“キカイマシーン帝国襲来”の裏側

 エイプリルフールに並々ならぬ情熱を傾けているゲームメーカー、グランゼーラ。今年(2013年)は、“株式会社グランゼーラニュースネットワーク(Granzella News Network, Inc. 略称GNN)”が設立され、街を襲う“機械人(金属の体を持つ屈強な生物)”に関する情報を報じた。

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 また、GNNはAndroid用アプリ『機械人カメラ』を1日限定で配布。これは身の回りに潜む機械人”を撮影できるカメラアプリで、ユーザーは撮影した写真を自由に投稿できた。

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 なぜ、グランゼーラはここまでエイプリルフールに力を入れるのか? エイプリルフールプロデューサーの九条一馬氏に話を聞いた。
※本インタビューは、週刊ファミ通5月2日号(4月18日発売)に掲載したものに加筆したものです。

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グランゼーラ
エイプリルフールプロデューサー
九条一馬氏
Kujo Kazuma

――グランゼーラにとって、エイプリルフール企画を行うことの意味とは何ですか?
九条一馬氏(以下、九条)  私たちの会社にとって、エイプリルフール企画を行うことは、創業目的のひとつです。会社を作った目的のひとつが“エイプリルフール企画を思いっきり行うこと”なので、存在理由そのものですね。

――今年の企画に対する、ゲームファンの皆さんからの反応はいかがでしたか?
九条 心配していたよりご好評いただけたようで、ホッとしました。「いいぞ、もっとやれ」と焚きつけるものから、私たちの過去のエイプリルフール企画を懐かしんでくださるものなど、たくさんの書き込みをいただきました。中には、PlayStation Home(以下、PS Home)でのイベントを絡められなかったことや、ゲームの発表が遅れていることへのお叱りなどもいただきましたが、それでも温かいお言葉を多数頂戴しました。4月2日になる直前の最後の更新時には、「ありがとう!」や「来年も期待している!」、「感動した!」というエイプリルクリエーター冥利に尽きるお言葉をいただきました。それらの書き込みを見て体中の力が抜けてしまい、日付が変わった直後は放心状態のままコンテンツを閉じていく指示を出していました(笑)。

――4月1日を迎えるまでは、やはり不安もあったのですね。
九条 はい。2011年、2012年とエイプリルフールで何もできず、ブランクがあったので、実施前は正直かなり心配していました。昨年、いろんな企業様がエイプリルフール企画を実施されているのを拝見して、「いまの自分たちのエイプリルフール企画は世の中のエイプリルに埋もれてしまわないか?」、「本当に通用するのか?」、「いまでも皆さんを圧倒できるパワーがあるんだろうか?」と自問自答しながら進めていましたので、最後まで突っ切ることができて本当によかったです。

――今回のエイプリルフール企画の準備は、いつごろから、どのように進められたのでしょうか。
九条 もともと、昨年用の企画として、一昨年の秋ごろから準備を始めていたんです。あまりひねりすぎず、“宇宙から飛来した謎の機械人が街中に出没する”というものが、視覚的におもしろくなると思い、そこから企画を広げていきました。機械兵のデザインも、一昨年の12月には、ほぼいまの形で確定していました。当初は、PS Homeとの連動を前提に組み立てていたので、PS Homeの画像をWebサイトにも使用するつもりでした。しかしながら、PS HomeとWebの連動を前提に進めた企画は、連携する仕組みをうまく構築することができなかったため、結果として昨年の4月1日には実施することができなくなりました。期待してくださっていた方々には本当に申し訳ないと責任を感じるとともに、悔しくて悔しくて眠れなかったですね。

――その悔しさをバネに、今年の再起に向けて動き出されたのですね。
九条  今回実施したエイプリルフール企画(Web版)の内容を見直し始めたのは、昨年の12月からです。昨年と同じ失敗をしないために、Webコンテンツとしてのエイプリルフール企画と、同テーマのPS Homeイベントを切り分けました(PS Home版“キカイマシーン帝国襲来”は5月実施予定)。当初のWeb版は、PS Homeに依存した作りになっていましたので、ボリュームに乏しく、PS Homeイベントの攻略サイトのようなニュアンスが強かったのです。その点をいちから見直し、Web版だけでおもしろさが十分に出るものを目指して、プロットから作り直しました。“機械人が街を襲う”というテーマをおもしろく、よりウソっぽくするために、機械人の目撃情報を増やしていきました。

――企画の準備に数ヶ月の時間をかけるところに、皆さんのアツい思いを感じます。
九条 後半をストーリー仕立てにしたところは、今年に入って大幅に変えたところです。報道風の動画をできるだけたくさん取り入れたかったので、CGデザイナーの工数を確保し、コンテを書いて順次作成してもらいました。彼らには、4月1日の夜まで作業をしてもらい、最後の動画がアップできたのは4月2日に日付が換わる十数分前でした(笑)。また、ツイッターやFacebookなども連動させたかったし、皆さんに機械人の目撃写真を撮影してもらいたいとも思いましたので、開発終盤に『機械人カメラ』というスマートフォンアプリを用意して無料配信することにしました。後半のストーリー仕立ての記事が、Webコンテンツとしてのおもしろみに欠けると思い、4月1日時点でまだ修正したり、加筆作業をしたり、写真の加工を行っていました。こちらも最後の記事のアップは、日付が換わるまで10分を切っていたと思います。当初、4月1日に日付が変わった時点ですべてのコンテンツをアップする予定だった本企画は、こちらの不手際で随時更新されるという画期的な企画へと変わっていました。

――(笑)。『機械人カメラ』ではさまざまな写真が撮影できましたが、スタッフの皆さんが撮影された機械人の写真の中で、イチオシのものを見せていただけませんか?
九条 スタッフが当日『機械人カメラ』で撮影した写真の中では、この写真が一番気に入っています。

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アップした記事の写真の中では、サンフランシスコの街に機械人がやってきたものや、夕日をバックに大艦隊が飛行しているシーンが好きですね。廃線の恋路駅で“恋”という字を見つめている機械人もたまりません。

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――来年もエイプリルフール企画を行いますか?
九条 もちろんです! 4月2日になった時点で来年のエイプリルフールのことで頭がいっぱいです(笑)。今回のエイプリルフールで出てきた反省点を活かして、今年以上にパワフルなエイプリルフール企画を実施したいと思います。ご期待ください!