ファミキャリ!会社探訪第25回はオルカ!
ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍している、各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。第25回となる今回はオルカ。
オルカは2011年に設立された新しい会社ながら、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)やセガ(現セガゲームス)といった多くのゲームメーカーで活躍したクリエイターが在籍している実力派。今回は、会社設立にも携わった取締役の古林雅俊氏と、担当プロジェクトで日々忙しく奔走しているプロデューサーの高橋徹氏に話を聞いた。
気心の知れたクリエイターが揃う実力派集団
――まず、おふたりの経歴から簡単に教えてください。
古林雅俊氏(以下、古林) 私はナムコからゲーム業界に入りました。入ってからは、初代プレイステーションなど、当時の次世代機用ゲームの開発に携わることになりました。正式に開発参加したのは『リッジレーサー レボリューション』からですが、ゲーム業界に入ってからは約22年になりますね。
その後、弊社代表の岩崎(★山へんに立+可)(拓矢氏)が当時在籍していたキャビアにお世話になることになりました。キャビアには、ナムコ時代の仲間もたくさんいました。キャビアではプログラマーとして、スクウェア・エニックスさんの『ドラッグ オン ドラグーン1・2』や『ニーア レプリカント』、『ニーア ゲシュタルト』などを作らせていただきましたが、その縁もあってスクウェア・エニックスさんとは現在でもお付き合いが続いています。それからAQインタラクティブ(現マーベラス)を経て、2011年に岩崎とこの会社を作ることになりました。スクウェア・エニックスさんとずっとお仕事をさせていただいたということもあり、オルカに『ドラゴンクエストX オンライン』(以下、『DQX』)を手伝ってほしいというお話をいただきました。
――古林さんは取締役という肩書ですが、実際にはどういった業務を?
古林 取締役なので、実作業をすることもないかとも思ったのですが、ふつうにプログラム仕事をしています(笑)。加えて、直接実作業ができないプロジェクトのスケジュールや人員調整もしています。
――会社は移り変わっていますが、スタッフは気心の知れた方々といっしょにお仕事をされているようですね。
古林 そうですね。弊社にいるスタッフの多くは、いままでいっしょに仕事をしてきたことがある気心が知れた人が集まった形ですかね。
――高橋さんはどういった経緯なのですか?
高橋徹氏(以下、高橋) もともとはCGの仕事をしていました。CG会社とゲームメーカーが近しい関係だった時期で、ゲームにもCGを多用しました。当時勤めていたCG会社がカプコンさんから受託の仕事をして、『バイオハザード:コードベロニカ』や『ディノクライシス2』の映像をやらせていただいたこともあり、そのまま大阪のカプコンに入ることになりました。それがゲーム業界に入ったきっかけですね。
――古林さんとは正反対のような事例ですね。
高橋 そうです。たまたまゲーム業界に入れました(笑)。カプコンでは『鬼武者2』の開発にデザイナーとして関わった後、デザイナーとプランナーの両方をこなすようになりました。ただ、もう少し制作寄りの仕事をやってみたいという思いが強くなって、プロジェクトが終了した時に転職する決意をしました。CG会社時代の知人が岩崎と知り合いで、岩崎が制作業務に興味のある人を探しているということで会うことになり、そのままキャビアに入ることになりました。ちなみに古林は、キャビアで開発部長をしており、すでに偉い人でしたよ(笑)。キャビアでは『バイオハザード:アンブレラクロニクル』や、AQインタラクティブでリリースしたXbox 360タイトルの『バレットウィッチ』のプロデューサーなどを担当しました。その後、家庭用ゲーム以外のゲームの仕事にも興味が出てきて、ネットワークを介したクラウドゲームサービスを展開する会社やソーシャルゲームの会社にいたこともありました。それからしばらくして、オルカの新プロジェクトでプロデューサーができる人を探しているという相談を岩崎から受け、去年の11月にオルカに入ることになりました。コアなスタッフは、キャビア時代から知っているメンバーなので、まったく知らない会社に入るよりは、仕事がしやすい環境です。
――なるほど。では、オルカ設立までの経緯や、会社としての目標を教えてください。
古林 AQインタラクティブ時代は、開発を直接担当するわけではなく、どちらかというとサポートがメインになっていきました。会社規模が大きくなったがゆえに、なかなか自分たちのやりたい仕事を、いっしょにやりたいスタッフと仕事をするわけにはいかなくなってきたわけです。
高橋 AQインタラクティブは、もともとひとつの会社ではなく、いろいろな会社がひとつになってできた会社でしたから、仕事の形もいろいろと変わっていった時期だったと思います。
古林 そんななか、もう一度自分たちでやりたいようにできるような会社が作れないか考えていた時に、信頼できるプログラマーがいい感じで集められそうなそうなのと、プログラマーを必要とする仕事を受けられる予感があって、「これはちょうどいいタイミングではないか」と考え、会社を作りました。ですから、いい人材がいるオルカさんにまかせれば安心と言われるような会社になれればいいと思っています。
――オルカ設立時には、家庭用ゲーム機以外のスマートフォン向けゲームなども視野に入れていたのですか?
古林 最初から考えていました。スマホのスペックもどんどんと上がっていきますし、当時からスマホ用ゲームの売上も右肩上がりでしたから。また関連会社には、岩崎が代表を務めているイルカというCGを得意とする映像制作会社がありますし、連携できれば少なくとも前の会社と同規模のタイトルは作れるし、会社を続けることもできるだろうし、自分たちのやりたいこともできるだろうと考えました。
高橋 私はイルカの立ち上げに関わったのですが、岩崎には、今後ゲームの作りかたが変わっていきそうだという考えがあったのを覚えています。規模の大きな会社だと、昨今の動きの激しいゲーム業界の“波”についていけないのではないか、と。プログラムやプランニングなど、ゲームの基幹となる部分に強いオルカ、デザインやCGムービーが得意なイルカ等、ほかにもいくつかゲーム開発に携われる関連会社があるのですが、そうやって営業窓口を広げることでさらに仕事の幅が広がります。それぞれ得意な分野に特化した会社を立ち上げるということで、ゲームやエンターテインメント業界で活躍できるのだと思います。
――2社による連携はかなりあるわけですね?
古林 オルカとイルカは設立したタイミングが、ほぼ同時期になります。
高橋 オルカはスクウェア・エニックスさんの『DQX』などで実績を残してきました。一方、イルカはCG業界の中では大手として数えていいくらいにまで成長しています。それぞれ知名度も上がってきて、ようやくいっしょに仕事ができるようになりました。