『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』開発者インタビュー!【part1】

弁護士として法廷で真実を追求していく法廷バトルゲーム『逆転裁判』の新プロジェクト、『大逆転裁判』。本作では、19世紀末の日本と倫敦で奮闘する、成歩堂龍ノ介の成長が描かれる。ここでは、ついに発売された本作の開発者インタビューを2回に分けてお届け! インタビューを読みながらゲームを遊べば、さらに楽しめること間違いなし!

●『大逆転裁判』開発者インタビューをお届け!

 弁護士として法廷で真実を追求していく法廷バトルゲーム『逆転裁判』の新プロジェクト、『大逆転裁判』。本作では、19世紀末の日本と倫敦で奮闘する、成歩堂龍ノ介の成長が描かれる。ここでは、ついに発売された本作の開発者インタビューをお届け! インタビューを読みながらゲームを遊べば、さらに楽しめること間違いなし!

<左>
ディレクター
巧舟氏(たくみしゅう)

<右>
プロデューサー
小島慎太郎氏(こじましんたろう)

●新プロジェクトついに完成!

――ついに発売されましたが、現在の状況や心境はいかがですか?

巧 舟氏(以下、)  今回も、チーム一同、魂を込めましたからね。そうやって作ったものが、いよいよ皆さんのもとに届くんだなと思うと感慨深いです。

――発売前に配信された体験版で本作に触れた方も多いと思いますが、体験版の反響はいかがでしたか?

小嶋慎太郎'氏(以下、小嶋'') 反応はすごくよかったです。「巧節、炸裂」とか「演出が新しくておもしろい」とか、そういう声が多かったので、ホッとしているところはあります。龍ノ介のツッコミが主人公らしいとか、ホームズもただのイケメンじゃなくてああいう感じなんだな……と。もちろん、ホームズもああいう感じなだけではなく、ビシっと決めるときは決めます(笑)。

―― 以前、巧さんが「シャーロキアン(※1 )の反応が楽しみ」とおっしゃっていましたが。

 どんな意見をいただけるのか、ドキドキしています。じつは、シリーズにはシャーロキアンの方にはピンと来るようなセリフもあります。そういう遊びは、初代『逆転裁判』の"DL6事件" (※2)から始まっていますね。

――ちなみに、最終的なボリュームはどれくらいに?

小嶋 けっこうなボリュームになりました。

 久しぶりの『逆転裁判』で力が入りすぎて、想定よりも大きくなってしまって……。

小嶋 3話目ぐらいをガーッて書いたときに、巧さんがボソッと「終わらないなぁ」と(笑)。

 シナリオをゲームにしたときには、プレイ感覚も変わるので。書いた段階では大丈夫だと思っていたんですが、時代背景などの描写もあって分厚くなったのかな。

※1 シャーロキアン…『シャーロック・ホームズ』シリーズのファンのことをそう呼ぶ。
※2 DL6号事件…『逆転裁判』シリーズで扱われた事件のひとつ。本事件が発生したことにとって、さまざまな登場人物たちのその後に、大きな影響を与えている。

―― 以前は現代の日本が舞台だったので、時代背景などの説明はいりませんでしたが、今回は19世紀末の倫敦ですしね。

 お金の単位でポンドとか出てきたとき、説明に困ったり。日本円でいくらだと言っても、それは明治時代の円であって現代とはまた違うので難しかったですね。

―― 続いての質問ですが、ゲーム制作全般において、初期から変化した部分はありますか?

 キャラクターの幅が広がりましたね。ビクトリア朝というと、スーツと帽子の紳士ばかりなので、その世界を壊さないようにしつつ、幅を出しました。

小嶋 モーションもアクターさんの動きを撮ってゲームに反映して、よりドラマチックにしています。舞台がかった感じのキャラクターは、元宝塚の汐月しゅうさんにお願いしたので、より動きがトガりましたね。

 ちょっと方向性が変わったかもしれないですね。いままでは手作りのマンガっぽい動きでしたけど、夏目漱石とか実在の人物も出るし、今回はモーションキャプチャーも使って、それを『逆転』風にアレンジしています。

―― システム面でも新たなシステムが入っていますが、なかでもお気に入りのものは?

 共同推理ですね。ホームズとの競演が夢だったので。スピーディーに踊らせてみたり、スポットを当ててみたりして、最初に想像していたものより、豪華に進化しました。

小嶋 僕は陪審バトルですね。もともとは弁護士と検事とのバトルで成立していたのが、陪審員の6人が加わったらややこしくなるんじゃないかと思ったんです。でも、ぜんぜんそんなこともなくて、ムジュンがあるそれぞれの主張をぶつけるというシステムがうまくハマりました。

―― 陪審員も話に割り込んできますよね。

小嶋 言い終わるのを待つのでなく、毎回違うタイミングで入ってくるので、テンポがすごくおもしろいですね。

 最初は陪審員も無個性な感じをイメージしていましたけど、チームのデザイナーががんばってくれて、ものすごく個性的になりました。それで、お話にも自然に反映されてきたと感じています。

―― 開発チームはどんな雰囲気でしたか?

小嶋 「こっちのほうが、よりおもしろくなるよね」という気概を持った前向きなチームだったので、いい感じだったと思います。

 お願いしたことを、とことん追及してくれたので、本気でぶつかれました。遠慮しちゃうとクオリティーも遠慮したものになってしまいますから。粘り強いメンバーだったので助かりました。

―― 開発中の印象深いエピソードは?

