はじめに
「『Halo 4』を盛り上げたいので、シリーズの歴史や思い出を自由に振り返るがよい」との記事依頼をいただいた。
『Halo 4』は新たな物語が描かれる新章の始まりということで、これから『Halo』シリーズに足を踏み入れたい人にとっても絶好の機会と思われる。が、ジャンルがFPS(一人称視点シューティング)だったり、ハードがXbox 360だったりすることで、これまで手を出してこなかった人こそ腰が重くなりがちなのもまた事実だろう。
私は、初代Xboxの発売前後に仕事で『Halo』(以下、『Halo 1』)と出会い、以来、公私でシリーズを追いかけてきた一ファンだが、いまも昔も、特別にFPSや海外ゲームのファンというわけではない。多分にアクションゲーム寄りのゲームシステムだとか、馴染みやすいキャラクターやストーリーだとかを総合した、『Halo』というシリーズのファンなのである。
そこで今回は、そんな私が『Halo』シリーズを好きになっていったきっかけ≒グッときた瞬間、を思い出すままに紹介してみたいと思う。それも、みんなが大好きなランキング形式で(笑)。結果的に過去作のポイントを振り返ることにもなると思うので、シリーズ初心者の人には、これまでよりも少しだけ興味を深めてもらうきっかけに。経験者の人には、「そうそう」と生温かい目でうなずいてもらえれば幸いである。それでは、誰ひとりドキドキしていない空気を感じながら、まったくの主観視点でカウント~ダウン!
第10位 惑星リーチでの最終バトル
『Halo: Reach』は、初期三部作(『Halo 1』~『Halo 3』)のエピソード0にあたる戦い――人類を窮地に追い込んだ惑星リーチの陥落――が描かれるということで、ある程度結末は読めていたが、それでもエピローグ・バトルの演出にはグっときた。まさしく必死でがんばりましたとも(涙)。
あの戦いの後で『Halo 1』のタイトル画面を見ると、宇宙に響き渡るスキャットがよく知っている戦士へのレクイエムのようにも感じられ、いっそう味わい深い。
第9位 「画撮は家でできますので!」
毎回、おもにオンラインを活用した目新しいサービスや機能が実装されるという技術的なおもしろさも『Halo』シリーズの魅力。『Halo 3』からは、すべてのゲームプレイをHDDに一時保存し、リプレイ再生やスクリーンショットの撮影、ショートムービーの録画ができるシアターモードを搭載。それらをサーバーにアップロードして共有できるファイルシェア機能も、家庭用ゲームでいち早く(2007年9月)実現した。
実機で高画質のスクショを撮影・アップロードし、それをネット上からPCに引っ張って来られる環境は仕事の面でも非常に役立ちました(笑)。
第8位 ゆかいなプレイヤーとの出会い
『Halo 3』では、シリーズ初のオンライン協力プレイも実現。最初のころに出会った、外国人の小学生とのスカル(各ステージにひとつずつ隠されているアイテム)集めが思い出深い。
ひと通りクリアーしたものの、まだスカルを集めていなかった私は、初対面の彼に「I want Skull!」と小学生レベルの英語メッセージでリクエスト。その少年が非常にデキる男で、必要最小限の敵だけを倒して道を作り、どこかに消えたと思ったらクルマ(3人乗りのジープ)を回してきたり、運転させれば、わざと道路から飛び降りようとするサプライズで「No!No!」とおっさんを慌てさせてケタケタ笑ったりと、完璧なエスコートだった。他のFPSと比べて、プレイヤーの年齢層が幅広い=いろいろなプレイヤーに出会いやすいのも、『Halo』シリーズならではかもしれない。
第7位 開発スタッフのこだわり
『Halo 1』の後だったと思うが(うろ覚え)、開発元のBungie(当時)を取材した際、ユーザーの声を吸い上げる体制を強化したと聞いて、その情熱や資本力に驚いた記憶がある。開発者が積極的にユーザーと関わりを持ち、ときにはコアプレイヤーをスタジオに招き、対戦マップのテストやチューニングを重ねる……。実際、『Halo 3』のころには、ソフト発売後も月単位で細かなマップバランスの改良などが続けられ、そのオンライン・プレイ寿命は現在もまだ尽きていない。
余談だが、Bungieに取材に行くたびに、あるスタッフの服装がゴージャスになっていて、「アメリカンドリームだなぁ」とうらやましく眺めたのも思い出深い。
第6位 レジェンドの楽しさ(と恐ろしさ)
『Halo』シリーズの名物、"レジェンドモード(最高難度設定)"の魅力を知ったのは、『Halo 1』の攻略本の編集時。担当ライターたちが苦戦しているのを見て、「何ステージか、手伝うよ」と気軽に言ってしまった自分をおおいに呪ったものだ(笑)。
武器ひとつ、敵一体の扱いかたが生死を分ける、ヒリヒリしたバランス。シーンごとに何度もリトライをくり返しながら少しずつ前に進めるようになっていく楽しさは、たとえば近年の『Trials HD』シリーズなどにも非常に近い。あのときにレジェンド攻略を達成しなかったら、自分の『Halo』シリーズに対する印象はけっこう変わっていた……かも。
