SCE WWS吉田修平氏らがこれからのゲームとユーザーについて語る【gamescom 2014】

 ソニー・コンピュータエンタテインメントヨーロッパ(SCEE)は、gamescom 2014の前日となる2014年8月12日(現地時間。日本時間は13日)、“gamescom 2014 PlayStation Press Conference”を開催。その後、同会場にて吉田修平氏を始めとしたゲーム開発関係者たちによるディスカッションおよびQ&Aセッションを行った。

●ユーザーの楽しみかたの変化。ユーザー自体がコンテンツとなる時代へ

 ソニー・コンピュータエンタテインメントヨーロッパ(SCEE)は、gamescom 2014の前日となる2014年8月12日(現地時間。日本時間は13日)、“gamescom 2014 PlayStation Press Conference”を開催。その後、同会場にて吉田修平氏を始めとしたゲーム開発関係者たちによるディスカッションおよびQ&Aセッションを行った。

 パネリストとして登壇したのは、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオのプレジデントを務める吉田修平氏と、先の“gamescom 2014 PlayStation Press Conference”で新作『The Tomorrow Children』を発表したキュー・ゲームスのDylan Cuthbert氏、同イベントで『WiLD』を発表したWild Sheep StudioのMichael Ancel氏、『Tearaway Unfolded』を手掛けるMedia MoleculeのRex Crowle氏、そして『DRIVECLUB』のディレクターを務めるEvolution StudiosのPaul Rustchynsky氏の5名。

▲ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオの吉田修平プレジデント。

▲キュー・ゲームスのDylan Cuthbert氏。

▲Wild Sheep StudioのMichael Ancel氏。

 ディスカッションのトピックとなったのは、次世代のゲーマー像についてや、UGC(User Generated Contentの略。ユーザーによって制作されたコンテンツのこと)がゲームをどう変えるか、そしてゲーム開発者がコミュニティーとどうつながりを持っていくかなど、昨今のゲームビジネス、ゲームカルチャーが語られるときに欠かせないキーワードばかり。吉田氏は、挨拶代わりに「今日の目標は、(昨年寝ていたため)起きていること」とジョークを飛ばして会場を笑わせたが、数時間前に行われた華々しい新作のショーの雰囲気とは違う、真剣な空気が漂っていた。

▲Media MoleculeのRex Crowle氏。

▲Evolution StudiosのPaul Rustchynsky氏。

 まずは、次世代のゲーマー像について。「自分で好きなようにゲームの形を作りたいというのがいまある方向。プレイヤーが自分を表現し、ほかの人たちに見せたいというところにフォーカスしている。」とコメントしたのはRustchynsky氏。同様にCrowle氏も、「ゲームプレイによって自己表現する方向に進むだろう。」と続けた。

 話題はそのままUGCへと移る。『DRIVECLUB』では、自分でコースを作りたい、クルマを自分なりに変えたいというリクエストが多いという。Rustchynsky氏は、カスタマイズの内容をYouTubeなどで共有したいと考えており、こうした動きは大きな変化だとコメントした。Ancel氏は、オンラインでほかのプレイヤーとプレイすること自体がUGCのひとつだと語る。ゲームが親切になりすぎて、プレイヤーはむしろそれに退屈を感じてしまう。つぎにどうなるかわからないというゲームプレイを、ほかの誰かと作り上げることもUGCだろうということだ。これを受け吉田氏は、ほかのプレイヤーの楽しみかたを見て喜ぶことがすでにコンテンツであると語った。この考えかたからすれば、ゲーム自体にカスタマイズの機能がなかったとしても、すべてのゲームはUGCを持つことができるということになるだろう。

 続いて、ゲームとコミュニティーについて。コミュニティーは自然に形成されるものだが、それを開発者としてどう引き込んでいくかについて語られた。Crowle氏は、コミュニティーときちんとつながりを持ち、可能は範囲でゲームを見せることが大事だとコメント。Rustchynsky氏の「コミュニティーには正直でないといけない。」という発言も印象的だった。Cuthbert氏は、コミュニティーマネージャーという新しい仕事に注目。つねにコミュニティーと会話し、“このゲームは自分たちのゲーム”だと思ってもらうことが重要だろうと語った。吉田氏によると、以前はひとつのゲームが終わったらつぎのゲームへ移ったが、いまはひとつのゲームのコミュニティーを維持していく必要があるという。この発言の背景には、やはりソーシャルメディアの影響力があるのだろう。というのも、吉田氏は家族旅行というとハワイやグアムへ行くことが多いそうなのだが、前回は九州を選んだという。その理由というのが、娘さんのお気に入りのYouTuberが九州在住の同年代の女子らしく、そこに実際に行きたいと言ったからなのだとか。

 少し話題が変わって、トロフィーなどのアチーブメントがいまも機能しているかについて。フレンドと比較したいという気持ちはスポーツと同じで、一定の意味はあるとAncel氏やRustchynsky氏は語る。しかし、単にスコアを競い合うだけではなく、どんな方法でそのスコアを達成できたのかなど、ゲームプレイのアイデアを共有する方向に進んでほしいとAncel氏はつけ加えた。

●来場者の質問に回答

 ディスカッションがひと段落した後は、来場者を交えたQ&Aに。興味深かった質疑応答を紹介しよう。

Q.いまインディゲームに革命が起きているようだが、これはツール(ゲームエンジン)が与えられたせいか? それとも、1980年代のリバイバルなのか?

A.プレイヤーはテクノロジーより新鮮な経験を求めている。『Minecraft』は一見ピクセルが大きくてつまらなく見えたが、ゲームをプレイしてみるとパワフルでとても新鮮だった。これは、すべてのゲーマーに新鮮なものを提供したいい例だと思う(Ancel氏)

Q.インディーゲームの定義とは?

A.独立的な考えかたをもっていること(Crowle氏) 自分の心の中にあることだ。自分がインディーだと思えばそうなる。ほかから決めつけられたくない(Cuthbert氏)

Q.暴力的なゲームが増え、どれを見てもKILL、KILL、KILLだが……

A.暴力は、ゲームの最終的な目的ではない。また、単純に善悪の問題でもない。ゲーム体験のプロセスの一部だと思っている。でも、自分はやりたくないので、暴力からは離れるようにしている(Ancel氏) 暴力の表現は、デベロッパーが自信を持ってやっているので、それが主題だとは思わない(Rustchynsky氏) 自分はかわいいペーパークラフト・ゲームを作っているが、暴力的なゲームはけっこう好きだ。『Hotline Miami』はひたすら撃ち殺すのが気持ちがよく、リラックスできる(会場は大爆笑)。その後、いったい自分はどうしたのかと、そこからまたペーパークラフト・ゲーム作りに戻る(Crowle氏)

 まるでGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)の講演でも聞いているような気持ちになったが、UGCやユーザーコミュニティー、インディーゲームは、今後のゲーム体験を大きく占う部分であり、ゲーム開発者がどのように考え、どのような作品を打ち出してくるのかは、ユーザー自身も知っておいて損はしない。そして、E3やgamescomのような世界中のクリエーターが集まる場所でこうしたディスカッションを行うのは、とても意義があることだ。日本で行われる東京ゲームショウでも、このような企画をぜひ!