コーエーテクモホールディングスが2015年3月期の決算説明会を開催 2期連続の増収&5期連続の増益を達成

2015年5月1日、コーエーテクモホールディングスが、2015年3月期の決算説明会を開催。決算内容の詳細や、今期(2016年3月期)の経営方針、そして今後の事業展開などを説明した。

●5期連続の増益で業績も過去最高に

▲決算説明会には、襟川氏(左)と浅野氏(右)の両氏が出席。

 2015年5月1日、コーエーテクモホールディングスが、2015年3月期の決算説明会を開催。決算内容の詳細や、今期(2016年3月期)の経営方針、そして今後の事業展開などを説明した。
 説明会には、コーエーテクモホールディングス代表取締役社長・襟川陽一氏と、同社専務執行役員CFO・浅野健二郎氏が出席。まずは浅野氏から、2015年3月期の決算概要の報告と、2016年3月期の計画概要の説明がなされた。

 2015年3月期の売上高は377億9900万円(前年比2億2300万円増/+0.6%)、営業利益は96億5200万円(前年比25億1200万円増/+35.2%)、経常利益は135億6800万円(前年比28億4000万円増/+26.5%)、当期純利益は94億3400万円(前年比24億9800万円増/+36.0%)となり、2期連続の増収と、4期連続の増収増益を記録。各利益の水準とも、経営統合以来、最高の業績を達成する形となった。
 浅野氏はその要因のひとつとして、新規IPの『討鬼伝 極』や、大型コラボの『ゼルダ無双』、『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』が好調に推移した点を指摘。また利益率の高いDLCやソーシャルコンテンツの伸長に加え、独自開発ツールの活用や、費用対効果を徹底したマーケティング展開などによりコスト低減が図れたことも、収益性の向上につながったと分析した。
 続いて、事業別の内訳が説明されたが、詳細は以下のとおりだ。

<2015年3月期 事業別売上高>
◆ゲームソフト事業:248億6300万円(営業利益:77億9500万円)
◆オンライン・モバイル事業:67億3300万円(営業利益:11億2800万円)
◆メディア・ライツ事業:27億4400万円(営業利益:2億9400万円)
◆SP(スロット&パチンコ)事業:20億2000万円(営業利益:7億1800万円)
◆アミューズメント施設運営事業:15億8400万円(営業利益:500万円)
◆その他事業:7億7400万円(営業利益:1億5500万円)

▲まずは全体的な売上高、続いて事業別の内訳が説明された。

▲数多くの優良コンテンツが、この好調な売上高を支えた。

◆ゲームソフト事業
 『ゼルダ無双』、『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』、『戦国無双4II』が好調。またDLCなど利益率の高い売上構成比率が上昇したことや、コスト削減も、営業利益アップの要因。

◆オンライン・モバイル事業
 主力タイトルが引き続き堅調に推移したほか、“my GAMECITY”のオープンプラットフォーム化などのマルチプラットフォーム展開や、アジア向けの施策を押し進めた結果、前年比増収増益を達成。

◆メディア・ライツ事業
 ネオロマンス20周年を記念したイベントの開催や、グッズ販売などが好調に推移。

◆SP(スロット&パチンコ)事業
 パチンコ・パチスロ機への版権許諾および、液晶ソフトの自作開発が順調。

◆アミューズメント施設運営事業
 消費増税による影響などもあり、減収減益という結果に。引き続き集客効果の高い販促施策の実施や、体験型のキッズ施設の展開などにより、収益力の向上に取り組む方針。

 地域別の売上高では、国内が298億7700万円。海外が79億2200万円で、これは前年比26.4%アップという成績。要因としては『ゼルダ無双』が海外で好調だったほか、PS4向けのタイトルも、欧米で販売を伸ばしているとのこと。また地域別のゲームソフト販売本数は、合計で7億4万5000本となっている。

▲地域別売上高は、近年、海外の比率が高くなってきている。

 続いて浅野氏は、2016年3月期の計画を発表。全体的な売上高のほか、事業別・地域別などの目標も説明された。詳細は、モニターの資料を参照してほしい。

<2016年3月期の計画について>
売上高:400億円(対前年度22億100万円増/5.8%増)
営業利益:100億円(同3億4800万円増/3.6%増)
経常利益:140億円(同4億3200万円増/3.2%増)
当期純利益:95億円(同6600万円/0.7%増)

●“IPの創造と展開”をさらに強化して継続

 説明会では、続いて襟川氏が登場。前期の総括と、今期の経営戦略が説明された。まず前期に関しては、5期連続の増益に加え、経営統合以来過去最高の業績を達成したが、襟川氏はその要因として「“IPの創造と展開”をテーマに、各事業においてさまざまな取り組みをして、その成果をしっかりと出すことができました」とコメント。具体的には、以下の点を挙げた。
・ソフトウェア事業は『ゼルダ無双』、『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』、『ワンピース 海賊無双3』が大成功を収めた。
・デジタル販売が好調で、コストマネジメントも徹底した結果、収益性が大幅に向上した。
・オンライン・モバイル事業では、主力ソーシャルゲームのマルチプラットフォーム展開や、『大航海時代V』のアジア展開が順調に進んだ。
・メディアライツ事業では、イベントや関連グッズ販売が好調だった。

