“スーパー”にふさわしい内容と気合い

 スパイク・チュンソフトから2012年7月26日に発売された、プレイステーション・ポータブル(PSP)用ソフト『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』。斬新なゲーム性とストーリー展開で多くのファンを作った『ダンガンロンパ』シリーズの続編について、本作の記事担当をしている、週刊ファミ通の編集者・世界三大三代川が語ります。

絶対に体験すべき作品、『スーパーダンガンロンパ2』プレイインプレッション_01

“スーパー”にふさわしい内容

 正直、タイトルが発表されたとき、「“スーパー”なんてつけちゃって大丈夫かな?」と思った。ぶっちゃけ、風呂敷広げすぎじゃないかと思ったのだ。確かに前作は想像以上におもしろく、いちプレイヤーとして大好きなゲームになった。でも、粗い部分も目立っていた。だからこそ、“スーパー”という言葉に不安を抱いた。……のだが! 実際にプレイをしてみて、クリアーしてみて、そんな不安を軽く一掃された。遥か頭上を超えるなんて表現ではまったく足りない。本作は、“スーパー”という言葉で連想される以上のおもしろさ、衝撃、ボリューム、完成度を誇る作品。冒頭から言わせていただく。これは、アドベンチャーゲームファンならずとも、“絶対に体験すべき”作品です!

 とまあ、ものすごく高いハードルを設定しておいて、改めて作品の紹介をしよう。本作は、『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』の続編。“超高校級の才能”を持った16人の高校生が、監禁された南の島からの脱出を懸けて“コロシアイ”をする……というストーリーになっている。ポップなグラフィックや演出、想定外のストーリー展開、推理をくり広げる気持ちよさといった、前作でも好評だった部分はそのままに、登場人物、舞台を一新した、今回からでも楽しめる内容になっている。『ダンガンロンパ』シリーズの大きな魅力は、なんといってもキャラクターだ。“個性が豊か”なんて安易な言葉では表現できない、濃くて濃くてたまらないキャラクター。その一例として、まずは下の写真をご覧いただきたい。

絶対に体験すべき作品、『スーパーダンガンロンパ2』プレイインプレッション_02
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▲“超高級の日本舞踊家”の西園寺日寄子。かわいらしい見た目をしているが、実際の性格は……。“ゴミカス”だの“ゲロブタ”だの、ものすごい言葉を乱発する。
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▲“超高校級の保健委員”の罪木蜜柑。いわゆるドジっ子なのだが、ドジのレベルが尋常じゃない! いったい何をどうすればそうなるのかというほどのドジを見せる。ごちそうさまです。
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▲“超高校級の飼育委員”の田中眼蛇夢。名前は“ガンダム”と読む。名前からしてすでにインパクト大だが、彼が率いる破壊神暗黒四天王もすごい。飼いたい。詳しくはゲームにて。
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▲“超高校級の幸運”の狛枝凪人。超高校級の仲間と希望の力を信じる少年。さらっと爽やかに見えるが、じつはすごく濃ゆい。こちらも詳しくはゲームにて。

 ……そして、欠かせないのが本作のマスコットキャラクターのモノクマと、新キャラクターのモノミ。キャラクターも濃いのだが、声優さん、いわゆる中の人どうしの掛け合いがスゴイ! 22世紀からやってきたネコ型ロボットと、昭和初期からまったく成長しない幼児……のような声による漫才は、おもしろいとかではなく、次元を超越したような独特の空気感を生み出しているのだ。この雰囲気はジワジワと浸透し、ゲームを始めてしばらくしたら、もうこの掛け合いなしにはいられないほどの虜になっているのは間違いない!

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▲本作の生徒たちが所属している、希望ヶ峰学園の学園長(自称)のモノクマ。生徒たちに“コロシアイ”を強要するばかりか、何かと“コロシアイ”につながる動機を与えようとする。
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▲こちらがモノミ。希望ヶ峰学園の先生。モノクマの激しいツッコミや、生徒たちのキビしい叱咤激励に耐えながら、生徒を温かく見守ろうとする。

