あのホイス・グレイシーも参戦
2014年9月18日~21日(18日、19日はビジネスデイ)、千葉・幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ 2014。その開催初日となる9月18日、エレクトロニック・アーツ(以下EA)ブースでは、同社から11月20日に発売される『EA SPORTS UFC』のイベントが行われた。ここではその模様と『EA SPORTS UFC』のクリエイティブ・ディレクター、ブライアン・ヘイズ氏のインタビューをお送りする。
世界最大の総合格闘技イベント“UFC”を題材にしたファイティングゲーム。現役のファイターが多数登場するのはもちろん、あのブルース・リーが参戦することでも話題を集めた。そして今回のイベントで、UFCが生んだ伝説的選手、ホイス・グレイシーも登場することが発表された。
■現役UFCファイターと運営のキーマンがゲストで登場!
イベントにはブライアン・ヘイズ氏、『EA SPORTS UFC』のリードシネマティックアニメーターのセイゴ・タナカ氏ら開発スタッフに加えて、現役のUFCバンタム級ファイター、ユライア・フェイバー選手、UFCの世界展開において重要な役割を担っている、ジョー・カーUFC国際戦略次号総括本部長がゲストとして登場。『EA SPORTS UFC』の選手、関係者の立場から見た魅力や、9月20日にさいたまスーパーアリーナで行なわれる“UFC Fight Night 52”の展望などが語られた。
トークのあとは目前に控えたUFC Fight Night 52のメインイベントの結果を占ってみよう、ということで、開発スタッフのふたりが、マーク・ハントとロイ・ネルソンを使って『EA SPORTS UFC』で対戦。壮絶な殴り合いのなかに適切な間合い取り、特定の部位を狙って効果的にダメージを与えていくといった試合展開をセイゴ・タナカ氏が制し、ロイ・ネルソンが勝利した。
続いて行われたのはユライア・フェイバー選手とジョー・カー氏のエキシビジョンマッチ。ユライア・フェイバー選手は自分自身を、ジョー・カー氏は『EA SPORTS UFC』最大の目玉選手、ブルース・リーを選択。1R目はプロの格闘家ならではの回避のセンスが光ったユライア・フェイバー氏が試合を優位に進めるが、2R目にブルース・リーの強烈な連打が決まって形成が逆転。ジョー・カー氏が逆転勝利を収めた。
試合終了後にはUFCが生んだ総合格闘技界のレジェンド、ホイス・グレイシーが『EA SPORTS UFC』に参戦することが明らかになるという新情報も明かされ、盛況のうちにイベントは終了した。
EA SPORTS IGNITEエンジンで選手の表情も格段に真価
――まずはイベントお疲れ様でした。楽しく見させていただきました。
ブライアン 私も楽しかったです(笑)。
――『EA SPORTS UFC』はPS4とXbox ONEでリリース、しかも前世代のPS3やXbox 360では発売されないという、現状では珍しい完全に新世代機に特化したゲームですが、そこで苦労した点はありますか?
ブライアン ハードがどうというよりも、まずは私たちが初めてUFCのゲームを手がけたという所に難しさがありました。それといまおっしゃったように、次世代のゲームハードだけを使えるというのも初めてでしたし、今まで私たちが使ったことのないような技術も初めて取り入れましたし、いろいろな“初めて”にまつわる難しさはありました。
――逆にいいところはありましたか?
ブライアン 世界中のスポーツの中でもいま急成長しているUFCをゲームにできるというおもしろさがありました。そこに我々の開発チームがものすごく熱く関わることができまして、ネクストジェネレーションのハードが持つパワーがすべていい面に現れて、作り込みができたと思います。
――エンジンも新しく作られたんですよね? EA SPORTS IGNITEエンジン(選手の表情アニメーションが格段に進化している)。
ブライアン はい。次世代のハードのために作ったといっていい新しい技術です。
――殴られたときの表情とか打撃音が、これまでにないくらい痛そうですもんね(笑)。
ブライアン (笑)。実際にやられたらもっと痛いですけどね(ブライアン氏はボクシング経験者)。
――キャッチーな要素として目を引くのはやはりブルース・リーの参戦ですが、ゲームに登場させるにあたって乗り越えないといけないハードルはありましたか?
