CES会場で考える、Steam Machineはどの辺を狙うべきか【CES2014】

CES会場でSteam Machine関連のカンファレンスをことごとく逃した記者は考えた。「意外と値段高いみたいだけど、どういうのを買うのがいいんだ?」

●体験できなかったので展示を見てきました

 米時間の2014年1月7日にアメリカのネバダ州ラスベガスで開幕した家電ショーCES。
 というわけで「今年はSteam Machineとかあるから取材よろしく!」と派遣されてきた記者なんですが、大ポカをやらかしまして、開幕前に開催された関連カンファレンスをことごとく逃してしまい、途方に暮れていたわけです。

 おさらいしておくと、Steam Machineというのは、一種のValveのデジタル配信プラットフォーム“Steam”専用PCのこと。
 Linuxベースの専用OS“Steam OS”と、アナログスティックの代わりにデュアルタッチパッドを搭載した“Steam Controller”が特徴的で、依然コンソール(家庭用ゲーム機)の独壇場である、“リビングのテレビでのゲーム体験”に大々的に進出しようというもの。

 現状でその膨大なタイトルラインアップの中でLinux版があるゲームはそう多くないとはいえ、ユーザーが作成する独自コンテンツMODを“Steam Workshop”経由で簡単に導入できるとか、大メーカーによるAAAタイトル(開発費や規模が大きい大作)から、個人開発のインディーゲームまでバリエーション豊かなタイトルが、セールなども含めれば安価に手に入るというSteamの魅力はそのまま、コントローラー非対応ゲームもSteam Controllerがマウス&キーボード入力の代わりとなって、リビングのソファーでプレイできるといった辺りは、かなりオープンになってきた次世代コンソールと比較しても、独自の強みがある。

 昨夏に正式発表されて大きな話題となり、300人へマシンを配布するβテストもスタート。このプロトタイプはValve印のマシンですが、基本的にハードウェアとプラットフォーム事業が一体となっているコンソールのビジネスモデルと違い、Valve以外にもパートナー企業がSteam Machineを製造可能(MSX風)。そこで各社が発売するSteam Machineのプロトタイプが続々と公開されたわけです。

 で、話は冒頭。記者はカンファレンスを取材できてない。CES開幕ということでValveブースにいったら、各社のプロトタイプが置いてあるだけの、基本的にアポイント取ってある人向けの商談スペース。「ハ、ハンズオン(体験プレイ)はありませんかね」と聞いたら「GDC(サンフランシスコで春先に行われる開発者向けイベント)まで待ってね」と言われ半泣きに。

 というわけで触れなかったんですが、普段からチェックしている海外メディアから流れてくる情報を見ていると、ちょっと「アレ?」ということに気が付いた。意外と高い。

●ビジネスモデルの違いをすっかり忘れていた

 “Steam Machine 対 次世代コンソール”という構図が煽られていたせいか、無意識に「次世代コンソールが買えない人でもSteam Machineの安いモデルなら買えるんじゃないか」と思っていたんですが、そんなことはあんまりなかった。現状での価格予定を明かしているもので、安くて499ドル、高けりゃ最低構成でも1000ドル台後半から、上は数十万円コース。

 「これじゃゲーミングPCと変わんないじゃん!」って思ったんですが、冷静に考えてみれば当たり前の話。だってパーツはゲーミングPCだから。次世代コンソールかそれ以上のグラフィックを出そうってんならそれなりのパーツを使うのは当たり前だし、それ以下というのはあんまり意味がない。

 だってリビングTVにPC繋ぐだけなら、HDMIケーブルとかでテレビにPC繋いで、Steamに実装されているテレビ向けのUI“ビッグピクチャーモード”に切り替えでもすればいい話だから。
 それにプレイステーション4やXbox Oneとマルチプラットフォームで出るタイトルに限れば、どちらも一定の画質までは出せるし、ゲーム画面を直接ストリーミングする機能などにも対応していて、フツーの人には結構不満がない作りなわけです。これはプレイステーション4が420万台売れ、Xbox Oneも300万台出ている勢いの良さも裏付けているんじゃないでしょうか。

 無理して価格を下げようにもビジネスモデルの違いによる限界もあって、コンソールメーカーはプラットフォーム事業で収益を上げる覚悟で赤字覚悟のハードウェアを出せるけど、サードパーティ製Steam Machineの場合、ハードを作るメーカーは(報奨金でもない限り)それ以外から収益を上げる手段がない。
 その分、Steam OSが無料なので以前のゲーミングPCよりはOS分の価格を下げられるけど、工賃などはそう変わらない(ちなみに、Windowsじゃなくなったことで非欧米系のオンラインゲームや、ゲーム以外のソフト、例えばプレイ動画を弄るビデオ編集ソフトとかの選択肢がなくなるのは、従来のゲーミングPCに対して魅力減ではあるけれども、そこはSteam OS向けにいろいろソフトが出てくるとしましょう)。

 もちろん、Steam Machineでのゲーム体験には前述したような独自の魅力があるし、記者も年季入ったノートPCで無理してカックカクのFPSをプレイするぐらいならSteam Machineの安いの買おうかと検討しているぐらい。じゃあどの辺を狙うべきか?

