“日本アニメ(ーター)見本市”において、企画立案者の庵野秀明氏や、ファーストシーズンの監督陣が出演するトークイベントが開催された。その模様をお届けしよう。

●山寺宏一さんと林原めぐみさんのボイスメッセージも到着

 2015年7月18日に、新宿バルト9においてトークイベント“日本アニメ(ーター)見本市 初号上映”が開催された。

 “日本アニメ(ーター)見本市”とは、スタジオカラーとドワンゴが贈る、毎週金曜日に1本ずつインターネット上で公開される短編アニメシリーズの企画。“自由な創作の場として、この先の映像制作の可能性を探る”という目的のもと、期間限定にて無料で公開されていることも特徴となっている。

 以下からは、トークの模様をお届けしよう。

【登壇者(敬称略)】
庵野秀明 (企画立案)/ 川上量生 / 氷川竜介 / 江本正弘 / 雨宮哲 / 荒牧伸志 / 谷東 /鶴巻和哉 / 平松禎史 / 堀内隆 / 本田雄 / 本間晃 /前田真宏 /吉浦康裕 / 吉崎響 /

■山寺宏一さんと林原めぐみさんがうれしかったのは“若い役”!?

 登壇した庵野秀明氏が、第2シーズンまでの配信が終了したことに「大変だったなあ」と一言だけ告げたところで、山寺宏一さんと林原めぐみさんからのボイスメッセージが公開された。

 林原さんは「大スクーリンで『ヤマデロイド』が見たかった!」と、この上映会にいられなかったことを悔しく思っていたとのこと。山寺さんは「俺たちふたりだけで声優やっているのが大変だよ。この企画にある“制約”は俺たちふたりと、予算と期間が限られているということだね」と語った。

 また、山寺さんは“日本アニメ(ーター)見本市”で声優として求められることの多さに驚いていたそうで、「(マシンガントークでしゃべる必要がある)『Kanon』ではどうなることかと思ったよ! しかも第3期の『ヒストリー機関』で俺は24役を演じるんだ」ともコメント。林原さんも「監督のみなさんは、私たちふたりだけで声優をやっているということをお忘れなんじゃないかしら」とちょっぴりの苦言を呈していた。

 また、山寺さんは「こんな若い役を演じることが最近はなかったよね」と、林原さんは「『おばけちゃん』でかわいい役を演じられてうれしかったです」と、おふたりとも演じ分ける役の多さを楽しく思っていたところもあるようだ。

 おふたりのボイスメッセージを聞いて、庵野氏が「すみませんでした」と謝る一幕も。また、『ヒストリー機関』で監督を務める吉浦康裕氏は 「山寺さんが24役を演じるということで、“いままで山寺さんが演じてこられたっぽい人”がたくさん出ています。そこも楽しみにしてください」と語った。

■これからアニメの業界はきびしい?

 ここからは、“アニメの今後の可能性”についてトークを行うことになった。

――庵野さんは少し前に、アニメ業界は“あと5年くらいで寿命がつきてしまう”といったことをおっしゃられていたのですが、それについてはいかがでしょうか。

庵野秀明氏 あれはそういうつもりで言ったわけじゃないんだけどな(笑)。でも、アニメ業界がきびしいという現状はあり、それが何十年も言われ続いているのが問題なのかもしれません。日本だけではビジネススキームで考えると難しいところがあるので、海外展開も大事でしょう。

川上量生氏 アニメのタイトル数がどんどん増えている一方で、現場がきびしいままという現状があります。そこは変えていかないといけないですよね。

荒牧伸志氏 僕はもう5、6年もすれば還暦になります。いまのアニメ制作者のコアな世代が、その年齢に差し掛かっているのも問題かもしれませんね。また、ぼくも現場に人が足りていないという話はよく聞きます。いまのアニメ業界は“意外とどうにかなっている”のかもしれませんが、やはりどこかで変えていく必要があります。

前田真宏氏 皆さんが言うように、アニメ業界は30年くらい前からすでにきびしいと言われてきました。しかし、“映像を楽しむ形”というのは廃れることがないと思います。

――今後、アニメ業界を志す若者へ向けて、メッセージがあればお願いします。

本間晃氏 やはりアニメ業界はきびしいですし、肉体労働ではあるので、楽しい仕事だよと簡単には言えないところがあります。しかし、絵を描くことを仕事にしていきたいという気持ちがある人であれば、やりがいがある仕事だと思います。覚悟がある人はぜひチャレンジしてほしいです 

平松禎史氏 じつは絵を描いて、それがちゃんとお金になるという業界っていうのはそんなにないんですよ。そこも知っておいてほしいですね。

谷東氏 まずは、10年くらいアニメでがんばってみるといいと思います。ぼくは実写映像の世界で食べていけなくて諦めたこともあるのですが、その後はアニメの現場で10年間がんばってきました。

本田雄氏 新人のころに先輩に言われたのは「描くというのは技術だから、基本をやっていれば身につくし、そこそこのレベルへは持っていけるよ。そこから先はセンスの問題になってくる」と、“誰でもできる”ということを教わりました。アニメを“かじってみたい”人は、ぜひやってみるといいと思います。

氷川竜介氏 よくできたアニメは、自分でも作ってみたくなります。基本的に、アニメが好きな人であれば、自分で作ることもできます。アニメがおもしろいと感じたら、自分で作ってみてほしいです。