【ファミキャリ!会社探訪(9)】スマホ向けRPG『サウザンドメモリーズ』が好調なアカツキを訪問!_08

“ファミキャリ!会社探訪”第9回はアカツキ

 ファミ通ドットコム内にオープンした、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。ゲーム業界での転職やキャリアアップを目指す人たちに向けた“ファミキャリ!”がゲームメーカーを訪問し、実際にお話をうかがう当コーナー。第9回は、アカツキ!
 2010年6月の起業から4年目を迎えた同社は、ソーシャルアプリやスマートフォン向けゲームなどで急成長を遂げており、2013年末にリリースしたiOS/Android向けゲーム『サウザンドメモリーズ』も好評だ。今回は、「ゲームの力を通じて世界を幸せにする」ことを目指している同社の代表取締役 CEO・塩田元規氏にお話をうかがった。


社名に“ゲームで世界を変える”という思いを込めて

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アカツキ
代表取締役 CEO
塩田 元規氏

--ゲーム業界を目指したきっかけから教えてください。
塩田元規氏(以下、塩田) じつは、もともとゲーム業界に入ろうと思っていたわけではなかったのです。子どものころからゲームは好きだったのですが、それよりも「世界を変える会社を作りたい」という目標がありました。20歳のころに考えていたのは、27歳で会社を起業し、35歳で一部上場の企業に……という人生設計でしたね。まずDeNAに入社したのですが、DeNAを選んだ理由は、まだ“モバゲータウン”がスタートした直後くらいで、モバイルで勝負したいという思いがあったからです。DeNAには「世界を変える」という意識に溢れた人が多く、時代の“ホットスポット”のような会社でした。それから、2年半後の27歳のときにアカツキを起業するに至りました(注:塩田氏は現在30歳)。
--DeNA入社後も、“27歳で起業”という目標はぶれずに?
塩田 カッコよくぶれずにと言っていますが、実際は偶然が重なったという感じですね(笑)。DeNAでは広告の仕事をしていたのですが、起業したアカツキではゲームで行くと決めていました。それは、自分がゲームが好きだったということもありますが、少人数のベンチャー企業でも、ゲームなら“世界を変える”ようなおもしろいものを作ることができると感じたからです。
--そのときからモバイルを意識していたのですか?
塩田 意識していました。タイミングもドンピシャでしたが、運もよかったのだと思います。DeNAに入社したときも、当時はまだガラケーがメインでしたが、グローバルに広がっていく可能性が明らかでしたからね。
--最初に27歳で起業すると考えたときに、“ゲーム業界”というのは意識していたのでしょうか?
塩田 そうですね。また、“アカツキ”という社名は以前から考えていたもので、日本語の“暁”から取っているのですが、我々の会社が誕生した後は、世界がよりよくなっている、劇的に変わっているという意味で付けました。ゲームにおいても、僕たちの作るゲームは、いままでにないものやおもしろいものを作りたいと思っています。また、よく社内でも言うのですが、いわゆる“ゲーミフィケーション”という考えかたを大事にしています。いまの一般的なゲームというのは、エンターテインメントとしてのゲームですが、ほかにもサービスとしてのゲーム、育児としてのゲームなどもあると思うのです。ですから、現在手がけているネイティブアプリのゲームはもちろん、そしてそのエンターテインメント以外のゲームも含め、幅広く捉えています。

スマホでの操作に特化した最新作『サウザンドメモリーズ』

--モバイル業界は1年先が予想しづらい部分もあると思うのですが?
塩田 先が見えているのはおもしろくないですし、逆にワクワクしています。現在のネイティブアプリのマーケットも、一気に拡大しましたよね。ただ、ネイティブという分野はまだまだこれからです。ブラウザゲームや家庭用ゲーム機の焼き直しでもない、ネイティブ独自のゲームが出てくるのはこれからですから、まだまだ広がっていくと思います。
--モバイル系の市場については、どのような印象を持っていますか?
塩田 「スマホのネイティブゲームをヒットさせるのは難しい」とよく言われるのですが、そうは思いません。自分たちがちゃんとおもしろいと思うものを作れば、ユーザーさんはついてきてくれます。いま出ているものに影響されずに、まったく違うところからアイデアを出して作っていくことが大事だと思います。それができれば、いいスタートが切れます。それにプラスされるのが運営力ですが、僕たちの場合は、ソーシャルゲームでの経験が活きていると感じています。
--では、御社の最新作となる『サウザンドメモリーズ』(iOS版は2013年11月、Android版は2013年12月にリリース)について教えてください。
塩田 開発期間は約10ヵ月ですが、まず「スマホで楽しいRPGを」という考えが根底にあって、たとえばコマンドを選んで攻撃するようなタイプのゲームは、スマホでは操作が面倒かなと考えていました。そこからタッチ操作が生まれました。
--開発中の手ごたえはどうでしたか?
塩田 もちろん、「ムチャ、おもしろい!」と思いましたよ(笑)。評価されるかどうかの自信があったわけではなかったのですが、自分たちがおもしろいと思えるものが作れたので、たとえハズレても仕方ないかな、と。リリース後にユーザーさんからのご要望もたくさんいただいたので、“神速”で対応しました(笑)。「おもしろい」というご意見も多かったので、素直にうれしかったですね。開発スタッフは10数人でしたが、最後のほうは総がかりで作業しました。