●どうせならデザインは重要視したい

 前述したように既に既存のSteamが入ったゲーミングPCをテレビに繋げられるにも関わらず、なんで実際そんなに繋がないのか。それは基本的に、筐体やキーボードやマウスのLEDビカビカしてようが自分がオーケーならオーケーな自室と、リビングは違うものだから。リビングのテレビ前はその家の顔、一人住まいでも特殊な場所であって、横で水冷のフルタワーPCをブン回そうという人はあんまり一般的じゃない。
 一方で、Xbox Oneがテレビ放送を取り込む機能を実装しちゃったように、コンソール各機はテレビの周辺に溶け込むためのとてつもない努力をしている。プロダクトデザインもそう。ポート類や吸気/排気口なんかがあんまり目立たないようにしているし、おとなしいデザインが多いTVやDVRと並べてもそんなに浮かないようになっている。

 そこでSteam Machineのプロトタイプたちを見てみると……。結構、「コレを置くのがオーケーなら既存のゲーミングPCをもう繋いじゃうか、Steam OSがリリースされたタイミングで自作機にぶっ込めばいいんじゃない?」ってなデザインが散見される。

▲この辺はちょっとデカすぎ!(左からWEBHALLEN、MATERIEL、NEXT、ALTERNATE版)

▲この辺はちょっとPC感丸出しすぎ! いや、余裕で置けるぜって人は、もうビッグピクチャーモードで今持ってるゲーミングPCを繋ぐか、自分でマシン組んでSteam OSを入れればいいと思うんですよ。(左からDIGITAL STORM、Falcon Northwest、ORIGIN PC版)

 普通のゲーミングPCとそこまで変わらない価格を出してまで、クソでかいとか、PC丸出しなマシンをテレビに繋ぐメリットをどこまで感じられるか……(そもそも自室にしか繋がないし、OS分が安ければ十分。でもSteam OSでの動作保証が取れている構成で動かしたいからメーカー製を頼むという人もいるでしょうが)。

 ちなみにすでにハードコアなゲーミングPCを持っている人の場合、Steam OSの機能であるストリーミング機能を使って、ゲームの処理自体は自室のゲーミングPCで行い、ルーター経由で安価で小さいSteam Machineにストリーミングして家庭内クラウドゲーミングをするというのもアリっちゃアリ。

▲凝ってるのはわかるんだけど、もうちょっとなんかこう、据え置きゲーム機のデザインから学んで欲しい感じ。(左からCYBERPOWERPC、SCAN版)

▲これぐらい小さいとテレビの裏に置いたりもできていい。ただしこのモデル(ベアボーンキットのBrix Proがベース)は今のところグラフィックが内蔵チップセット(Iris Pro Graphics 5200)での対応。最上位のチップではあるものの、AAAタイトルの最高画質は多分キツい。ストリーミング用というのもアリ。(GIGABYTE版)

 というわけで記者の結論は、自分が許容できるスペックのラインを探りつつ、できるだけテレビにマッチしたデザインのものがいいんじゃないのか、テレビに繋がない人は結構な額の買い物だし、普通のゲーミングPCを買えばいいんじゃないか、という至極当たり前なものに。

 その上で、(当然スペックや価格予定の調整はあるでしょうが)今の段階で自分が選ぶなら詳細スペックが出てきた時にAlienware、iBuyPower、ZOTACの機種から検討かなというところ。まぁiBuyPowerなんて日本展開は100%ないと思いますが。

 今CESのプロトタイプは各社のベアボーンキットがベースになっていたりもするので、まだまだこれからというところもあるのでしょう。今後電源や排気フローなどもきちんと設計され、イケてる感じのデザインで、かつ手頃なスペック&価格のモデルがどんどん出てくると嬉しいなぁ、という次第です。(取材・文:ミル☆吉村)

▲一回やってみたかったタバコ箱比較。Alienwareのプロトタイプは比較的コンパクトで、デザインもシックな感じ。ただまぁ、ボワッと浮かび上がるエイリアンマークにお母ちゃんとか嫁さんからなんか言われるかもしれないけど。俺達にとっちゃリトルグレイなアイツの顔がイケてても、リビングテレビってのは家の顔なんだ……。

▲なんだかんだでやっぱりAlienwareのデザインは頑張っているなぁというところ。X51版Steam Machineともども、後は価格とスペックでも驚かせてほしい。

▲Radeon R9 270とマルチコアCPUを搭載して499ドルという価格で注目されているiBuyPower版Steam Machine。安い電源を使っていたりしないか心配ですが、白基調の落ち着いたデザインは悪くない。

▲GIGABYTE版や、手のひらサイズのXi3“Piston”シリーズ(昨年Steam Machineの正体と言われていたキューブPC)にはさすがに負けるものの、かなりコンパクトなZOTAC版。スペックは“Intel Core CPUとNVIDIA GTX GPU搭載”ぐらいしかわかっていないんですが、599ドルとか。