セガゲームス始動! 代表取締役社長CEO・里見治紀氏に訊く、新会社設立の意図と将来像

2015年4月に始動したセガゲームス。同社設立の意図や将来像を、代表取締役社長CEOに就任した里見治紀氏に訊いた。

●ふたたび“革新者(Game Changer)”を目指す新生セガが誕生

 2015年4月に実施されたセガグループの組織再編および新会社設立によって、コンシューマー事業を中心とするセガと、スマートフォン用アプリなどを手掛けるセガネットワークスが合併し、新会社“セガゲームス”が誕生した。

 この組織再編は、どういったコンセプトで行われたのか。そして、ゲーム市場が日々変化を遂げるなか、セガブランドはどう変わっていくのか――。セガゲームス代表取締役社長CEOに就任した里見治紀氏に、同社設立の意図や、見据える将来像を訊いた。(聞き手:週刊ファミ通編集長 林克彦)

※本インタビューは、週刊ファミ通2015年7月23日号(2015年7月9日発売)に掲載されたものです。

●社名が変わってもセガであることは同じ

▲セガゲームス代表取締役社長CEO
里見治紀氏(文中は里見)

――4月からセガゲームスが始動しました。改めて、設立の経緯をお聞かせください。
里見 私は昨年11月から事業構造改革を担当していて、そのひとつの答えが分社化による各事業の最適化でした。今回の改編の前に、2012年にはセガネットワークスとセガ エンタテインメントを分社化しましたが、当時、アーケードゲームや家庭用ゲームのクリエイターたちは、モバイルゲームを下に見ていたところが少なからずあったと思うんです。そこで分社化して退路を断ち、社員が覚悟を決めて取り組んだことで、スマホゲームに関しては、イノベーションに乗り遅れずにここまできた自負があります。

――セガネットワークスのスタッフがモバイルゲームに専念したことで、スピードや質を保ちながら成長できたのですね。
里見 はい。そして今回は、アーケードや家庭用ゲームでも同様の体制を採ることにしました。セガはさまざまな事業の集合体だったので、正直、物事の決断に時間がかかっていたんです。この点を是正するために、全体最適が理想ではありますが、部分最適の集合体が全体最適を上回ればいいという考えで、すべてを分社するにいたりました。

――では、セガとセガネットワークスを合併し、新会社を設立したのはなぜでしょうか。
里見 最大の理由は、カンパニー制が採れることです。セガゲームス内では、セガネットワークスとコンシューマー部門は意思決定を各自で行っているため、会社の規模を保ったままで、事業スピードという分社化のメリットを手に入れることができます。

――社名がセガからセガゲームスに変わったことは、とくに往年のセガファンにインパクトを与え、話題にもなりました。
里見 極端な話になりますが、セガゲームスでも、セガネットワークスでも、セガ・インタラクティブでも、ユーザーから見たらセガであることに変わりはありません。商品のパッケージにつくのも、各社のロゴではなく、セガのロゴです。あくまでお客さまに接するのは“セガ”ですので、大きい事件であるとは考えていません(笑)。

――“セガ”というブランドに変わりはないということですね。
里見 セガゲームスに限って言えば、社名を変えない選択肢もありましたが、存続会社として“セガ”にすると、親会社のように見えてしまうかなと思いまして。あくまで各事業会社は平等であり、ゲームを中核としてさまざまなことに取り組めるように、“セガゲームス”にしました。

――組織再編から約3ヵ月が経ちました。手応えや変化を感じられることはありますか?
里見 かなりの手応えを感じています。残念ながら従来のセガは、会社としてのミッションやビジョンが明確ではありませんでした。社外でも社内でも、セガが何をしている会社なのかが、長年の経験からくるニュアンスで通じていたからです。私はそれを危機感としてずっと持っていましたが、なかなか実践されなかった。そこで、セガネットワークス設立の際に作った、会社の行く先や存在意義を示す“ミッションピラミッド”を、4月以降セガグループ全社に広げました。その浸透施策のひとつが、新たに制作したグループミッション映像です。いまは先人が築いた歴史や、我々が残してきたものに対する誇りが失われかけているのかなと思っていたので、まずは誇りを取り戻そうよ、と。映像には、そのうえで「つぎの歴史を作るのは我々だ」というメッセージをこめました。ミッションは「感動体験を創造し続けよう」、ビジョンは「Be a Game Changer~革新者たれ~」です。90年代のセガは、まさに“Game Changer”だったと思うのですが、もう一度、そう思われる存在になろうよというのが、このビジョンです。

新生セガグループ グループミッション映像

――その言葉はセガファンとしてもうれしいですね。セガは革新者のイメージが強く、いまのゲームメーカーにも多くの影響を与えてきたと思います。
里見 セガはいつも3歩くらい先の未来に進もうとしていたので、いまは「一歩先へ」が社内の合言葉になっています(笑)。それから、「創造は生命(いのち)」という社是があり、これは浸透していますが、逆に言えば「新しい商品やサービスを作ることが第一」という解釈になっているのではという気がしていました。ですが、我々が創るのは商品ではなく、お客さまの感動体験で、それは商品やサービスを通じて創造するものです。そういった思いもあり、「創造は生命」を社是から、もっとも大切にするべきバリュー(価値観)に変えました。これらの施策により、かなり社員の姿勢が変わり、誇りを取り戻しつつあるなと感じています。

【TOPIC】セガグループの全事業が分社化、市場環境や消費者ニーズにいち早く対応
 セガサミーホールディングスは、グループ全体の収益構造を見直すため、4月よりグループ内の各社を“遊技機事業”、“エンタテインメントコンテンツ事業”、“リゾート事業”の3事業グループに再編。エンタテインメントコンテンツ事業を担当するセガグループでは、全事業が分社化され、新体制となった。これにともない、コーポレート部門などを担うセガホールティングス、のアミューズメント事業部門を担うセガ・インタラクティブ、家庭用ゲームおよびPC・モバイルゲームを担うセガゲームスの3社が新たに誕生した。