まさにノンストップで展開する学級裁判

 キャラクターの魅力もさることながら、本作最大の特徴と言えるのが、“学級裁判”だ。これは、発生してしまった殺人事件のクロ(犯人)を見つけ出すために、互いの考えをぶつけ合うというもの。それぞれのキャラクターがフルボイスでしゃべる内容から矛盾を見つけ出し、プレイヤーは言弾(証拠)をぶつけて論破していくのだ。めまぐるしく展開する議論の中で推理をし、見事に事件を解決していくというのが最大の気持ちいいポイントである。今回はそんな学級裁判の展開が、本当に議論らしくパワーアップしている。畳み掛けるように広がる話題の中で、プレイヤーが論破をしたと思ったら、新システムの“反論”で話題を引き戻され、やっと反論を収めたところで、今度は別の生徒の意見を支持して、これまた新システムの“賛成”で、仲間を後押しする。こんなつぎつぎと展開する流れを体感するうちに、キャラクターのセリフを聞きたいという感情と、推理を働かせる思考と、その先の物語を知りたい欲求とで、とにかくどっぷり本作にハマっていくのである。

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 この流れでゲームは進んでいくのだが、本作はボリュームもすごい。人によってマチマチだとは思うが、僕はクリアーまでに35時間近くかかった。かなりの早解きをする人でなければ、たいていの人は30時間近くのプレイ時間になるだろう。さらに、“スーパー”の名にふさわしいのが、本編以外のおまけモードだ。おまけモードは3つ。ひとつが、本編の裏側でモノミが何をしていたのか。その活躍を描くアクションゲーム(!?)“魔法少女ミラクル★モノミ”。もうひとつが、“コロシアイ”の発生しない島内でののんびりした日常を楽しむ“だんがんアイランド どきどき修学旅行で大パニック?”。そして、最後が前作のIFストーリーを描いたオリジナルノベル、“ダンガンロンパIF 希望の脱出装置と絶望の残念無双”。これは、『デュラララ!!』の作者で知られる成田良悟氏が書き下ろした、前作のキャラクター総出演の内容になっている。30時間超のボリュームに、本編と異なる3つのモード。しかも、どれもおまけでは留まらない作り込みがなされており、とくに2番目の“だんがんアイランド”には、キャラクター別の固有エンディングが用意されているという。これだけのおまけでも、1本スピンオフ作品ができるほどの内容である。

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▲こちらが“魔法少女ミラクル★モノミ”。
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▲“だんがんアイランド どきどき修学旅行で大パニック?”。
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▲“ダンガンロンパIF 希望の脱出装置と絶望の残念無双”。

 つらつらと書いてきてしまったが、本当はまだまだ書きたいことは山ほどある。それほどのボリュームもあるし、伝えたくてしょうがない魅力がたくさんあるのだ。もし本作の詳細な内容が知りたい方は、ぜひファミ通.comの特設サイトを見ていただきたい(特設サイトは⇒こちら)。

 遊んでいてもっとも感じたのは、あらゆるところに詰まった開発者の気合い。ゲームを遊んでいると、「おもしろくする」、「ユーザーを楽しませる」という想いがヒシヒシと感じられる。そんな気合いがゲームに乗り移った作品はそうそうない。誤解を恐れずに言えば、近年ではひとつのハードに1作品あるかないかと言えるレベルの稀有な作品だ。本作は、それに値するほどの気合いと、それをまとめ上げた完成度が感じられる。本作は、そこまでアドベンチャーゲームが好きではないという人もきっと楽しめる作品。とくに、最後に待ち受ける衝撃の展開は、ひとりでも多くの人に体感してもらいたい! 冒頭に言ったが、最後にも言う。本作は、“絶対に体験すべき”作品です!

 追伸。本作から遊んでも楽しめますが、もし前作を遊んでない人で本作にすごく興味があるのならば、前作を遊んでからのほうがより楽しめることは間違いありません。さらに言えば、小説の『ダンガンロンパ/ゼロ』を読めば、もっともっと楽しめます。

■著者紹介

世界三大三代川

ロボティクス・ノーツ』、『タイムトラベラーズ』と、最近はどっぷりアドベンチャーゲーム漬けになっている週刊ファミ通編集者。本作で好きなキャラクターは、罪木蜜柑。ドジっ子はあまり好きじゃないのだが、この子はあまりに健気でかわい(以下略)。

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スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園
発売日 2012年07月26日
価格 6279円[税込]
ジャンル アドベンチャー
備考 "超高校級のスーパー限定BOX2"は9429円[税込]、PS Store ダウンロード版は5200円[税込]、プロデューサー:寺澤善徳、アソシエイトプロデューサー:齊藤祐一郎、シナリオ:小高和剛、キャラクターデザイン:小松崎 類、音楽:高田雅史