4期連続の増益で好調をキープ!

 2014年5月1日に平成26年3月期の決算短信を発表したコーエーテクモホールディングスが、本日2014年5月7日、東証アローズにて決算説明会を開催。平成26年3月期の説明と、今期(平成27年3月期)の経営戦略を明らかにした。

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▲コーエーテクモホールディングス専務執行役員CFO・浅野健二郎氏

 説明会には、コーエーテクモホールディングス代表取締役社長・襟川陽一氏と、同社専務執行役員CFO・浅野健二郎氏が出席。まず浅野氏から、平成26年3月期(2014年3月期)の決算概要と平成27年3月期(2015年3月期)の計画概要が説明された。
 2014年3月期の連結決算概要は、375億7600万円(前年比29億3700万円増/8.5%増)、営業利益は71億4000万円(同9億3200万円増/15.0%増)となり、4期連続の増益と過去最高の売上高を記録。“IPの創造と展開”に積極的に取り組み、新規IPであるプレイステーション Vita、PSP用ソフト『討鬼伝』の立ち上げに成功。さらに『信長の野望』など、同社が長年培ってきたIPを多面的に展開することで、収益性の向上を実現し、年初の計画数値を達成した。さらに、金融市場関係の好転もあり、経常利益は107億2800万円(同18億9300万円増/21.4%増)当期純利益が69億3600万円(同12億8000万円増/22.6%増)となった。経常利益は、経営統合後初めて100億円の大台を超え、売上高をはじめとした各利益項目も経営統合後の最高額を記録した。

<2014年3月期事業別売上高>
ゲームソフト事業部門:254億4100万円(営業利益:60億1700万円)
オンライン・モバイル事業部門:64億2300万円(営業利益:10億7300万円)
メディア・ライツ事業:20億7100万円(営業利益:2億200万円)
SP(スロット&パチンコ)事業:22億7800万円(営業利益:9億2300万円)
アミューズメント施設運営事業:17億9600万円(営業利益:9000万円)
その他事業:4億4800万円(営業利益:7600万円)

 ゲームソフト事業では、スマートフォンタイトルのサービス延期による先行費用の発生や一部のチャレンジタイトルが計画目標に達しなかったものの、新規IPの『討鬼伝』やシリーズタイトルの『信長の野望・創造』や『戦国無双4』が好調に推移し、さらにDLCの売り上げも10億円も突破したことから、ゲームソフト事業としては過去最高の売り上げを記録。オンライン・モバイル事業では、主力タイトルが引き続き堅調に推移し、同社の“my GAMECITY”をはじめとしたマルチプラットフォーム展開やアジア向けの展開を進めた結果、前年比より増収増益を達成している。また、メディア・ライツ事業は、2014年に10周年を迎える『金色のコルダ』を中心としたゲームソフト、イベント、グッズ販売が好調に推移。こちらも前年比増収増益を記録し、前年の赤字からの黒字転換を達成した。
 地域別売上高では、海外が前年比0.3%増の16.7%で62億6500万円となった。とくにアジア地域において、プレイステーション4やプレイステーション Vita向けソフトが好調とのこと。また、ゲームソフトの販売本数は、国内では3.8%増の373万本ながら、全体では前年とほぼ同じ652.5万本(0.9%減)となっている。
 ゲームソフト事業でのゲームソフト販売本数は、全世界で626万本(対前年度4.1%減)を見込む。パッケージソフトの販売本数は減少だが、スマートフォンタイトルやDLCなどで、ゲームソフト事業全体をフォローできるとしている。
<2015年3月期の計画について>
売上高:380億円(対前年度42億4000万円増/1.1%増)
営業利益:80億円(同8億6000万円増/12.0%増)
経常利益:110億円(同2億7200万円増/2.5%増)
当期純利益:70億円(同6400万円/0.9%増)

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▲4期連続となる増益と、経営統合後最大となる売上高を達成。
▲どの分野もほぼ好調・堅調な数字を示している。
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▲34万本を販売した『戦国無双4』をはじめ、多くの有力IPを効果的に展開。

“さらなるIPの創造と展開”を経営方針に

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▲コーエーテクモホールディングス代表取締役社長・襟川陽一氏