'ブライアン'' じつは、それはとても簡単だったんですよ。『EA SPORTS UFC』にブルース・リーを参戦させたいという話を持って行ったとき、シャノン・リーさんをはじめブルース・リーエンタープライズ全体が非常に乗ってくださって、とにかくスムーズにいきました。我々開発チームだけではなく、世界中の人がブルース・リーファンだといっても過言ではないと思うのですけども、その素晴らしいキャラクターを作る、再現するためにものすごくがんばりました。(ブルース・リーをゲームに登場させるということに対して)簡単だったとか難しかったとかは言うべきではなくて。(ブルース・リーの動きを再現するのは)まったくイージーではないのですけれど、開発チームがすごい情熱を持ってやったことが、どんなに困難なことでも乗り越えられたのだと思います。
――今日見させていただいて1番衝撃だったのが、ブルース・リーがグラウンドに移行してパウンドや関節技を狙ったり、またはそういった攻撃をくらうことだったのですが、すごい絵面ですよね。世界初といってもいいぐらいで。
ブライアン そうですね。映画のシーンでもなければ、過去のドキュメンタリーな映像でも残っていませんから。それがまさに我々のゲームでしか体験できないことだと思うんですよね。ブルース・リーはブルース・リーだけれども、ほかのファイターと同じ一員として出てきます。
――ゲーム的な能力でいうと、ジークンドーということで打撃は強いけど、寝技や関節技はそこそこ……みたいなイメージでしょうか?
ブライアン もちろんブルース・リーですから、レスリング出身のファイターと比べれば投げや関節技は得意ではないですが、まったくそういった土俵で戦えないというわけではないです。映像には残っていませんが、生前のブルース・リーはそういう(グラウンドの攻防)とレニーングは受けているので、立ち技しかやっていないということはないんですよ。だから戦えないことはないですね。
――公開されているトレーラーだと、女性のファイターも映っていますが、これもUFCを題材にしたゲームとしては初の試みですよね?
ブライアン 私たちがこのゲームを開発しはじめたころには、UFCに女性のファイターはいませんでした。女性なしで開発をスタートしたのに、1年ぐらい経ったらUFCファイターが現れたんだ(UFCに女性ファイターの部門ができたのは2013年ごろ)。これはしまった! たいへんだと(笑)。
――日本の格闘ゲームのような、フィクション性の高いゲームだと、女性キャラクターは体力が低いかわりにスピードが速い、といった個性づけがされていることが多いのですが、『EA SPORTS UFC』はどうでしょうか?
ブライアン 性別が男性なのか、女性なのかではなく、選手の体型、階級によって得意な分野は変わります。ヘビー級だったら攻撃の威力が高いし、女性に限らず体重の軽い選手は力はあまり強くない代わりに動きは素早くなっています。
――やはりその辺はUFCが題材ということもあってリアルに作っているということですね?
ブライアン その通りです。
――今回参戦させたファイターで好きな選手、再現に満足している選手は誰になりますか?
ブライアン あまりにも好きな選手が多すぎて答えるのが難しいね(笑)。ライト級だとデメトリアス・ジョンソン、ニック・ディアス、重い方の階級だとジュニオール・ドス・サントス だね。オンライン対戦のルールや気分によって使う選手を変えているよ。
――日本人選手は何人ぐらい参戦していますか?
ブライアン ロースター上にはふたりですね。水垣偉弥とダレン・ウエノヤマ。
――なるほど。今後日本人選手に限らず使用できるファイターは増えていく予定でしょうか?
ブライアン もちろん! 北米をはじめ、すでに発売されている地域では2回ほどバージョンアップされていまして、1回のバージョンアップごとに3人加わっていますので、日本版が発売する時点で最低でも6人は新しい選手が使えるようになるはずです。もちろんそれで終わりではなくて、選手追加を含めたアップデートは続けていくつもりです。
――それは楽しみです。今日はありがとうございました。最後に日本のUFCファン、ゲーマーにひとことお願いします。
ブライアン 1番大事なのはリリースが11月20日だっていうことですけど(笑)。日本版は本作が北米で発売されてからいろいろな要素がアップデートされた“最高の”『EA SPORTS UFC』になっていると思うので、それを日本のかたにお届けできることをうれしく思っています。