▲「“IPの創造と展開”が社内に浸透した結果」と、総括が語られた。

 2016年3月期の経営方針も、“IPの創造と展開”の継続だ。イメージとしては、IP創造を軸として、プラットフォーム展開、ジャンル展開、コラボレーション展開、タイアップ展開、グローバル展開を同時に進めていく。
 まず、中心となるIPの創造について。前期はコラボなど“展開”で成果を収めたが、今期は“創造”にチャレンジし、パッケージ向けの新作投入に取り組んでいくという。またスマホでは、ネイティブアプリのヒットを生み出すことを大きな目標としたうえで、スマホとパッケージの連動など、ビジネスの創造も積極的に推進していく意向だ。

▲IP創造を中心に、展開が多彩に広がっていくイメージだ。

 続いては、各IPの展開について詳しく説明がなされた。まずプラットフォーム展開については、ハードウェア・ソフトウェアのいずれにおいても、マルチプラットフォームを基本とする方針。また自社プラットフォームとなる“my GAMECITY”もさらに強化し、魅力を高めていきたいとのことだ。
 ジャンル展開では、シミュレーション、RPG、アクションなど、さまざまなジャンルへと展開し、ブランド力を高めていく。フリップ画面のタイトルはその一例だ。
 コラボレーション展開は、今期も積極的に進めていくという。大型コラボとしては、『妖怪三国志』、アーケード版『ディシディア ファイナルファンタジー』を予定、鋭意開発中だ。またコラボは国内に留まらず、海外でも展開。欧米ではパッケージゲームを中心に準備中で、アジアではオンラインゲームやブラウザ・スマホゲームをメインとして、すでに効果が上がりつつあるという。
 タイアップ展開では、アニメ、コミック、映画といったメディアミックスを推進。加えて飲食やアパレル、玩具など、異業種の有力企業やさまざまな地方の団体などとも、タイアップを進めていく。業種や業界を超えたタイアップで、既存のファンのみならず、より多くの層にIPをアピールしていく考えだ。
 グローバル展開については、『ゼルダ無双』が全世界で出荷数100万本を突破したことや、『デッドオアアライブ5 ラスト ラウンド』が欧米で人気なことなどに触れ、欧米での展開をさらに強化していく方針を示した。いっぽうアジアでの展開は順調に拡大中で、今後も積極的にタイトル展開を進めていくとのことだ。

●今年は『三國志』30周年事業も展開

▲30周年で施策は目白押し。『三國志』ファンは要注目だ。

 同社の代表的なタイトル『三國志』シリーズが登場したのが、1985年。今年は30周年となり、それを記念する事業計画も発表された。ちなみに2年前の2013年は、『信長の野望』シリーズ30周年で、記念事業として各種コラボやタイアップを行って盛り上げた結果、シリーズ最新作『信長の野望 -創造-』が前作の1・5倍の販売本数を達成するという成果を挙げている。
 『三國志』30周年事業は、詳細は調整中とのことで、その一部が紹介された。核となるのは、シリーズ最新作。また『妖怪三国志』や『三國志曹操伝 Online(仮)』も、30周年記念作品となる。スマホでは『三國志レギオン』を開発中で、ほかにも未発表の新作を予定しているという。「30周年にふさわしい、魅力的なタイトルを多くリリースする予定です」(襟川氏)。
 関連商品では、歴代タイトル全集をリリースするほか、各メディアとのタイアップなど、さまざまな施策を計画中。『信長の野望』30周年の成功をさらに上回るべく、全社一丸となって盛り上げていく方針だ。
 なお同社では、以上のような経営戦略に伴い、各種コラボやライセンスの推進、およびリレーションをさらに強化すべく、事業推進本部を新設したとのこと。より効率的・効果的にIPの創造と展開を進め、国内外での事業拡大を図っていくという。

●デジタルビジネスの強化も大きなテーマ

 襟川氏は続けて、成長性と収益性の実現に向けてのビジョンを語った。筆頭に挙げたポイントは、デジタルビジネスの強化だ。たとえば『デッドオアアライブ5 ラスト ラウンド』は、パッケージに加えてフリー・トゥ・プレイ版も提供しているが、そのダウンロード数は300万を突破。これに伴いコンテンツ売上も好調で、継続的な収益を実現している。
 同社のソフト全体の売上に対し、オンラインやモバイルの比率も年々増加しており、前期は28.9%を占めた。こうした状況を受け、デジタルビジネスを強化し、さらなる成長を図っていく方針だ。
 その中心を担うのは、スマホなどのオンライン・モバイル事業。同社では今後も効果的なイベント施策やマルチプラットフォーム展開で収益性を確保し、さらにスマホアプリの大ヒットを狙っていくという。また“my GAMECITY”のオープンプラットフォーム化も重要な課題だ。現在、自社・他社含めて合計23タイトルを提供しており、コンテンツ追加やサービス拡充によって、会員は70万人を突破した。今後も多くのタイトルを導入するほか、積極的な販促施策につとめ、よりいっそうの拡大を目指す。
 今期に向けた経営方針の発表は、以上で終了となり、決算説明会は一段落。ここでインターバルとして、主要タイトルのプロモーションビデオがスクリーンで紹介された。

