連続失踪事件の謎を追え

 家族を愛する男デビッド・ニューカッスルが目覚めると、そこは見知らぬ部屋。両手には手錠でかけられ、天井から半ば吊るされた状態で、目の前の扉には「私と遊ぼう(Play with me)」との殴り書き。何者かに拉致され、どこかに閉じ込められているのだ。一体誰が、何のために? その頃、地元の刑事ランバートは、街で立て続けに起こっている連続失踪事件を追っていた……。

 Zandel Mediaの『MISSING: An Interactive Thriller』は、連続ドラマ仕立てのアドベンチャーゲームで、現在はエピソード1がPC(Steam)/iOS/Androidで配信中。その源流にあるのは90年代の実写映像によるアドベンチャーゲーム。3D表現の進化とともにあっという間に衰退していったこのジャンル(Full Motion Videoを略してFMVと呼ばれる)を、現代の海外ドラマのような緊張感のある締まった絵作りの映像で復活させようという作品なのだ(ちなみにプロットが『ソウ』と似ているが、スプラッターは今のところない)。

パズルを解いて部屋から脱出し、罠だらけの施設から逃げ出せ! 実写アドベンチャー『MISSING』は海外ドラマ好きも必見_05
パズルを解いて部屋から脱出し、罠だらけの施設から逃げ出せ! 実写アドベンチャー『MISSING』は海外ドラマ好きも必見_02
▲エピソード1ではデビッドの脱出とランバートの操作風景が描かれる。

素直で程よい謎解きと凝りまくりの映像

 アドベンチャーゲームとしてはオーソドックスな作りで、画面の中をクリックしてカギとなるアイテムなどを手に入れつつ、それを使って各所のパズルを解いて先に進むという形式(後半では画面に映しだされたアイコンをクリック/タッチしていくQTEもアリ)。行動範囲も限られているので、カギになりそうな怪しい所すらわからずに詰まるということはあまりないと思う。

パズルを解いて部屋から脱出し、罠だらけの施設から逃げ出せ! 実写アドベンチャー『MISSING』は海外ドラマ好きも必見_03
▲取りあえず開けられそうなものは開けとけ!

 一方で凝りまくりなのが映像面。往年のFMVは映像そのものが圧縮かかりまくりでガビガビだったり、CGやゲーム部分との合成が荒かったり、時代が時代なので仕方ないとはいえ、映像そのものの表現は正直微妙だった(それが独特の味でもあったのだが)。

パズルを解いて部屋から脱出し、罠だらけの施設から逃げ出せ! 実写アドベンチャー『MISSING』は海外ドラマ好きも必見_01
▲90年代の作品の例。日本でもサターンなんかで出たホラーFMV『ファンタズム』。

 しかし本作では完全に映像を中心に据え、UIも取得アイテムを入れるインベントリーだけに絞り、それすらも普段は隠して、とにかくカメラワークの効いた絵をビシッと見せていくというスタイル。パズルとパズルの間の映像パートは必見だ。
 完全に映像面ではFMVよりも映像作品としての作りで、ワンエピソードが普通に解いた場合45分程度なので、まさに海外ドラマの1話を見たような感じ。各エピソードは別売りで、4-5エピソードでの完結を予定しているとのこと。

パズルを解いて部屋から脱出し、罠だらけの施設から逃げ出せ! 実写アドベンチャー『MISSING』は海外ドラマ好きも必見_04
▲パズル自体も実写。

 なお音声は英語で、英仏西独伊露の字幕表示が可能。日本語ローカライズはされていないが、そこまで難しい会話シーンはないので、洋ゲーに慣れている人ならそこまで問題ないだろう。
 エピソード1の価格はプラットフォームにより異なるものの2-300円台なので、ちょっと映画をレンタルするぐらいの感じでお試し程度に遊んでみて、それから続きを追うか決めてもいいんじゃないだろうか。ちなみにPC版では、先行して発売されたiOS/Android版で明示されていた答えを自分で発見する必要があるなど、若干の調整が加えられている。