小嶋 "巧さん入院事件"ですね。

 足が原因不明で腫れて、入院したんです。タイトル発表の時期でロゴを決めなくちゃいけなくて、病室でコッソリ見たりしました。

小嶋 あとは、資料集めで図書館巡りをしたり。ひとつ目の図書館を間違えたり(笑)。

●原点回帰

――シリーズでは個々の話が大事件につながる展開がありますが、今回はいかがですか?

 今回も、前作を越えようと仕掛けを考えています。本当に力を入れて作ったので、自分でも制御しきれなくなって、荒削りな部分と同時に勢いがあるかなと。そのぶん、反省点もいっぱいありますが、小綺麗にまとめるより、"デカイ何か"を投げつけたという、ある種の無責任感があります。

小嶋 でも、今回、『逆転』シリーズの新しいプロジェクトとして、今後につながる土台がちゃんとできたと思うんですよ。それに粗いと言っても、細かく作り込まれた部分に対しての、勢いがある部分なので、適当っていう意味で粗いということではないんです。そのふたつが緩急になっているんです。

――初代『逆転裁判』のときも、勢いがすごくあったと思います。

 そういう意味では原点回帰になっているのかな。やはり、ライバルは1作目ですから、アイツ(成歩堂龍一)に負けないようにがんばりました。巨大な存在ですね(笑)。ただ今回、成歩堂龍ノ介を書くとき、龍一くんとの書き分けは、あまり意識しませんでした。そんなに器用ではないので。自分の素のまま書いたのが龍一くんで、『4』で王泥喜くんという新しいキャラクターを作ったとき、その差別化にかなり苦労しました。だから、龍ノ介はできるだけ素に近い主人公に、いっそ龍一の先祖にして、明治時代の"なるほどくん"としての個性を出そうと考えました。その結果、個人的にはのびのび書けました。

小嶋 ちょいちょい入る( )の中の心の声。あれがいい味出してますね(笑)。

 あれは、ぼくが感じた通りに書いているんですけど、遊んでいるプレイヤーも同じように感じることが多いようで、いい具合にプレイヤーと主人公がシンクロするようです。

―― 自分が思わずつぶやいたことが、そのままテキストになっていたり。

 それはうれしいですね。ホームズも、自分の中のもうひとりの人格としてなじみがあったので、書きやすかったです。ただ、彼は本当に適当なことを言うのですが、適当って言っても、ふつうの人が考える適当よりも適当でなければならないので、それを考えるのがたいへんでした(笑)。

小嶋 堂々とした適当ですよね(笑)。キャラクターが生きているとか、キャラクターが話を進めてくれている感はありますよね。

●シリーズ化に期待!

――ゲームが7月9日に発売されましたが、今後の展開を教えていただけますか。''

小嶋 ダウンロードコンテンツが、発売日から11日間は無料で特別号を配信し、その後も毎週配信していきます。リアル脱出ゲーム も全国32ヵ所で展開します。先日も監修に行ったんですが、オープニングや解説用の映像を作っているので、そこのやり取りもぜひ見ていただきたいですね。

 本気で作りすぎちゃいましたね(笑)。

小嶋 僕は後半が終わった後のやり取りで鳥肌が立ちましたね。あれは『逆転』シリーズのファンの方、そしてこれから『大逆転裁判』をやろうと思っている方には、ぜひ行くことをオススメします。絶対に損はしないです。

 絶対に『逆転裁判』、『大逆転裁判』が遊びたくなるよね(笑)。

小嶋 ソフトが欲しくなります。各会場に行って、手売りしてきますか(笑)。リアル脱出ゲームのほうも、単純な謎解きじゃなくて、『逆転裁判』の要素もしっかり入った要素になっています。要所要所で「異議あり!」と言わないと進めなかったりするので(笑)。

―― おもしろそうですね!

小嶋 後は、発売後だからできる巧さんのトークイベントもやってみたいなと思っています。2部制にして、参加資格はクリアーした人だけで、2部からはディープなお話とか。

―― ぜひ実現させてください。そして、少し気が早いですが、続編はお考えでしょうか?

小嶋 狙っていきたいですね。『大逆転裁判』シリーズとして、つぎにつなげられる土台と、いいキャラクターたちも揃っているので。巧たくみさんの中にも、語り尽くせていない彼らの話があると思いますし。

 シリーズになるような大きなものになったのですが、これを続けられるかどうかは、本作を買っていただけるかどうかにかかっています(笑)。僕たち制作チームとしても、龍ノ介くんたちの冒険をもっと見たいと思っているので、みんなで見られるよう、手に取っていただけるとうれしいです。

小嶋 『大逆転裁判』は明治時代が舞台で、日本から倫敦に行ったり、シャーロック・ホームズが登場したりと、いままでのシリーズとは大きく設定が違いますけど、そこは新プロジェクトの意気込みが詰まっています。巧たくみディレクターの底の部分が全力で入っているタイトルです。1作目がライバルだとして、それに負けない、追いつき追い越せのタイトルになったと思います。シリーズファンの方は確実に損はしませんし、ホームズなどのほかの要素に興味がある方にも触ってもらえればと思います。おもしろいキャラクターたちが大暴れするドラマチックなゲームなので、皆様、ぜひよろしくお願いします。


大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-
メーカー カプコン
対応機種 3DSニンテンドー3DS
発売日 2015年7月9日
価格 5800円 [税抜]/6264円 [税込(8%)]
ジャンル アドベンチャー
備考 ダウンロード版は5546円[税抜](5990円[税込])、『特別装丁版』は7300円[税抜](7884円[税込])  ディレクター:巧舟、プロデューサー:小嶋慎太郎

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