彩音NEWアルバム『Luminous Flux』は元気を届ける1枚に――彩音インタビュー

10周年の年に3年ぶり4枚目のアルバムをリリース

　2014年で10周年を迎えるアーティスト・彩音。数々のアニメソング、ゲームソングを歌ってきた彼女が、2014年1月29日に、3年ぶりのNEWアルバムをリリースした。タイトルは『Luminous Flux』。同アルバムを引っ提げてのライブツアーも決定している彼女の囲み取材が行われた。そこで語られた内容をお届けする。

――4thアルバムが決定した際のお気持ちはいかがでしたか？
彩音　私自身3年ぶりのアルバムになるので、また皆さんのもとにこういった形で歌を届けることができるのだと、すごくうれしい気持ちになりました。

――今回は新曲が2曲収録されています。まずは『ultimate arrow』を聴いたときの感想はいかがでしたか？
彩音　いちばん最初にこの楽曲を聴かせていただいたときは、ものすごく疾走感があってロック色の強い、激しい曲だなという印象を受けました。それと同時に、早くレコーディングしたいなという気持ちになりましたね。レコーディングのときには、ライブで皆さんの前で歌っている私の姿をイメージして歌わせていただきました。

――レコーディング時のエピソードがあれば。
彩音　ミヤハラさんという方に作詞作曲をしていただいたのですが、今回が初めてだったので、しっかりとコミュニケーションを取りながらレコーディングをさせていただきました。前回のアルバムのときに、私のお兄ちゃん“アヤトお兄ちゃん”という設定で男装をさせていただいたんですけど、そのアヤトお兄ちゃんをイメージして歌いました。カッコいい曲なので、お兄ちゃんが歌っているような力強さや男らしさを表現しています。

――歌詞の中で共感しているところや気に入っているところはありますか？
彩音　お姫様が悪者に捕まってしまって、それを勇敢な戦士が助けに行くというストーリーに合わせて曲が作られているとミヤハラさんから聞いています。1番で言うとサビの頭に“世界の果て　解き放て”とか“すべてをかけて取り戻せ”というフレーズがすごく印象的でした。

――もうひとつの新曲『The place in your dream』、こちらは彩音さんが作詞をされているそうですね。
彩音　作詞と、作曲もさせていただきました。昨年の7月から初めてラジオのパーソナリティーを担当させていただくことが決まって、そのラジオ番組のテーマソングを作りたいとスタッフさんに相談したんです。そうしたら「じゃあ作りましょう」と、とてもありがたいお言葉をいただいて。せっかく作るならファンの皆さんとひとつになれるような曲がいいなと思って、ラジオのリスナーさんや私を支えてくれているファンの皆さんから、テーマ曲をイメージする言葉やアイデアを伺って、それを元に私なりに解釈して作詞作曲しました。

――キーワードをラジオで募集をしたということですか？
彩音　そうなんです。でも、私の中ではラジオのテーマソングではあるんですが、応援歌的な要素があったり、ライブの最後に歌えるような温かさが残る曲が作りたいなと思っていました。いちばん最後のところに、皆さんとコール&レスポンスができるようにコーラスを多めに作ってあるんですけど、CDの音源では私が数種類の声を重ねていて、男の子の声や小さな女の子の声だったり、ちょっと音程が外れている子だったりを収録しています。そういった部分も気にして聴いてくれたらうれしいですね。

――すごく元気になりそうなメッセージが込められていますよね。
彩音　じつはこの曲には裏テーマがあるんです。私はプロ野球が好きで、ダイヤモンドという歌詞が出てきたり、ところどころ野球を連想するような歌詞があったりします。一塁が10代の人、二塁が20代の人だったり、一塁が明日で二塁が明後日のような未来に置き換えたときに、もし一塁に出塁できなくても明日はホームランが打てるかもしれないという前向きなワードを盛り込んだり、今日がピンチでも、もしかしたら1時間後にラッキーなことが起こるかもしれないという気持ちを込めて、すべてのがんばっている人たちへエールを贈るような気持ちで書かせていただきました。

――先ほどラジオのリスナーの方からアイデアやイメージを募集して作詞した仰られていましたが、苦労することなくできあがったのでしょうか？
彩音　ラジオでは、好きなワードでかまわないので、皆さんの思い描くこういう曲を制作してほしいという思いを送ってください、と比較的窓口を大きくして募集をしたんです。結果、本当に広い意見が来ましたね（笑）。たとえば“曲のあいだに哀愁のあるメロディーを入れてほしい”とか、キーワードを募集していたのですが文章で送ってくださったりとか、私をイメージして書いてみたので読んでくださいというようなお手紙形式で送ってくださった方もいました。その中から、この言葉はすごくいい言葉だなと感じたものを、そのままではなく私なりの言葉に書き換えて表現しています。そのときに募集した文章などは、ラジオで読ませてもらったりしたのですが、それがきっかけで、ファンの皆さんのあいだで「みんなは彩音ちゃんに対してそういうイメージを抱いていたんだね」というコミュニケーションの場にもできて、私自身とてもうれしかったですね。