 続いては、同社代表取締役社長・襟川陽一氏から、2014年度の総括と今期の経営戦略が発表された。ちなみに、今年はゲーム関連企業としてはもっとも早い決算発表となったということで、「何にせよ、一番乗りはうれしいものです。今後も適正な決算概要をいち早く投資家の皆様にお届けするよう、努めてまいります」と語った。
 2014年度は4期連続の増益、経営統合以来過去最高の売上・経常利益を達成したが、その要因として、『信長の野望』が30周年を迎えたことを受けての、経営方針として掲げた“IPの創造と展開”を上げた。『信長の野望』30周年記念事業の成功や、新規IP『討鬼伝』の成功、メディア・ライツ事業の黒字化、SP事業もオリジナルタイトルが好調など、各事業において、“IPの創造と展開”の成果が上がったことを実感したそうだ。
 2015年3月期は、経営方針として“さらなるIPの創造と展開”を上げ、前期は『信長の野望』をはじめ、『金色のコルダ』や『ウイニングポスト』など、同社IPの“周年事業”を数多く展開し、グループ会社であるガストも設立20周年を迎えた記念事業を行っている。2015年は『戦国無双』が10周年、『ネオロマンス』シリーズが20周年を迎えるということで、同社の有力IPを多方面で展開し、相互的な発展を目指す。また、『討鬼伝』のように、新たなIPの立ち上げも積極的に行うとのことだ。
 『討鬼伝』については、発表されたばかりの続編『討鬼伝 極』が注目を集め、また、iOS/Android用『クイズバトル討鬼伝』も同時に発表されており、パッケージとスマートフォン双方でのさらなるシリーズの広がりを図っている。また、アニメでの放映によって、これまでゲームユーザー向けだった同社IPを、アニメを通じて、より広い層に知ってもらい、メジャーなIPへの育成を図る。ゲームとアニメの相乗効果で、事業規模拡大につなげ、今後もアニメを活用したビジネス展開が、アニメ以外にもさまざまなタイアップやコラボレーションを行う。

 今期の重点方針は3つ。まずは“スマートフォンゲームで大ヒットを狙う”。同社のオンライン・モバイル事業では、すでに“100万人の~”シリーズをはじめ、長い期間、安定した収益を上げているタイトル群が揃っているが、個々のタイトルごとの売り上げ規模は、「市場環境から考えると、まだまだ満足するレベルには達していない」(襟川氏)。スマートフォンゲームの開発に注力しており、『戦国無双シュート』や『大航海時代V』、未発表タイトルなどのなかから大ヒットタイトルを生み出し、業績のさらなるアップを見込んでいる。
 ふたつ目は、“新規大型コラボレーションの推進と成功”。すでに発表されているWii U用ソフト『ゼルダ無双』が2014年夏発売を予定しており、また、下半期にも新たな大型コラボレーションを用意しているとのことだ。
 3つ目は“長期的な成長性と収益性の実現”。各事業において、“さらなるIPの創造と展開”のもと、中長期的な取り組みを強化。ナンバリングタイトルで収益性をコントロールしつつ、新規IPの創造にも積極的に取り組むことで、将来の事業拡大を見据える。その好例として『討鬼伝』を上げ、新規IPとして“創造”された同作が、今期はナンバリングとして展開。成長性と収益性の両方を兼ね備えたタイトルとなっている。
 グローバルな取り組みとしては、今後も積極的にスマートフォンゲーム・ブラウザゲームをアジア市場へと展開するとしている。欧米市場に向けては、今後欧米発のコラボレーションを実現し、より大きな成長を目指す。
 成長性と収益性の実現に向けては、引き続きナンバリングタイトルやコラボレーションタイトルを展開するほか、プレイステーション4・Xbox Oneといった新ハードへも対応する。ダウンロードビジネスの拡充については、Free to Playの『DEAD OR ALIVE 5 Ultimate』が100万ダウンロードを突破し、非常に好調。ダウンロードコンテンツ全般でも、年間10億円規模となっており、今後も力を入れていく。また、同社プラットフォーム“my GAMECITY”は会員数50万人を突破し、今後もさらなるコンテンツの充実を図る。

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▲2015年3月期も、右肩上がりの売上高を想定。
▲『討鬼伝』は、さらなる有力IPに発展する年となるか!?
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▲2015年の重点方針(1)/スマートフォンで大ヒットゲーム
▲2015年の重点方針(2)/新型大型コラボ。未発表の、下半期のコラボにも期待したい。
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▲2015年の重点方針(3)/単なるナンバリングのリリースだけではなく、新規IPの開発にも注力。
▲ナンバリング、コラボ、F2P……さまざまな仕掛けが予定されているようだ。
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 最後に質疑応答に応じた両氏。まず、『YAIBA NINJA GAIDEN』の苦戦の要因を聞かれ、とくに海外でのプレイステーション4、Xbox Oneという新ハードのシフトが想像以上に急速に進んだことを上げた。ただし、「ゲーム自体も欧米のユーザーに受け入れられなかった。開発も自省し、つぎのタイトルに活かす」(襟川氏)と分析した。また、中国市場については、まだどのように対応するかなど、プラットフォーマーと打ち合わせはこれからとのこと。ただ、「中国の歴史をテーマにしたIPを多数持っているので、Xbox Oneやプレイステーション4でも、自分たちの知名度の有利さをうまく活用したゲームビジネスを展開したい」(襟川氏)とした。