チームワークと個人技はどっちが重要? 長年の議論が決着!?
2014年8月9日、オンラインFPS『スペシャルフォース2』の最強チームを決める大会“SUPER LEAGUE 3rd Season GRAND FINAL”が開催された。
2014年6月にオンラインで実施された“SUPER LEAGUE 3rd Season”の上位4チームが、e-sports専門施設“e-sports SQUARE AKIHABARA”に集結。オンライン大会“HST ROCCAT(4~5月に開催)”の覇者・Quibbleが総合力の高さを発揮し、頂点に上り詰めた。
グッドプレイが連発する白熱の試合展開
■準決勝第1試合 SurvivalFlag VS Quibble
SurvivalFlagが得意とする“デザートキャンプ”での一戦から決勝トーナメントは幕を開けた。デザートキャンプは本作の定番マップのひとつ。Quibbleも苦手というわけでないだろうが、浮き足立った動きが見られ、SurvivalFlagが一歩リードする展開に。
だが、初戦を終えたQuibbleは徐々に落ち着きを取り戻し始めた。自分たちのペースで手堅く戦うQuibbleに隙はなく、“バイオ研究所”と“衛星”を2連続で制して決勝戦へと駒を進めた。
解説のYamatoN氏は「SurvivalFlagはオフライン大会に慣れていない印象がありました。有利な状況なのにリスクを犯す動きをしてラウンドを落とすことが多かった。大舞台でも平常心を保つ精神力が重要だと思います」と述べた。
■準決勝第2試合 Rylaiz VS Regia
Rylaizは多くの大会で台風の目として猛威を振るうチームだ。力で相手をねじ伏せる原始的な戦いかたを得意としており、YamatoN氏によると「Rylaizの戦術は彼らにしかできないから参考にならない」らしい。まさに、エイムモンスター。
第1セットのデザートキャンプは、真正面からの殴り合いを見ているようだった。FPSの試合は不定期にこう着状態に陥るものだが、そんな常識はおかまいなくスピーディーに展開していく。
4ラウンド目でRylaizの強さを象徴する場面があった。2対1の人数状況でひとりを倒したRyz_DarkMioN選手は、フラッシュボムで視界を奪われてしまう。が、そのまま前進して最後のひとりも仕留めてしまったのだ。フラッシュボムが炸裂する直前の状況から、敵の位置に当たりをつけていたのだろう。この異常なエイム力にどよめく会場。勢いはそのままに、第1セットはRylaizが勝利をもぎ取った。
第2セットのマップは衛星。Regiaメンバーの脳内には第1セットのイメージがちらついていたのか、慎重になってしまっていた。一方のRylaizは動きに迷いがなく、順調にポイントを重ねていく。
ここで勢いに飲まれるRegiaではなかった。勝利を確信したRylaizのラッシュを読み、絶妙なメンバー配置で受けきったのだ。そのままエースの[1]_MonsterElNas選手がオールキルを達成。チームワークが個人技に勝った瞬間である。
勝敗の行方は第3セットのバイオ研究所の結果に委ねられた。流れはRegiaに傾いているが、それでもRylaizのエイム力は圧倒的だった。1対1どころか人数不利の状況でも撃ち勝ち、Rylaizが勝利を手にした。
■3位決定戦 SurvivalFlag VS Regia
最初のラウンドから[1]_MonsterElNas選手による忍者のようなBackAttack(相手に気づかれないように接近し、背後から近接攻撃で倒すこと)が飛び出し、3位決定戦は歓声とともに始まった。ややRegia優勢で試合が進むものの、撃ち合いで負ける場面がちらほら見られ、勝敗の行方は第3セットの衛星へ。
ここにきてSurvivalFlagの勢いが爆発した。5連続でラウンドを取得して前半を折り返したのだ。あとひとつで試合を落とすギリギリの場面でRegiaの集中力が復活。混戦状態でも落ち着いてキルを重ね、ラウンドを取り返していく。1プレイごとに歓声が上がる、手に汗握る戦いがくり広げられた。Regiaの勢いをSurvivalFlagが9ラウンド目で食い止め、3位の座を手に入れた。
決勝戦 Quibble VS Rylaiz
FPSをプレイするうえでもっとも重要なのは“チームワーク”か“個人技”か。しばしば議論に挙がる永遠のテーマだ。それを体現するふたつのチームが、決勝戦で火花を散らした。
決勝戦の第1セットはデザートキャンプで行われた。1ラウンド目はたったの22秒でRylaizがゲット。4ラウンド目まではRylaizが圧倒的な突破力を見せ付けた。序盤はRylaizのスピードに翻弄されて守り切れないQuibbleだったが、体勢を立て直してからはやはり強い。細やかな連携で不利な撃ち合いを回避し、連続でラウンドを取り返していく。
5対5で迎えた11ラウンド目は、開始早々Rylaizの絶妙なグレネードが炸裂! Quibbleは立て続けに3人も戦闘不能になり、まずはRylaizが一歩リード。
第2セットのバイオ研究所では、取って取られてのシーソーゲームがくり広げられた。この辺からQuibbleが撃ち勝つ場面が目立つようになってきた。Rylaizの動きに順応し始めているのだろう。ここではQuibbleが地力の強さを見せつけ、優勝の行方は第3マップの“工事現場”へ。
この日は全試合が最終セットまでもつれ込んだため、すでに開始から6時間以上が経過している。疲れが溜まっているからだろうか、Rylaizは精細を欠く動きが増えてきたようにも思える。エイムはその日の調子や集中力に左右されるため、個人技重視のチームは強さにムラが出やすい(Rylaizにもその傾向はあり、トーナメント序盤で姿を消すことも)。本作に限らず、これはFPS全般に共通して言えることである。
連携重視のチームは、ミスしてもメンバーがカバーできるように動くため、ピンチでも大きく崩れないのが強みだ。最終的に、つねに安定感のある戦いかたを見せたQuibbleが最強の座を勝ち取った。エイムモンスター討伐に必要なのはチームワークだったのだ。
YamatoN氏に感想を聞くと、「ビッグプレイはたくさんありましたけど、派手なプレイをしていないQuibbleが優勝したのが興味深いですね。FPSは個人技だけでは勝ちきれないと証明してくれました」と語った。チームワークと個人技はどちらも欠けてはいけないものだが、今回はバランスのいいQuibbleに軍配が上がった。
もちろん、Rylaizはチームワークが悪いわけではない。これまでは個人技だけで勝てたから連携に頼る必要がなかったのだ。今回の惜敗がきっかけで連携を磨くようになったら、付け入る隙のない最強チームが誕生する可能性もある。
『スペシャルフォース2』はまだ若いゲームだ。プレイヤースキルも戦略も、進化の余地はたくさん残されている。試合後、Quibbleメンバーは「今後、国際大会も開催されるかもしれないので、そういう舞台に合わせて調整してきたい」と語っていた。今後も熱い戦いを見せてくれることに期待したい。
今後のアップデート展開の発表
試合後、久東運営プロデューサーから今後のアップデート予定が公開された。実装時期未定のコンテンツは多いものの、なかには全世界初公開の情報も。