――いろいろな言葉が送られてきたと思いますが、ドキッとした言葉はありましたか？
彩音　私の中では前向きな曲にしたいというイメージがあったんですけど、「どっぷりと切ないのがいいです！」という要望が来たときに、「どうしよう……」と思いましたね。ラジオのオープニング曲を作るという企画だったので、キラキラした曲にしたいなという思いが8割方決まっていたので、逆に「そうきたかー」と思いました。今回はラジオのテーマソングを作ろうという企画でしたが、私自身まだまだ制作意欲がありますので、またつぎのアルバムでチャンスがあったときに、その方の意見を参考にさせていただきたいなと思っています。

――レコーディング時の裏話などはありますか？
彩音　じつは、レコーディングのときにちょうど日本シリーズが開催されていて、ジャイアンツと楽天が試合をしていたんです。私がレコーディングをしているときはジャイアンツが負けていたんですけど、レコーディングが終わったときにはジャイアンツが勝っていたんですよ！　これは、きっとレコーディング中に歌で応援できたということですね（笑）。

――ほかにも初めてCD音源化される曲として『punitive justice～千年の錯綜～』も収録されます。こちらはどのような曲なのでしょうか？
彩音　壮大なバラード曲になっていて、ゲームのテーマに合わせて歌詞を私が書かせていただきました。作品内のもうひとつのエンディングテーマということで、作品をプレイしたあとで聴ける曲なんです。ワンコーラスだけのものは作品の公式サイトなどで聴けると思いますが、フルコーラスのものはアルバムが初収録になるので、私自身も満を持して収録できたことをうれしく思っています。Twitterやブログやお手紙を通じてファンの皆さんから、「この曲はすごく自分にとって勇気をもらえた曲なので、ぜひアルバムをリリースする際には収録して欲しい」という声をたくさんいただきました。ですので、このアルバムで隅々まで聴いてもらえたらいいなと思います。

――今回のアルバムは、曲順にも彩音さんのこだわりが反映されているそうですね。
彩音　そうなんです。昨年初めて科学アドベンチャーシリーズの『シュタインズ・ゲート』に『フェノグラム』というオープニング曲で関わらせていただいて、それから作品を離れたところでもいろいろな縁が広がっていて、私自身も思い入れのある曲になったんです。だから、1曲目はどうしても『フェノグラム』にしたいという気持ちが強くありました。そこからライブ感をイメージした駆け抜けるような前半戦というイメージで1～3曲目を構成しています。最後は『いつもこの場所で』という『劇場版シュタインズ・ゲート 負荷領域のデジャヴ』のエンディングテーマになっている曲です。この曲も大切な曲になっていて、映画館で自分の曲が聴けるということがうれしくて、そういった気持ちもありつつ、まだ聴いたことがない方もいるかもということで最後にしました。序盤は勢いのある曲から、中盤後半にかけてミドルテンポな壮大な曲、そこから最後は泣いていただいてもいいのかなと思って選んでみました。

――“DVD付盤”につくDVDには、彩音さんのバースデーライブの模様が収録されているんですよね。
彩音　去年、初めてのバースデーライブを開催させていただいたのですが、私のワンマンライブがこうやってパッケージ化されるのは初めてなんです。DVDはダイジェストですが、ライブでやったほとんどの曲を収録しています。アルバム曲は15曲なんですが、ライブ映像DVDには16曲が収録されるというかなりボリュームのある内容になっているので、ぜひこちらもチェックしていただけたらなと思っています。

――DVDに過去のPVが2本ついてくるそうですが、改めて見直してみてどうでしたか？
彩音　今回は、『Crest of Knights』と『フェノグラム』の2曲のPVが収録されているのですが、『Crest of Knights』は大好きな奥井雅美さんに作詞を担当していただいた曲になっています。PVは朝から夜にかけて泊りがけで撮影をしたんですよ。大草原での撮影は虫がたくさんいる中で撮影したのですが、そういう環境での撮影はいままでなかったな、と思いましたね。『フェノグラム』は『シュタインズ・ゲート』をイメージして撮影を行った曲です。違う世界線にいる私をイメージしたくて、ショートカットのウィッグを被って撮影したんですけど、そのときに皆さん私に気づいてくれなくて……。社長の志倉（千代丸）さんですら気づいてくれないという、そこまでの変貌ぶりでした（笑）。私は10年間ずっと髪が長いままで活動してきて、髪型が大きく変わったのは、先ほど話した企画もので男装をしたときと『フェノグラム』の2回だけだったので、ファンの皆さんを驚かすことができて「よっしゃ！」と思いました（笑）。あと、通常版と限定版でジャケットが異なるんですが、ブックレットの中の写真にもこだわっていて、ちょっと違う配置になっていたりしています。そちらのブックレットでも私のいろんな表情を見ていただけたらなと思っています。