▲成長性と収益性の実現に向けて、さまざまな施策を展開予定だ。

▲プロモーションビデオでは、主要タイトルの見所が披露された。

●興味深い質問が飛び交った質疑応答

◆『ゼルダ無双』は海外で高い評価を得たとのことですが、それはゲームシステムが認められたと受け止めていますか?
襟川氏 有名な『ゼルダ』というIPを通じて、『無双』のゲームシステムを楽しんでいただいた海外のファンが増えたということで、今後もとても楽しみにしています。いままで、海外での『無双』システムの評価というのは、それほど芳しいものではありませんでした。今回の『ゼルダ無双』では、AIの機能を強化して、いかにも戦場で活躍しているようにプレイヤーが実感できるようになっており、そこが欧米のゲームファンの方に認めていただけたと思いますし、嬉しく感じています。今後もAIを強化して、リアリティー、臨場感ある戦闘を、もっと高度化していきたいと考えています。

◆『信長の野望201X』と『三國志レギオン』は、タイトル発表からリリースまで、そうとう時間がかかっている印象です。その背景にはなにがあるのでしょう?
襟川氏 この2タイトルは早くから発表しながら、なかなか完成に至っていないというのが実情です。ただ『信長の野望201X』は、ようやく完成に近づいてきたという感触で、近々リリースできるのではと思います。『三國志レギオン』は、もう少しかかりそうです。なぜ遅れているかという点ですが、社内でのゲーム評価の部分、品質の向上に時間をかけています。私も社員に「スマホで大ヒットを作ろう」と呼びかけていますので、その期待に応える形で、開発部隊も評価する部隊も真剣に取り組んでおり、結果として遅れているという状況になっています。

◆社長として、現在の会社の課題、目標、対応策などについて、どうお考えですか?
襟川氏 技術的にはいままでの延長線上で、他社よりも技術力で優位性を持つことが大事です。昔は歴史シミュレーションのコーエーでしたが、いまはアクションゲームのコーエーになりましたので、アクションでTeam NINJAやωフォースが培ったノウハウを、もっと磨き上げていって、他社が追いつかないといったレベルにしたいとはいつも考えています。もうひとつは、スマホでのビッグヒットというのが、声をかけて3年目ですがなかなか実現しなくて……。中ヒットはあり、収益性は取れているのでそれはそれでいいのですが、それを上回るものを。他社さんはどんどん実現してますので、そこはどうしてもやりたいというのは、テーマとして追いかけてます。
 あと、私の年齢的な面ですね。現在64歳ですので、経営層を育成して、つぎの世代にバトンタッチしていくことも重要だと思っています。成功経験のあるプロデューサーを、どんどん役員にしていって、開発系の会社としてはどこにも負けない陣営にしたいと思います。

◆開発のキャパシティとして、1年でどれくらいのコラボタイトルを製作できそうな見込みでしょうか?
襟川氏 おおまかな概算ですけど、1年に作れる大きなコラボレーションというのは、ふたつか3つくらいではないかなと考えています。IPの創造、新作タイトルを作ることも、どんどん進めなければなりませんので、コラボと新作のバランスを取りながら、開発計画を作っていければと思います。

◆“無双エンジン”を上回るようなエンジンを開発されているかと思いますが、その進捗状況を教えてください。
襟川氏 いまはまず、無双エンジンのブラッシュアップに専念しています。それから、『デシディア ファイナルファンタジー』で使っているエンジンは、『デッドオアアライブ』の、ふたりで対戦する格闘アクションのエンジンなのですが、これを6人で対戦できるように磨きをかけていて、これは世界で初めてのゲームエンジンとなります。私も大いに楽しみにしています。

◆海外展開については、御社と他社、どちらからのアプローチが多いのでしょうか?
襟川氏 どちらのケースもあります。ただ、とくにアジアでは、先方からのアプローチが非常に多いです。というのは、アジア各国で、コーエーという会社やタイトルの知名度が高いものですから、新作よりもIPホルダーのタイトルを利用して、手っ取り早くビジネスを展開しようというケースが多いんですね。

◆『ぐるぐるダンジョン のぶニャが』はリリース直後ですが、反応は?
襟川氏 ユーザーさんの反応は非常によく、ダウンロード状況などからも、手応えを感じています。今後もマーケティングとイベントなどで、サポートしていきたいと思っています。