【ファミキャリ!会社探訪(8)】クリエイター・エージェンシーの雄、クリーク・アンド・リバー社を訪問!

ファミ通ドットコムにオープンした、ゲーム業界専門の求人情報サービス“ファミキャリ!”。ゲーム業界での転職を目指す人たちに向けた“ファミキャリ!”が、ゲームメーカーを訪問し、実際にお話をうかがうこのコーナー。第8回は、“ファミキャリ!”を運営しているクリーク・アンド・リバー社を訪問!

●“ファミキャリ!会社探訪”第8回はクリーク・アンド・リバー社

 ファミ通ドットコム内にオープンした、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。ゲーム業界での転職やキャリアアップを目指す人たちに向けた“ファミキャリ!”がゲームメーカーを訪問し、お話をうかがうこのコーナー。今回は、クリーク・アンド・リバー社。
 会社設立以来、クリエイター・エージェンシー業を中心に展開し、この“ファミキャリ!”も運営している同社。今回は、2013年11月にリリースされた、mobageやdゲーム向けのオリジナルファンタジーRPG『神魔召喚ギルティチェイン』のプロデュースを担当した前山辰治氏にインタビューを行った。


●15年のときを経て、憧れのゲーム業界に就職

前山 辰治
プロデューサー

――ゲームクリエイターを目指した理由は?
前山辰治氏(以下、前山) 僕はいわゆる“ファミコン世代”なんです。ちょうど小学生のころにファミコンが発売され、さまざまなゲームにハマり、いつしか自然とゲーム制作に興味を持つようになりました。ところが、僕が就職活動を始めたのは、バブルがはじけた直後で……。残念ながらゲーム会社には入ることができませんでした。その後は、工場でドラム缶を作ったり、市外電話の割引サービスを販売したり、人材派遣会社の営業職に就いたりと、約15年間、ゲームとはまったく関係ない仕事をしていました。回り道といえば回り道なのでしょうが、しかし決してムダな時間ではなかったと思っています。いまでも人材派遣会社で身に付けた“スタッフをアサインする調整力”、“いい人材を見極める観察力”は役立っていますし、とくにゲームのプロジェクトチームを作る際、大きな力となっています。また、新しい部署の立ち上げに参加したことも忘れられません。ゼロからチームを作り、仕事を生み出すことのやりがいを実感しました。
――入社のきっかけについて教えてください。
前山 知人から「ソーシャルゲームの開発チームを立ち上げるので協力してもらえないか」と誘われたのがきっかけですね。以前勤めていた会社で、新規事業を立ち上げることのやり甲斐を実感していたので、話を聞いてすぐに「やりたい!」と思いました。既にでき上がっているチームに入って与えられた作業をこなすより、何もないところから組織のビジョンを考え、チームを作り、ゲームを制作したほうが、絶対におもしろいと思ったのです。シナリオを執筆したり、イラストを描いたりするのも楽しいですが、“事業を作る”という仕事も、同じぐらいクリエイティブで夢があると思っています。
――現在のお仕事について教えてください。
前山 ソーシャルゲームのプロデューサーをしています。おもに企画の立案、仕様の決定、プロジェクトチームの編成・統括などを担当していますが、現場の手が足りないときはクリエイティブ寄りの作業を手伝うこともあります。開発スタッフの平均年齢が30歳未満と若いので、学校のような雰囲気で(笑)、フラットに仕事をシェアしています。

●埋もれているクリエイターを見つけ出して、世の中に送り出す

――クリーク・アンド・リバー社に惹かれた理由は?
前山 “優れたクリエイターを発掘して、世の中に送り出す”という理念を掲げ、事業を行っているところに惹かれました。クリエイターの中には、ものすごくがんばっているのに第一線に出て来られない人がたくさんいると思うんです。かくいう僕も、じつはかつて音楽をやっておりまして、アートやクリエイティブだけで食べていくことの難しさを嫌というほど痛感しました。クリーク・アンド・リバー社なら、埋もれている人材を見つけ出し、いっしょにゲームを作って、育てるという喜びを体感できる。ただゲームを作るだけではなく、人と関わってチャンスを生み出せるところがいいなと思いました。
――実際にそういった例はあるんですか?
前山 はい。弊社の場合、経験者豊富なベテランクリエイターより、経験の浅い若手を採用することが多いです。たとえば、まずインターンに来ていただいて、社内の研修で基礎的な知識を身につけてもらい、現場で経験を積んでもらいます。学校での勉強とは違い、学んだことが即実績につながるので、ここでグンと伸びるスタッフも多いですよ。そのまま社員になって、メインスタッフとして活躍しているクリエイターもたくさんいます。また、弊社に登録しているイラストレーターのポートフォリオを拝見し「これは!」と思う方が見つかったら、積極的にソーシャルゲームに起用するようにしています。そういう方々のイラストがmobageやGREEで注目され、中には大手と専属契約を結ぶに至ったケースもありました。
――スタッフを育成するうえで気を付けていることはありますか?
前山 助け合いの精神をもった、思いやりのある人間に育てるように意識しています。誰かが困っていたら声をかけ、手が足りないようだったらヘルプに入る。当たり前のことではありますが、こうしたことをスタッフ全員が行えるようになると、職場の雰囲気がグンと明るくなります。組織というのは、人と人とが交わって、思いやりのあるコミュニケーションを重ねることで成長します。信頼感が生まれ、仲間意識が強まり、仕事の質や効率も向上する。そうすれば、離職率も低下します。ほかの業界に比べて退職者が多いと言われるソーシャルゲーム業界だからこそ、徹底して“意識”の部分を育てることが大切だと思うんですよね。
――伸びる人材の特徴を教えてください。
前山 自分の立ち位置を理解していること、でしょうか。僕は面接でよく「あなたの実力は、クラスで何番目ぐらいだと思いますか?」という質問をするんです。「けっこう上のほうにいると思います」と答える人もいれば、「後ろのほうですね」という人もいるのですが、肝心なのはその先を考えているかどうか。「どうやったら人より力を出せるだろうか」、「どうすれば不足しているスキルを補えるだろうか」など、そうしたことを冷静に分析し、追求している人は、入社後にぐんぐん伸びて、活躍することが多いように思います。

