ジャンルは違えども……。
前夜のゲーム賞“The Game Awards”の興奮がさめやらぬ中、アメリカのネバダ州ラスベガスで、プレイステーションブランドのゲームイベント“PlayStation Experience”(PSX)が開幕した。
開催前日となる現地時間12月5日には、メディア向けの体験会が行われ、ひと足先に何本かゲームをプレイしてきたので、その模様をお伝えしよう。
本稿では、TPS『The Order: 1886(オーダー: 1886)』とアドベンチャーゲーム『Until Dawn(アンティル ドーン) -惨劇の山荘-』についてお届けする。いずれもプレイステーション4向けのタイトルなのだが、その表現力を活かした仕組みがちょっと似ている部分があるのだ。
数秒して気付いた「これもしかして俺の操作待ち?」
まずはTPS『The Order: 1886(オーダー: 1886)』のデモリポートから。PSX版デモでは、本編の第5章にあたるミッションが40分ほどプレイできた。飛行船に潜入し、反乱勢力が紛れ込んでいるのを発見し、戦闘に至るという内容で、The Game Awardsで公開されたトレイラーはこの章のダイジェスト版だ。
ゲームとしては基本的にカバーリングありのTPSで、5章では前半が衛兵が歩きまわる中をステルスキルで倒していくステルスステージ、後半はカバーリングで障害物に隠れながらのドンパチシーンがメイン。これだけ聞くと、“現実とは別の進化をした架空のビクトリア時代”という設定は面白いものの、ゲームとしてはフツーに思うかもしれない。
だがここからがミソ。本作、メインのアクション部分と、カットシーンやミニゲームとの繋ぎが見事なのである。例えばこの章のオープニング、トレイラーでも出ている、ロープで飛行船の側面を蹴って降りていくシーンは、キャラクターに焦点を合わせてちょっとボケが出ていたり、カメラアングルもきっちりしているが、これ実はプレイヤーが操作している画面。アナログスティックでロープを伝ったり、ボタンを押して船体を蹴ったりしている。
要するに、前世代ならプリレンダーのムービーシーンでやるような、映画的な映像表現を、メインのプレイ部分からそのままリアルタイムカットシーンとしてサラッと繋いでいるのだ。これが自然で、最初はキャラが動いてないのを数秒眺めてから「あ、もしかして操作待ち?」と気付いたほど。もちろん、コックピット制圧時のQTEシーンや、電源ハックのミニゲームなどが出てくる場所でも、カメラを大きく切り替えず、「あ、カメラが寄ったなぁ」と思ったらもう遷移してるという具合だ。この「繋がってる感」は、カットシーンでひと休みにならず、自然に緊張感が持続して面白い。
シーンの隙間なく迫り来る殺人鬼!
そしてお次はホラーアドベンチャー『Until Dawn(アンティル ドーン) -惨劇の山荘-』。こちらは、バスタオル姿の女性が、突如出現した殺人鬼に追われ、逃げ回らなくてはならなくなるというシーンがプレイできた(こちらもThe Game Award版トレイラーはダイジェスト)。
プレイヤーは各局面で、「壺を投げつける or 走って逃げる」、「走って先に逃げる or ベッドの下に隠れる」といった選択肢を選び、ゲームはその選択の結果へと話が展開していく。これ要は、話の構造自体は往年の2Dアドベンチャーで「ナゲル ツボ」とか「2.ベッドニ カクレル」とか選んでるのと同じ!
そういった意味ではやっていることは古典的なのだが、『BEYOND: Two Souls』のようにハリウッドの俳優の演技のキャプチャーをやり、進化したグラフィックで結構シームレスにリアルタイムでシーンを繋げていくので、こちらもひと休み感ナシ。
というわけで、両作とも、リアルタイム処理の表現力が上がったことで、没入感が途切れずにプレイ可能なシーンとバリバリ演出したシーンが融合しながら繋がっていくという、まさに次世代ならではの体験ができた。『Until Dawn』はもともとPS3向けに発表されていたが、PS4向けに方向転換したのは大正解なんじゃないだろうか?
単に両作品の話だけでなく、こういった描写技法が広まっていくと面白そうだな、っていうか『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』もこんな感じのことするのかな、と夢が広がったプレス体験会だった(執筆時点ではゲームプレイ映像が出ていないのでわからず)。