「本気で世界を変える!」と思える仲間を

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--現在の会社の規模はどれくらいですか?
塩田 パートナーなどのスタッフも全部含めると、60人くらいになります。究極の考えとしては、マネージメント部門はいらないと思っています。マネージメントという管理の部分は、ひとりひとりが自立して動くことができれば必要ありません。会社の規模を大きくするにしても、そういう層はなるべく減らしたいと思っています。ユーザーの顔を見ずに、上司の顔を見て仕事をしても意味がないですからね。
--他社にない強みはどんなところでしょうか?
塩田 淡々と仕事をする感じではなく、ファミリー的な雰囲気で人付き合いも多いので、合わない人は合わないでしょうね。本気で「世界を変える!」と思っていますし。さらに“爆速”を越える“神速”で走っている会社だと思いますよ。他社にない魅力という意味では、挑戦することと絶対にあきらめない姿勢。どうすればできるか、ということしか考えません。
--ゲーム業界志望者にメッセージをお願いします。
塩田 心構えとしては、“プロフェッショナルである”こと。さらに成長意欲があること。志望した会社には、言われたことをやるためだけに入社するわけではないはずです。何がやりたいのか、どういったものを作りたいのかを本気で考えてから、面接に行くべきだと思います。それは、自分自身を徹底的に知ることにつながっていくのではないでしょうか。弊社は、変わったクリエイターも大好きなので(笑)、クレイジーだけど愛のある方、お待ちしています。個人の責任も大きいですが、本気の人間にはおもしろいフィールドを用意できると思いますよ。口うるさい上司もあまりいないですし(笑)。
--では最後に、アカツキの将来の夢を教えてください。
塩田 短期的にはネイティブのゲームにフォーカスして、いままでにないもの、新しいものを「ネイティブのゲームはこういうものだ」と逆に提案したいです。それを日本だけではなく、グローバルに、とくにアジア圏に向けて発信していきたいですね。それにプラスして、エンターテイメント以外のゲーム、自分たちは“パワー・オブ・ゲーミング”と呼んでいますが、ゲームの力を使ったサービスを出して、「人の感情や行動に影響を与えるゲームはすごい」とアピールしたいですね。そういった新規ビジネスもやりながら、最終的にはアカツキのプロダクトが、すべての人のすべてのステージに、さまざまな形で寄り添っていてほしいと思っています。


アカツキってどんな会社?

 2010年6月、“世界に夜明けを!”というコンセプトのもと、マンションの一室からスタート。社名も、夜明けと同義の“暁”に由来する。同年10月に、『育てて☆マイガール』をmobageとGREE向けに配信。以降、ソーシャルゲームやアプリ、スマートフォンサービスの企画開発及び運営で急成長を遂げている。最新作は、iOS/Android用ゲーム『サウザンドメモリーズ』。
 スマートフォン市場の急速な拡大を受け、「人をワクワクさせ、感情を動かす力があるゲームの力を通じて、本気で世界を幸せにする」(塩田氏)という同社は、国内のみならず、今後はアジアやグローバル展開を積極的に進めていく予定だ。
<会社概要>
株式会社アカツキ
●共同創業者 代表取締役 CEO:塩田元規
 共同創業者 取締役 COO 香田哲朗
●設立年月日:2010年6月 ●従業員数:60名(2014年1月16日現在)
●事業内容:スマートフォンサービスの企画開発、ソーシャルアプリの企画開発

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▲入り口や会議室のあるフロアは観葉植物で溢れ、異国情緒も漂う。
▲オシャレな図書館にも見える開発室。右側の黒板には、「ゲームの力で世界を変える!」という文字も!
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▲『千メモ』の愛称で人気の『サウザンドメモリーズ』。画面上のちびキャラを、指でつなげてリンクさせて攻撃するという、スマートフォンに特化した操作性も特長だ。