トライアングル・サービスが『デルタジール』をSteamで配信 インディースピリット溢れる講演の模様をリポート【BitSummit 2015】

2015年7月11日、12日の2日間、京都・みやこめっせにて開催された、インディーゲームの祭典“BitSummit 2015”。発起人のジェームズ・ミルキー氏のラブコールで実現した、藤野俊昭氏(トライアングル・サービス)のトークセッションをお届け。

●ミルキー氏の数年越しのラブコールが実現

 2015年7月11日、12日の2日間、京都・みやこめっせにて開催された、インディーゲームの祭典“BitSummit 2015”。発起人のジェームズ・ミルキー氏のラブコールで実現した、藤野俊昭氏(トライアングル・サービス)のトークセッションをお届け。

 今回のトークセッションは、“BitSummit”の発起人であるジェームズ・ミルキー氏が藤野氏に送ったメールが発端。ミルキー氏が藤野氏の制作スタイルこそ、インディースピリットを感じるとし、アプローチしたのだそうだ。
※藤野氏によると、そのメールが会社のメールアドレスに届かず、「最近まで気づかなかった(笑)」とのこと
 そもそも、トライアングル・サービスとは、藤野俊昭氏が社長を努める会社だが、基本的には藤野氏ひとりでゲーム開発を行っているので、まごうことなきインディーデベロッパーと言える。講演では、そんな藤野氏がゲーム業界で過ごした経緯や現状を説明してくれた。

▲ミルキー氏(左)の推薦で実現したトークセッション。

▲藤野俊昭社長(トライアングル・サービス)

 高校卒業後、ゲーム専門学校を経て、何社かのゲームメーカーに勤めた藤野氏。スーパーファミコンからセガサターン、プレイステーション、Windowsといったプラットフォームのゲームを開発してきた。その後離職し、ゲームの企画を売り込んでいたがお金が尽きてしまったころ、たまたま見た某転職情報誌に載っていた“業務用シューティングゲーム開発者募集”の求人にときめいたそうだ。
 何といっても藤野氏のルーツはアーケードゲーム。喜び勇んで転職したものの、アーケードゲーム業界が縮小するとともに、各ゲームメーカーの主力業務は、家庭用ゲーム機向けゲームの開発にシフトされていた。これがだいたい2000年のこと。
 その会社でアーケードゲームを作ろうにも、資金的な問題など、クリアーしなければならない問題が多かったため、一念発起して借金&事務所を借り、いよいよ2001年、トライアングル・サービスという“個人事業”がスタートした。以降、『XIISTAG/XIIZEAL』を約6ヵ月で開発するなどしたが、2002年に法人化して有限会社トライアングル・サービスとなる。
 この法人化の経緯も藤野氏らしく、取引先のセガから「法人以外とは取引ができない」と言われて、やむなく法人化したという。それもこれも、ゲームセンター向けのゲーム、それも大好きなシューティングゲームを作るため。

▲トライアングル・サービスのタイトルは、サウンドやデザイン以外、基本的に藤野氏がひとりで開発する。

 ここからはゲームセンターの実情が説明された。“警察白書”によると、現在、全国のゲームセンターの数は、最盛期の約10分の1にまで減少している。その中でトライアングル・サービスは、アーケード向けゲーム、しかもシューティングゲームを作ると明言しているのだ。
 たとえば『シューティングラブ。2007~ EXZEAL&シューティング技能検定 ~』は、藤野氏の試算によると、100円(1プレイ)×100万回(普及台数と稼動期間から推測)=1億円! とは言え、現在のシューティングというジャンルはやはり主力ではなく、細々と生き長らえている。
 また、現在はセガの“ALL.Net P-ras MULTI”やタイトーの“NESiCAxLive”など、複数のゲームがインストールされ、プレイヤーが遊ぶゲームを選ぶスタイルに変化してきた。

▲全国的にどんどんと数が減少しているゲームセンター。そんな中、藤野社長が手がけるソフトはなかなかがんばっている!

 そんな中、新たなヒット作となったのが『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』。セガの名作『ペンゴ!』も収録し、たまたまゲームセンターに来た人でも遊べ、またわかりやすいゲームをテーマにした。同作は、格闘ゲーム以外では異例のヒットを記録している。こういったタイトルを複数制作できれば、まだまだアーケードゲームでやっていけると藤野氏は語る。

▲アーケードで、高い人気を誇る『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』。

 そして現在。
 ゲームセンターも、Xboxも、そしてSteamも、ベースとなる“基板”はWindows。この世界最大のユーザー数を誇るWindowsなら、複数のプラットフォームでの展開も容易。
 またSteamの“アーリーアクセス”は、ゲームセンターでいうところの“ロケテスト”に当たる。こう考えれば、Steamで早期アクセスを利用し、後に家庭用ゲーム機やアーケードへ展開するという、現在とは逆の流れも十分可能だ。

 そして、トライアングル・サービスからサプライズの発表が! 近日中に『デルタジール』(2002年にアーケードで稼動)をSteamで配信するという。そして、そのパートナーとして“デジカ”がサポートすることになった。
 新たな戦略を試し続ける、まさにインディースピリットを持った藤野氏=トライアングル・サービス。Steamから始まる新たなストーリーを楽しみにしたい。

▲Steamで『デルタジール』が近日配信。今後は、Steam→アーケード、家庭用ゲーム機という、新たな流れができるかもしれない。