ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍している、各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナーの第17回は、グリー。

●“ファミキャリ!会社探訪”第17回はグリー!

 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍している、各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがいます。第17回で取り上げるのは、グリー。
 今年で設立10年を迎えたグリー。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の“GREE”を運営しているグリーは、モバイル事業の一大プラットフォーマーであり、デベロッパーだが、2015年度はネイティブゲームへと大きく舵を切るという。今回は、そのグリーで、グラフィックのスペシャリストとして活躍しているJ.Kuninobu氏に話を聞いた。


●公務員志望から一念発起してゲーム業界へ

▲グリー株式会社
Japan Game事業本部 Art部 Webプロダクトデザイングループ
シニアアーティスト
J.Kuninobu氏

--まずは、ゲーム業界を志望した経緯から教えてください。
Kuninobu氏(以下、Kuninobu) じつは、高校3年の夏までは公務員志望だったんですよ。そもそも公務員志望だったのは、親が自営業だったので、安定した仕事に就こうと思っていたからでした。反面、おもしろい仕事をしてみたいとも思っていました。親がデザイン関係の仕事をしていて、それよりさらにおもしろい仕事となると“ゲーム”だなと思い、それからゲーム関連の専門学校に入ることにしました。
--親からは反対されたのでは?
Kuninobu かなり不安がられましたね(笑)。とくに母とはもめましたが、父は応援してくれました。専門学校では、グラフィック系の学科に入り、その後現在に至っています。
--専門学校卒業後は?
Kuninobu 専門学校在学時に、視察で来校されていたメーカーさんから声をかけていただき、インターンを経て入社しました。そのメーカーでは、パチンコ・パチスロなどの遊戯機の部署に配属されまして、3Dモデルや2Dデザイナーとして仕事をしていました。5年ほどして「やはりゲームの仕事がしたい」と会社に申し出たところ、ゲームの部署に異動させてもらい、3DモデルやUI(ユーザーインターフェース)のデザインなどの仕事をしていました。その後、いまから3年ほど前ですが、すでにソーシャルが目に見えてグイグイと伸びている世の中になっていました。そのメーカーにもソーシャルの部署はあったのですが、「どうせやるなら“本場”がいいに決まっている。学ぶことも多いはずだ」と考え、転職するに至りました。
--グリーに入ってからは、どのようなお仕事を?
Kuninobu 最初は『聖戦ケルベロス』のアシスタントをやらせていただきました。また、最初から大阪支社への転勤を希望していて、大阪では約1年ほど、Web用のゲームの開発をしました。その後、「こっち(東京)に戻ってこい」と声をかけていただいたのですが、そのときにいくつか選択肢があって、そのなかで「アートディレクターをやらないか」というお話をいただき、やらせていただくことになりました。
--実際に入社して、社内の雰囲気などはどうですか?
Kuninobu すごいスピードで大きくなってきた会社なので、いろいろな意味でやんちゃな人が多いのかと思ったのですが、ギクシャクしたりとか、そういった雰囲気はありませんでした。むしろ会話がしやすくて、横のつながりに加えて、縦のつながりもあります。もちろん、上司に敬語は使いますが(笑)、やりたいことがあれば、すぐ直談判できるので、壁のない組織だなと思いました。

●“勉強会”でスキルアップ、“スペシャリストタイトル”制度は励みに

--他社にない強みや魅力はどういった部分だとお考えですか?
Kuninobu それなりに大きい規模の会社ですので、開発に没頭している状態でも、自然と業界の情報が日々入ってきます。その情報は鮮度もあり、量も豊富です。デベロッパーであり、プラットフォーマーでもありますから、対応策や展望について、労力を使わずに選択肢があるのは強みですし、それができる体力があるというのは、他社にはない強みだと思います。
--それゆえに苦労したり、よかったことはありますか?
Kuninobu 規模の大小とは少し違うかもしれませんが、プラットフォーマーというのは“胴元”です。そこから出るソフトがよくないのは許されないことで、相当きびしいルールに基づいて開発を行っています。自由なデザイナー身分としては窮屈に感じたこともあります。マニュアルを読むだけでも、1週間くらいかかるんじゃないかと思ったり(笑)。しかし、間違わないように、しっかりと管理されるべきものだと思います。
--逆によかったと感じる部分は?
Kuninobu プラットフォーマーであるがゆえに、自分たちの作ったものが、より多くのユーザーさんの目に届きやすいというのは、作り手としては感無量です。自分たちがいいものを作るのは当たり前ですが、それにプラスして会社側が後押しをしてくれるというのは、心強いことこのうえないです。
--“勉強会”というものがあるそうですね。
Kuninobu “勉強会”というのは、簡単なものから難しい内容までさまざまで、参加型もあれば、講義するスタイルのものまで、主催者によって内容がぜんぜん違います。定期的に開催していて、自分の知らないジャンルについて、情報のインプットができる環境ができています。また、1年くらい前に“スペシャリストタイトル”という制度ができました。これはスタッフの評価システムのひとつで、技術を極めることで評価してくれる“肩書”のようなものですね。クリエイターとしてはありがたいし、やる気が出るシステムでもあります。“スペシャリストタイトル”にも段階があるので、さらに上を目指すという励みにもなります。
--シニアアーティストのKuninobuさんは、“勉強会”で講演されたりもするわけですね?
Kuninobu これまでに2、3回、講演しました。クリエイター間で共有すると便利な“Tips”のようなものを講演で発表しました。「これは知らんやろ?」みたいな感じで(笑)。
--ほかには何かありますか?
Kuninobu “Mock-1・グランプリ”というコンテストのようなものを、定期的に行っています。コンテストというと少しおおげさかもしれませんが、仕事の合間に作ったものでも、見込みがあるものについては、実際にプロジェクトを立ち上げます。もともとは“4時間でゲームを作る”という、エンジニアの有志が集まってやっていた“勉強会”があって、だんだんとみんなを巻き込んでプロジェクトにまでなったという例があったんです。ですから、この“勉強会”がチャンスにつながっているのです。実際に新卒2年目のスタッフがプロデューサーになっているプロジェクトもあります。やる気があるヤツは、どんどん前へ行け、と。
--それは個人で参加ですか? チームですか?
Kuninobu どちらでもいいです。参加するスタッフを集めるのも、その人の能力ですから。実際に隣の部署で動いているプロジェクトがありますが、本当に楽しそうですよ(笑)。自分たちが考えたアイデアですから、やりがいにもつながりますよね。そういう意味では、幸せな環境だと思いますよ。