――今回の衣装はいままでのカッコいい雰囲気と違って、女の子らしいふんわりとした雰囲気ですね。
彩音　昨年は5枚のシングルを出させていただきジャケットに私が出ているものもあるんですが、ウエスト部分を露出していたり、ミニスカートだったり、作品に沿った力強いロック色の強い衣装が多かったんです。ですので、今回は書き下ろし曲の『The place in your dream』のイメージに合わせて、少しやわらかい感じで衣装を作っていただきました。

――お姫様のようですね。
彩音　ありがとうございます（笑）。

――アルバムのタイトルにはどんな意味があるのでしょう？
彩音　『Luminous Flux』というタイトルは、“光の輪”という意味になります。今回、ジャケットの写真にデザイナーさんが光の輪を描いてくださったんです。これがよくよく見ると、少し『ドラゴンボール』の元気玉に似てるなって（笑）。デザイナーさんはそんなことは意識せずに作ったと思いますが、光の輪とともに元気なパワーを皆さんにお届けできたらいいなと思っています。

――『GO→Love&Peace』と『パーフェクト☆クエスト』は彩音さんが作詞をされた曲ということですが、『GO→Love&Peace』は『超次元ゲイム ネプテューヌ』のエンディング曲として使われていましたが、テレビアニメでも使われた曲ですよね。
彩音　そうなんです。『超次元ゲイム ネプテューヌ』のテレビアニメ第3話と第4話に使っていただきました。私は“愛と平和”という気持ちをつねに持っていて、作品の力も借りてその思いを歌詞に込めた曲です。『パーフェクト☆クエスト』という曲も同じく『超次元ゲイム ネプテューヌ』という作品のエンディング曲になっています。作品中でアイドルを育成するという場面があって、キャラクターたちを私に照らし合わせて、私がステージに立っているときの景色を振り返りながら歌詞を書きました。私はいつも、ライブを通じてファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと考えています。だから歌詞にも「ありがとう」という言葉を使っていたり、家に帰ってからでもライブのことを思い出してもらえるような要素をこの曲で出せたらいいなと思いました。ペンライトを使ったパフォーマンスができるような「ラララ」という歌詞が出てきたり、「ありがとう」というところでお辞儀をする振り付けがあったり、ステージをイメージして歌詞を書いた曲ですね。この曲もバースデーライブで歌わせてもらったので、限定版のバースデーライブ映像に収録されていますので、そちらも楽しんでもらえればうれしいです。

――さらに、ライブツアーも開催されるということで。“彩音LIVE TOUR 2014 ～Luminous Flux～”のチケットが現在好評発売中ですが、意気込みをお願いします。
彩音　2014年が私のデビュー10周年になるんですけど、こうした形でアルバムをリリースさせていただいて、さらにツアーも開催できするということで、すごくうれしくて、気合が入っています。ひさしぶりのZIZZさんバンドにサポートしていただき、ツアーを大阪と東京で開催します。ダンサーさんも登場するので、またアツい音を皆さんにお届けできたらなと思っています。先ほどの『パーフェクト☆クエスト』を始め、皆さんが参加できるライブにしたいなと思っています。アルバム曲の全15曲は歌うことが決まっているので、ぜひアルバムのほうで予習をしてきてもらって、いっしょに楽しんでもらいたいですね。定番曲も歌うことが決まっています。大阪と東京でセットリストも変えようかなと考えているので、ぜひ2ヵ所とも楽しんでもらいたいです。

――では最後にファンの皆さんに向けてひと言メッセージをお願いします。
彩音　今回10周年の年に3年ぶり4枚目のアルバム『Luminous Flux』をリリースすることが決まりました。今年1年まだまだ発表できていないものもありますが、たくさんのライブが決まっています。ロシアなどの海外ライブもありますので、これからも応援してくれたらなと思っています。10周年もよろしくお願いします！

■Luminous Flux
発売日：2014年1月29日発売
価格：【DVD付盤】3800円（税別）／【通常盤】3000円（税別）
発売元：5pb.
販売元：株式会社KADOKAWA メディアファクトリー
【収録内容（CD）】
01. フェノグラム
02. Fullmoon Rhapsody
03. 覚醒-Fractional Vision-
04. 幻術のクロスロード
05. Divine Beast
06. Crest of Knights
07. Red Rose Evangel Full Ver.
08. cry out
09. ultimate arrow
10. punitive justice～千年の錯綜～
11. GO→Love&Peace
12. かけがえのない思い　ずっと一緒に
13. パーフェクト☆クエスト
14. The place in your dream
15. いつもこの場所で

【収録内容（DVD）】
01. 彩音 Birthday Live -Digest Movie-
02. Music Clip「Crest of Knights」
03. Music Clip「フェノグラム」