「ゲームを作りたい!」と密かに思っているアナタにオススメしたい
ゲームを作ってみたい! という気持ちは、ゲームファンなら誰しも大なり小なり抱いたことがあるはず。そんな願望を手のひらサイズで満たしてくれるのが、この作品だ。厳密には、ステージエディット機能を備えたオーソドックスな2Dジャンプアクションゲーム……ということで、独自のゲームルールを設定したり、絵や音楽をいじれるわけではない。それでも、指ポチポチ操作で直感的に作り上げた自作ステージをネットワーク経由で瞬時にシェアできる気軽さは、ゲーム制作に対する“何だかたいへんそうなイメージ”を十分に払拭してくれるはずだ。
■あそぶ
主人公を左右移動+ジャンプで操作して、敵や障害物を避け、ときに利用して、ゴール(赤い旗)にたどり着けばクリアー。1ステージ完結型のため、累積されるプレイデータはない。パズル問題集の要領で、気楽に取り組もう。
■つくる
横21マス、縦15マスのフィールドに、あらゆるパーツを自在に配置できる。一括編集などの便利機能はなく、パーツひとつひとつを吟味しながら設定・配置していくわけだが、この過程がすでにパズルゲーム風だ。テストプレイでクリアーできたステージはサーバーへのアップが可能に。
■さがす
ほかのユーザーが作ったステージ(iOS版、Android版共通)は、専用サーバーにアップされているデータを取得すればすぐにプレイできる。本作の公式サイトには、開発スタッフが認定する良質ステージが紹介されているなど、“ステージ・セレクト”のサポート体制も充実しているのがうれしいところだ。
■きく
グローバルギア 荒巻みか氏インタビュー
『アクション作ろう。ピコピコメーカーPLUS』(以下『ピコピコメーカーPLUS』のディレクターである荒巻みか氏に、本作が生まれた経緯や開発裏話などを聞いてみた。
◆“カジュアルゲーム”に徹することで増えに増えたり300万ステージ
――まずは『ピコピコメーカーPLUS』が誕生した経緯を教えてください。
荒巻 最初にリリースしたのが昨年の9月27日で、『ピコピコメーカーPLUS』にアップデートしたのが11月14日になります。
――たった2ヵ月弱で、最初のバージョンが旧作扱いになってしまったんですね。
荒巻 アイテム追加のアップデートをすると、アップデート後に作ったステージを旧バージョンのユーザーが遊ぶことができないので、混乱が起きないよう別アプリとしてユーザーに認識してもらうため、タイトルを変更しました。
――自作ステージ情報を紹介している公式Twitterアカウント(@pikopikomaker)を眺めているだけで、相当数のユーザーがステージエディットを楽しんでいるのがわかります。
荒巻 現在、サーバーにアップされている自作ステージ数は約300万になりました(※2015年1月5日現在)。
――300万! そんなに!?
荒巻 はい。盛ってないですよ(笑)。当初は1アプリにつき100ステージ作成できるようスロットを用意していたのですが、ステージエディットが好きな方にとっては足りないみたいで、今年1月3日のアップデートで200に増量しました。
――アプリ自体をダウンロードしたユーザー数は……。
荒巻 iOS、Android版を合わせてちょうど80万です(※2015年1月5日現在)。いまもDLは毎日結構あるので、100万超えも見えてきました。弊社作品の中ではソーシャル要素が強いタイトルですので、根強く生き残ってくれると思っています。
――現状、自作ステージの作者情報がユーザー視点では確認できないなど、システム上の検索機能が弱い気がします。このようにした理由は?
荒巻 面識のないユーザーどうしの過度な干渉を避けるためです。本来あってしかるべきのステージ評価機能も、あえてつけていません。カジュアルゲームって、みんなヒマつぶしで気軽に遊びたいと思うんです。だから、過剰なソーシャル機能を導入しないなど、一線は超えないようにしています。同じ理由で、アップデートの頻度やタイミングにも神経を使っています。
◆6人が納得したアイデアが形になる
――本作はどういったきっかけで生まれたのでしょうか?
荒巻 私が『SUPER耳男BROS』というフリーゲーム(※2009年にゲームコニュニティサービス“モゲラ”にて公開されたFlashゲーム。製作者は太郎氏)にはまったとき、「1画面完結のジャンプアクションってスマホ向きじゃん!」と思って、企画がスタートしました。
――最初にゲームシステムありきだったんですね。ステージエディット機能は「ついでにつけたろうか」という感じで?
荒巻 それでもってステージ共有させたろっ! という自然な流れになりました(笑)。
――自作ステージの読み込みなどのネットワーク関連の操作の簡単さと、レスポンスのよさには驚きました。このあたりは、当初から十分に対策を立てられていたのですか?