●いよいよネイティブゲームへ舵を切るグリー

--御社もそうですが、ここのところ、ブラウザゲームからネイティブゲームへと方向転換するメーカーさんが多いですよね。それによって、開発環境などや考えかたは変わりましたか?
Kuninobu 私の場合は、これから本格的にネイティブの仕事が増えていくことになると思います。まずは目の前の仕事をきっちりこなしていく状態です。
--会社として、ネイティブへのシフトに伴い、スタッフを増やしたり、会社の規模がさらに大きくなったりするのですか?
Kuninobu いえ、会社の規模を大きくするというより、徐々にシフトしていくというイメージですね。もちろん、Webのゲームも作りますし、運営も続けていく必要があります。外部の開発会社さんや個人のクリエイターさんと組むことで、効率よく運営できるところは少人数でも回せるようにしていくので、会社の規模をすぐにドーンと大きくしていくわけではないです。
--いちデザイナーとして、御社での環境はどのようなものだと思っていますか?
Kuninobu 仕事のしやすさでいうと、組織のフレキシブルさや横のつながりがあると思います。また、転職する前はきっちりとした分業制の中で仕事をしていたので、自分がゲームのどこをブラッシュアップしているのか、わからなくなることがありました。自分が開発に貢献している感覚がとても薄かったのです。それに比べると、開発の規模も小さいけど、自分の仕事がそのプロダクトに与える影響も大きいです。さらに、自分の部署だけでなく、さまざまなセクションをまたがないと仕事になりません。僕のように、あれもこれもやりたいという人間にとっては、なんでもやらせてくれるすばらしい体制だと思っています。
--個人的な今後の夢はありますか?
Kuninobu いまは、リリースしたばかりのプロジェクトなどで、しっかり会社に貢献したいですね。それから、実力を高めて、ネイティブでもしっかりと世に刺さるものを作っていきたいと思います。アートを捨てることはしたくないので、この領域でがんばっていきたいと思います。
--転職を考えている方にメッセージをお願いします。
Kuninobu まずは怖がらずに何でもやってみるということですね。時代も変わってきて、転職しづらいということもないですし、スマホなどの発展に伴い、ソーシャルでは、かつてファミコンからプレイステーション……と発展していったような、ゲームの進化の過程をもう一度体験できる滅多にない機会だと思います。それに翻弄されるのも、またおもしろいのではないでしょうか。人脈も増えますし、やれるうちにやっておくのがいいと思います。


●グリーってどんな会社?

 代表取締役社長の田中良和氏が26歳だった2003年に、新しいアイデアをサービスで生み出すため、GREEのサービスを独力で開始。翌2004年2月のサービス公開後、利用者の急増に伴い、運営母体としてグリーが設立された。2005年から、携帯電話向けのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を始め、プラットフォーマーとして、またソフトメーカーとして、着実に成長を続けている。
 また、この9月より組織改編を実施し、従来の“GREE Platform”を含むWebゲームも継続しつつ、ネイティブゲームを主軸にした事業構造への転換を鮮明に打ち出し、さらなる飛躍を目指している。
<会社概要>
グリー株式会社
●代表取締役社長:田中 良和 ●設立年月日:2004年12月7日 
●従業員数:1882名(グループ全体・2014年6月末現在)
●事業内容:ソーシャルゲーム事業、ソーシャルメディア事業、プラットフォーム事業、広告事業、ライセンス&マーチャンダイジング事業、ベンチャーキャピタル事業

▲受付から一歩入ると、清潔感溢れる待ち合わせスペースが待っている。近未来的な雰囲気と落ち着いた雰囲気が来客を迎えてくれる。
『ロストランドタクティクス』(iOS/Android)
▲最大10人でプレイ可能な、多人数オンラインバトル。仲間との連携がカギ!