“BitSummit 2015”に強力なパートナーとして参加している“Indie MEGABOOTH”

 2015年7月11日、12日の2日間、京都・みやこめっせにて開催された、インディーゲームの祭典“BitSummit 2015”。ここでは、世界中で活躍するインディー団体“Indie MEGABOOTH”によるパネルセッションの模様をお届けする。

 Indie MEGABOOTHは、アメリカを拠点に海外のインディーシーンで活躍するインディーゲーム団体で、“BitSummit 2015”では、新たなパートナーとして参加している。
そのIndie MEGABOOTHの創設者であり、CEOを務めるKelly Wallick氏によるステージセッションが行われた。
 “BitSummit 2015”では、中央に設置されたステージの周囲を囲むように各ブースが出展されている。Red Area、Blue Area、Green Areaと分けられたエリアのほかに、Indie MEGABOOTHのエリアが設けられているのだ。

世界で存在感を示す“Indie MEGABOOTH”が日本上陸! CEO・Kelly Wallick氏のパネルセッションをリポート【BitSummit 2015】_01
世界で存在感を示す“Indie MEGABOOTH”が日本上陸! CEO・Kelly Wallick氏のパネルセッションをリポート【BitSummit 2015】_02
世界で存在感を示す“Indie MEGABOOTH”が日本上陸! CEO・Kelly Wallick氏のパネルセッションをリポート【BitSummit 2015】_03
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世界で存在感を示す“Indie MEGABOOTH”が日本上陸! CEO・Kelly Wallick氏のパネルセッションをリポート【BitSummit 2015】_07
▲Kelly Wallick氏

 セッションでは、最初にIndie MEGABOOTHの概要が説明された。
 4年前、アメリカのボストンに在住していたKelly氏。ボストンはインディーシーンが非常に活発な地域で、そこでインディーメーカーにボランティアで参加したり、ネットワークを構築したそうだ。当時はまだインディーメーカーが注目を集めるのは難しかったので、ひとつにまとめて注目度を上げようというのが設立の原点。最初に参加したイベントは、2012年にボストンで開催された“PAX”。1回目は12スタジオが参加し、好評だったので、つぎは32スタジオが参加してくれ、以降は“参加すること”が目的ではなく、“どうやって盛り上げていくか”が課題となるほど、存在感と求心力を集めていったのだ。
 また、各スタジオとパブリッシャーをつなげるような仕事も行っている。2013年には起業し、現在社員はKelly氏を含め2名とのことだ。とは言え、必要に応じてサポートする契約スタッフや、何百人ものボランティアの協力のもと、それぞれのイベントに参加している。世界各地のゲーム開発コミュニティーをつなぎつつ、小規模のデベロッパーでも成功に導くことが身上だと語るKelly氏。「日本のインディースタジオを支援するために、これまでのさまざまな方面と連携してきた経験がフルに活用しています」と、“BitSummit 2015”出展の意義を語ってくれた。

●“インディー・メガブーム”に乗らない手はない!

 ここからは、Indie MEGABOOTHと連携してきたクリエイターをゲストに迎えてのトークセッションに。壇上には、『Downwell』のもっぴんこと麓旺二郎氏、キュー・ゲームスの山村氏、そしてジェイク・カズダル氏(17-Bit)が登壇した。
 まずKelly氏から、もっぴん氏と山村氏に、海外でゲームを出展した時のことについて質問が飛んだ。もっぴん氏は、今年3月のPAX Eastで『Downwell』を出展した。それまで、東京ゲームショウのインディーゲームエリアにしか行ったことがなかったが、PAXでは、そもそもブースの広さが4、5倍はあることに驚いたそうだ。また、AAAタイトルが多く出展しているにも関わらず、真っ先にIndie MEGABOOTHを目指すファンも多かったのが印象的だったと語る。
 山村氏は、2013・2014年のPAX Primeに『Nom Nom Galaxy』で参加したそうだが、英語も話せず、海外旅行の経験もないので、とにかく会場に行くのが怖かったそうだ。しかし、ゲームをプレイしながらのコミュニケーションは何とか通じるもので、フレンドリーな雰囲気でアテンドできたそうだ。
 それから17-Bitは、Indie MEGABOOTHの創設時からずっと協力してきたこともあり、ジェイク氏にはこれまでを振り返ってもらうことに。
「2012年に初めてPAXに出展した時は、まず来場者はAAAタイトルに向かって、Indie MEGABOOTHにはなかなかお客さんが集まらず、寂しい思いをしました。2013年は、ブースに来てくれる時間が前年より早くなりました。そして、2014年は開場と同時にIndie MEGABOOTHに来場者が殺到しました。インディータイトルが、もっともお客さんの関心を引いていたわけです。スタジオにとっても大きな出来事でした」と、当時を振り返った。

世界で存在感を示す“Indie MEGABOOTH”が日本上陸! CEO・Kelly Wallick氏のパネルセッションをリポート【BitSummit 2015】_08
世界で存在感を示す“Indie MEGABOOTH”が日本上陸! CEO・Kelly Wallick氏のパネルセッションをリポート【BitSummit 2015】_09
▲山村氏(キュー・ゲームス、写真左)ともっぴん氏(右)
▲ジェイク・カズダル氏(17-Bit)

 続いて、ほかの開発者へのアドバイスを求められた3人。まず、もっぴん氏は「たとえ開発中のタイトルであっても、積極的に出展して触れてもらい、情報を発信したほうがいい」と語り、山村氏は「ブースに来た人からはまず「これはどんなゲームか?」と聞かれるので、片言の英語でもいいので、とにかく一生懸命説明することが大事。それは相手にも必ず伝わる」と、自身の体験談を交えて語ってくれた。ジェイク氏は「いま、“インディー・メガブーム”が来ています! このブームが最高潮のうちに、怖がらずに出展して、プレイしてくれた方からのフィードバックをもらい、改善点を修正したり、また周囲のメーカーと切磋琢磨し、短い時間で多くのことを経験することで自分の作品がどんどんとよくなっていきます。17-Bitでは、その考えかたが開発の根幹に据えています。この“インディー・メガブーム”に乗って、貴重な体験を共有しましょう!」と熱烈なアドバイスを送った。
 最後にKelly氏は「自分がこだわりを持って作った作品を人前に出すというのは、とても怖いことです。しかし、勇気を持って出展することで、自分たちの作品を待ってくれている人や興味を持ってくれた人から、いろいろなものを得ることができるでしょう。このやり取りをもっと行うべきだと思います」とジェイク氏の意見に同調した。