●自分が作りたいものでなく、ユーザーが求めているものを制作

――前山さんが担当されたソーシャルゲーム『神魔召喚ギルティチェイン』について教えてください。
前山 企画が立ちあがったのは、2013年の3月でした。正統派の王道的ファンタジーカードゲームは出尽くしている感があったので、「ちょっとひねりを入れた内容にしたいね」という話になり、最初のころは、かなりヘビーなストーリー展開を考えていました。ところが、制作しているうちに「スマホという気軽なツールで遊ぶには、あまりに雰囲気が暗すぎる」と気づきまして(笑)。もう少し明るく、気軽に遊べる雰囲気になるように軌道修正していきました。結果、重厚すぎず軽すぎず、ちょうどいいバランスのファンタジーカードバトルRPGができ上がったと自負しています。また、ちびキャラは特徴的ですね。よくあるカードゲームのように“武器や防具を手に入れることで、キャラの見た目が変わっていく”のではなく、“手に入れたカードがそのままちびキャラになって、バトルをはじめとする各シーンに登場”するのです。お気に入りのカードがちびキャラ化する楽しさを味わっていただければ幸いです。
――開発スタッフの構成を教えてください。
前山 初期のころは、企画1名、プログラマー1名、それから僕の3人で制作をしていました。途中からプログラマーとフラッシャーが加わって、平均で6~7名のスタッフが関わっていたと記憶しています。
――チーム作りの際に意識したことはありますか?
前山 より大きなヒットを狙うため、チームの組みかたを工夫し、ベテランひとりに対して若手ひとりという形になるよう、対で配置してみました。すると、ベテランのスタッフは工程数やコストを強く意識し、一方の若手はやりたいことをガンガンやろうとするという、おもしろいせめぎ合いが生まれました。ただ、両者の意見をまとめるのは、とても難しかったですね。プロデューサーとしては苦労が多く、もっといい方法がないかと模索しているところです。
――ソーシャルゲームの制作に向いているのは、どのような人材なのでしょうか?
前山 ユーザーのことを第一に考えられる人ですね。企画というのは、自分がおもしろいと思ったことや興味のあるものから生まれるものだと思うのですが、次第に、ユーザー目線にシフトさせていかなければ成功しないと思います。「ユーザーはこういうことを求めているのではないか」、「ここに魅力を感じるのではないか」と想像し、自分が作りたいものではなく、ユーザーが求めているものに少しずつ歩み寄っていく。そういうやさしさを持った人が適していると思います。技術的なスキルは勉強さえすれば簡単に伸ばせますし、仕事をしているうちに身に付きます。それよりも、ものづくりに対する視点や、熱意、やさしさ、そういった目には見えない“人間力”を磨いてほしいですね。
――では、最後に目標をお聞かせください。
前山 僕の目標は“クリエイターを育てて、世の中に送り出すこと”です。入社したときから、その思いはまったく変わっていません。インターネットが発達し、YouTubeやpixivといった自己表現の場も増え続けていますが、一方では依然として作品の売り出しかたやプロモーションの方法を知らないクリエイターも存在しています。そういう人たちを積極的にバックアップし、社会に送り出したい。クリエイティブ業界に、新たな風を吹き込みたいと思っています。


●クリーク・アンド・リバー社ってどんな会社?

 “ファミキャリ!”を運営しているクリーク・アンド・リバー社は、会社を設立した1990年にクリエイター・エージェンシー事業をスタート。“クリエイターの生涯価値の向上”と“クライアントの価値創造への貢献”を2大ミッションとし、多くのクリエイターとパートナー企業との橋渡し役を担いながら、エージェンシー事業からプロデュース事業などを行ってきた。そのジャンルは幅広く、グループ全体で、クリエイティブ、医療、IT、法曹、会計の5分野をメインに、最近ではファッションや建築などのジャンルにも進出。また、自社開発でゲーム制作も行っており、2013年11月にはmobageやdゲーム向けのソーシャルゲーム『神魔召喚ギルティチェイン』をリリースした。
<会社概要>
株式会社クリーク・アンド・リバー社
●代表取締役社長:井川幸広 ●設立年月日:1990年3月20日 ●従業員数:200名(2013年3月31日現在) ●事業内容:エージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業 など

▲受付やロビー周辺には落ち着いた雰囲気が漂う。取材時(2013年11月)には、ひと足早いクリスマスの装いでお客様を迎えていた。

▲前山氏がプロデュースを担当した、mobageやdゲーム向けの本格的ファンタジーRPG『神魔召喚ギルティチェイン』。