアイコンが表示されるなど、より特化した印象。

▲お気に入りのゲームを登録することもできる。

●配信も簡単。DVR機能で視聴者が最大4時間分シーク再生可能

 配信は他の配信サービスと同様、配信用ダッシュボードから配信のためのキーを得て、OBS(Open Broadcaster Software)などの配信用ソフトに放り込んでストリームを開始すればオーケー。DVR機能を有効にしておけば、後からやってきた視聴者が巻き戻したり、録画された過去分を早送りして見ることができる。
 実際使って配信してみても、とくに混乱はなくスムーズに使えた。個人的にはダッシュボードに表示する各パネルを自由に入れ替えられるのが嬉しいところ。

▲配信用ダッシュボードはシンプルにまとめられていて使いやすい。チャットなども表示でき、パネルは自由に入れ替え可能。遅延の調整やDVR機能の有効化などもここで行える。DVR機能を有効にすると、配信中に視聴者が巻き戻したり、録画分の早送りが可能に。最大4時間前までシークできる。

 なお参考までに、記者の自宅(サンフランシスコ)から720Pの秒間60フレームで配信した場合、実際のゲーム画面からダッシュボードに映ったストリーミングに反映されるまでの遅延は15-20秒程度。これはプレイヤーと視聴者のコミュニケーションを重視した低遅延モードの場合で、視聴者側のバッファーを低減するモードだともう少し増えるハズ。また対戦相手がストリームを覗き見ることで不利にならないように、意図的に30秒・60秒の遅延を設定することもできる。

 ちなみに、Twitchでも秒間60フレームの配信は可能。YouTube Gamingが1080p/60fpsに対応しているのは長所というよりも、あくまでTwitchと互角に戦うためのラインをクリアーしてきたのだと理解されたし。

▲配信画面。スマートフォンでも縦持ち時のみチャット表示可能。

●では日本では?

 直接の競合であるTwitchとの比較で見てきたが、巨人Googleが戦うための武器としてふさわしい、オーソドックスかつシンプルにまとまったしっかりとしたサービスになっていると感じた。もちろん、コミュニティサービスの勝敗は機能の一長一短だけでは決まらないわけで、これでYouTube Gamingへの大移動が始まるとは限らない(配信者にしてみれば、移住した先にファンがついてこなければただの損だ)。まずは戦うための土台が整った、というところだろうか。今後始まるであろう機能競争やプロモーション合戦などに注目したい。

 同じことは日本展開についても言える。仮に日本でアプリ版も含めて正式ローンチしたとして、すぐにニコニコ生放送と勝負になるかと言うと、Twitchの普及速度を見ている限り、そう簡単に話が進むことはないだろう。
 しかしゼロからの普及だったTwitchと異なり、YouTubeにはすでにプレイ動画の方面で日本のゲーマーによるチャンネルと膨大なアーカイブが存在する。これらが配信とうまく噛み合った時、気がついたら巨大な黒船に制圧されていたということが起こるかもしれない。