荒巻 はい。かなりハイスペックなサーバーを用意したので、リリース当初の高トラフィック期間も乗り切ることができました。弊社はもともとゲーム開発ではなく、一般的なIT関係のエンジニアをしていたので、インフラまわりやサーバーの知識があったが功を奏した面もあります。
――『ピコピコメーカーPLUS』の開発メンバーは何人ですか?
荒巻 デザイナーの私とプログラマーの、ふたりです。
――そうなんですか!? これまでグローバルギアさんがリリースしてきたゲームは、すべておふたりで……。
荒巻 ゲーム制作スタッフは6人です。プログラマー・デザイナーのふたり一組でひとつのアプリを作るので、実質3ライン体制です。
――各チームは、それぞれ独立してゲーム開発されているのでしょうか。
荒巻 いいえ。定期的にスタッフ全員でアイディア出し大会をして、よいアイディアを3チームで取り合っています(笑)。チームは、各スタッフの得意、不得意や担当アプリの内容によってフレキシブルに入れ替えしています。
――アイデア出し大会、すごく楽しそうですね。
荒巻 けっこうピリピリした雰囲気になりますよ。ダメ出しとか、「おもしろくない!」とかの発言が多いので(笑)。よいアイディアの場合は、メンバー全員がゲーム構成をイメージしやすくて、みな自然と笑顔になりますね。
――『ピコピコメーカーPLUS』でステージ作成しているときにほのぼのと感じる、「ゲーム作りって楽しいな」という気持ちの根っこにあるものが、わかった気がします。
◆スピード感あるカジュアルゲーム作りを……
――アプリ内広告が入っているとはいえ、自社タイトルを無料でリリースし続けるのはかなりの英断と思います。
荒巻 無料だからこそですよ! 『ピコピコメーカーPLUS』も無料で気軽にできるからこそ、皆さんが盛り上がってくれたのだと思います。?そもそも有料のクオリティじゃございません(笑)。
――いえいえいえ! 「これが無料!?」って、いまでも不思議なくらいです。そういった姿勢はユーザーの立場からすると非常にありがたいことなのですが、他業務を並行させながらのゲーム制作となると、理想を実現し続けることにもある程度限界があるような気がするのですが……。
荒巻 アプリ制作にかける工数は長くないので、十分バランスはとれています。『ピコピコメーカーPLUS』に関していえばアプリ側の制作に2週間、サーバー側で1週間……という工数です。
――1ヵ月未満!
荒巻 カジュゲーはスピード勝負ですからね。どのデペロッパーさんも仰るんですけど、アプリがヒットするかどうかは、リリースしてみるまでわからない。だから、ひとつのアプリに時間をかけるよりかは、スピード&数勝負でいこうと。もちろん、雑に作るわけではありません。
――グローバルギアさんの開発体制・スタンスは、少人数でゲーム制作を志す人にとって参考になる部分が多いと思います。これからカジュアルゲームを作りたいと考えている皆さんにアドバイスをお願いします。
荒巻 まずはアイデアが命ですね。つねにネットを巡回してネタを探すことも大事だと思います。
――そうして得たアイデアを精査しあえる仲間も必要……と。
荒巻 そうです。6人いれば脳みそ6個──これが弊社のモットーです。あと、実際に制作する現場のスタッフが、作っていておもしろいと思えないと失敗します。楽しい雰囲気で、笑顔で作るのが一番ですね。
――ありがとうございます。では最後に、これから『ピコピコメーカーPLUS』をプレイしようと思っている読者に、ひとこと。
荒巻 きみの作ったステージをたくさんの人がプレイしてくれるよ! Let's ピコピコ!
【開発者が選んだ おすすめ自作ステージ】
◆初心者編
とても簡単ですが、こういったステージがあるからこそ、誰でも本作を楽しめます。(荒巻氏)
◆オモシロ編
リリース直後、ステージをランダム検索していたら、これが何度も出てきて笑いました。(荒巻氏)
◆全自動編
“計算された遠回り”を、完全オートで行っているさまを眺めているだけで楽しいですね。(荒巻氏)
◆激ムズ編
このステージを考えた人はかなりの鬼畜かも。ちなみに、私はまだクリアーしてません。(荒巻氏)
アクション作ろう。ピコピコメーカーPLUS
メーカー | GLOBAL GEAR, K.K. |
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対応機種 | iOSiPhone/iPod touch / AndroidAndroid |
発売日 | 配信中 |
価格 | 無料 |
ジャンル | コンストラクションツール |