第5位 寡黙なマスターチーフ
寡黙に任務を遂行する強化戦士で、決して素顔を見せないマスクマン。基本的にしゃべらない主人公であるマスターチーフは、『ドラクエ』などで育った日本人・おっさんゲーマーの私にとっても、どストライクのキャラクターだ。
敵艦の宇宙機雷を生身で返送したり、大気圏から体ひとつで飛び降りるといったスーパータフネスぶりも楽しいが、個人的には、「チーフが手本を見せてくれるぞ」というムチャぶり(?)を受けて敵の前に歩み出たり、空間転送してもらったら天地が逆で頭から落っこちたり……という(無口ならではの)とぼけた描写をもっと希望。
ちなみに、「『Halo 4』ではチーフの声が変わって残念」という声もあるようだが、そういう人には、チーフが眠っているあいだに、コルタナが勝手に彼の生体設定をいじった……といった妄想設定をおすすめしてみたい(笑)。おそらく、「アーマーといっしょに、声も私好みに変えておいたわ」→「おい……」のひと言で終了するのではないだろうか。
第4位 あか抜けたマスターチーフ
『Halo 1』では、まだどこかドン臭かったマスターチーフのデザインも、『Halo 2』ではアーマーがバージョンアップしたという設定のもと、グっとスタイリッシュに。また、武器の両手持ち(2挺拳銃)や近接専用武器のエナジーソード、乗り物の強奪といったアクションも増え、今日まで続くスーパーソルジャーぶりが確立された。
これらの新要素が初公開されたE3(前後のマイクロソフト発表会)は、個人的なE3取材経験の中でも一、二を争うフィーバーぶりだったと記憶している。後方にいた海外記者が「オーマイガー、オーマイガー」とうるさかった(微笑ましかった)のは何年前のE3だったかしら。
第3位 自由度の高い対戦プレイ
『Halo』シリーズの対戦は、奥も深いが懐も深い。長年、まったくエイミング(照準操作)に上達が見られない私のようなオールド戦士でも、スカル(ボール)を持って逃げ回ったり、乗り物を使ってキル数を稼いだりと、楽しく活躍できる場が見出せるのがすばらしい。
Xbox LIVEサービス開始以前に発売された『Halo 1』は、当然オンライン非対応。PCを介してのネット対戦という裏ワザはあったが、基本は顔と顔を突き合わせてのローカル対戦だった。全国各地の公民館や学園祭というアットホームな空間……で激しく撃ち合う……というシュールな空気がよかった"Xbox突撃隊"イベントや、全国規模のチャンピオンシップ大会など、実際に集まって遊ぶことで『Halo』シリーズやXbox、あるいはFPSや対戦の楽しさを知った人も多かったのではないだろうか。
第2位 待望のオンライン対戦!
そんな楽しい対戦が、24時間いつでもプレイ可能! 『Halo 2』では、全世界待望のオンライン対戦がついに実現! いまでこそ当たり前になったが、8人とか16人のゲーマータグがいつでもずらっと並ぶロビー画面は、それだけで少なからず感動的だった。
いつでもというのが大きなポイントで、常時対戦相手に困らないプレイヤー数の多さも、『Halo』シリーズのオンライン対戦の大きな強みである。第8位で述べたプレイヤー層の幅広さに加えて、長いスパンで(おもに海外の)新規プレイヤーも入ってくるため、しょぼいエイミングの筆者でさえ、ときどき(一時的に)強者気分が味わえたりするのもステキ。シリーズ累計販売本数4600万本の恩恵はダテではないのだ。
第1位 知られざる大地
シリーズを重ねるごとに饒舌に(よく言えばわかりやすく)なってきている感はあるが、元来、『Halo』シリーズのキャンペーン、いわゆるストーリーモードは、世界に対するゲーム内での説明が少ない。それでいて、自分が見ていない場所でもいろいろなことが起こっている。ふと空を見上げたら、敵の降下艇が迫っていたり、戦場の隅で敵が敵に喰われていたり――。
私が好むゲームの基本、自分で動き、自分で世界をつかんでいく楽しさが、『Halo』シリーズには詰まっているのである。
ステキな場面との遭遇という点では、ある意味マルチプレイも同じだ。目の前で、誰かがものすごいやられかたをした瞬間に出くわしたり、熱心にスコープを覗き込んでいるスナイパーの背中をしばらく眺めたりと、キル数以上に価値のあるようなボーナスシーンは無数に存在する。
銃撃と同じくらい目撃も楽しい世界、それが『Halo』!……というまとめでどうでしょうか。
■筆者紹介 遠藤栄慧
編集と執筆がちょうど半々くらいのフリー編集ライター。元ファミ通Xbox編集者。ばっちり書き忘れたけれど、『Halo』シリーズは音楽がいいのもポイント。シリーズ内で何度も編曲されて登場する「A Walk in the Woods」(Halo)とか好みです。