まだゲームとしての深みはわからないが、コンセプトはバッチリ
本日よりアメリカのネバダ州ラスベガスで開幕した、PSプラットフォームのゲームイベント“PlayStation Experience”(PSX)。基調講演で発表されたばかりの新作『Drawn to Death』が、「プレアルファ段階」とことわりつつも、プレイアブル出展されていた。
本作は、オリジナルの『ゴッド・オブ・ウォー』や、ぶっ壊しレースゲーム『ツイステッドメタル』などを手掛けたDavid Jaffe氏の新スタジオによるマルチプレイ対戦型TPS。
その特徴は、「アメリカの男子高校生がノートに落書きしたような」、痛カッコいい世界やキャラクター。チェーンソー持った殺人バニー! ちょっとグラムロック入ったデーモン! 中指立てたモヒカンパンクファイター! ロボットバンパイア! 本人は「超カッコよくね?」と思って描いてるけど、隣の奴に半笑いで発見されようものなら「な、なんでもねぇよ! いやー学校ダルいわー」と焦って隠すんだろう、アメリカン中二病的キャラクターたちが、落書き調の世界で所狭しと暴れまわる。
もちろん世界には単眼の怪物の死体があったり、クトゥルフっぽい何かがのたくってたり、血を吐き出す真実の口風のオブジェがあったりする。何を言っているのかわからない人は、とりあえず隙間があればスカルを描いたり、無闇にファ○クと書いたり、デスメタルっぽい書体の発明に余念がなかったり、アルファベットのAがあればアナーキーマークに、フォーラムの名前を作る時はIやlを1に、Eは3に置き換えずにはいられない、めんどくさい自意識の人種がどこかにいるんだとご理解ください。AxCxは最高だぜ、バンド名がな! ほっといてくれ!
ノートの世界の話なので、アイテムをゲットして能力を発動すると、「創造主こと俺」の手が登場して他プレイヤーを鉛筆でぶっ刺したり、エナジードリンクをぶっかけて回復したりもする。
それだけじゃない。(編注:平均的アメリカン価値観ではダサいイメージの)ドッジボールが「逆にドッジボール選んじゃうのよくね?」と必殺技になっていたりもするし、システムメッセージは激安なフォントで(ヘルベチカなんて高尚なものは知らん!)、倒したり倒されたりした時は、場末のインターネットフォーラムで見掛ける煽りGIFっぽい画像まで表示される。そういうセンスで貫かれたゲームだ。そして、そういう層が好んだ『ツイステッドメタル』を作ったJaffe氏が率いているだけに、その斜に構えた部分がダサくはならないバランス具合が完璧である。
ゲームとしては、キャラ固有のアクションや必殺技、マップでアイテムを拾うことで発動するバカギミックの数々をうまく使いこなして戦う……のはわかるのだが、今回はフリーフォーオールのみということもあって、ただチャカチャカとハイテンポに戦っているだけで、まだ深みはあんまりない感じ。
その代わりと言っちゃあなんだが、開発陣のリサーチが非常に熱心。試遊したプレイヤーはブースの端に集められ、それぞれ意見を求められていた。時折、Jaffe氏本人も立ち寄って、自らファンを直接捕まえて感想を聞き出していたので、決してそういうポーズではなく、本気でこの場をフィードバックを得る機会として考えているのが伺えた。今後の開発がどう進んでいくのか、続報を期待して待ちたい。